みなさんこんにちは!今回は「風」について解説していきます。地理には多くの風が出てきます。季節風、偏西風、貿易風、極東風、、といったところでしょうか。
風は気温などと違って、あまり身近に感じられない方が多いのではないでしょうか。ですが、風はかなり人間の生活に影響を及ぼしています。
例えば、デンマークといえばです風車ですが、動かすのに偏西風の力を利用しています。また、飛行機に乗った時、行きのほうが帰りよりもフライト時間が短かった、ということがあります。それも偏西風(ジェット気流)の影響を受けているからなのです。
風の分野において実際センター試験でも出題されていましたので、後ほど解きたいと思います。今後、共通テストのみならず私大の受験の中で出題される可能性も非常に高い分野です。
今回の記事を読んでできること・季節風についてメカニズムがわかるとともに夏と冬の季節風を理解できる
・偏西風、貿易風、極東風について理解できる。
・風の分野について実際に出題されたセンター試験を解く
季節風とは
まずは、季節風について述べていきます。定義を踏まえてしっかりと理解をしてきましょう。
季節風とは
季節風とは、大陸と海洋の間で半年周期で風向を変える風のことをいいます。極端にいうと、「夏と冬で吹く向きが逆になる風」が季節風です。
また、季節風の別名をモンスーンといいます。
夏の季節風
夏の季節風について説明します。北半球で読んでくれている方が多いと思うので、ここからは北半球からの視点で話していきます。
まずは、どのようにして夏の季節風が生じるかについてです。
「気温について」の解説ページでもお話したのですが、「石は水よりも熱しやすく、冷めやすい」という原理があります。
これを大陸と海洋あてはめると、「大陸は海洋よりも熱しやすく、冷めやすい」となります。この原理が季節風について考える際にとても大切になってきます。
ところで、夏は気温が高いですよね。気温が高いと大陸は熱しやすいため、温度が高くなります。
- 暖かい空気は軽いので、大陸側に上昇気流が生じます。(上の図の↑)
- 空気が上昇した後の空間に空気が海側から流れ込みます。(上の図の→)
このようにしてできる”海から陸に向かって吹く風”を「夏の季節風」というのです。
少し範囲を広げて、日本とユーラシア大陸を見てみましょう。
上の図のように、ユーラシア大陸は夏に高温になります。高温になると上昇気流が生じ、そこに風が流れ込みます。
だから夏の季節風は日本側からユーラシア大陸へと吹きます。日本においてはどうでしょうか。
太平洋から日本列島へと吹いていますね。吹く向きが南東方向なので、日本においては「南東季節風」と呼ばれます。
南東季節風は太平洋で水蒸気を含みますが、日本列島を通過するときに乾いてしまいます。なので、太平洋側は湿った風、日本海側は乾燥した風が吹きます。
夏は太平洋側は雨が多い一方で、日本海側は雨が少ないのはこのためです。
冬の季節風
冬の季節風は夏の季節風の逆です。
冬は気温が低いですよね。「大陸は海洋よりも熱しやすく、冷めやすい」の原理により、大陸側のほうが温度が低くなります。
すると大陸側の空気が冷やされて、重くなります。
- 重い空気は下へ行くので、下降気流が生じます。(上の図の↓)
- 下降した空気はそのまま海のほうに向かって流れます。(上の図の←)
こうして生じる”陸から海に向かって吹く風”を「冬の季節風」といいます。
では、日本とユーラシア大陸を見てみましょう。
上の図のように、ユーラシア大陸は冬に低温になります。下降気流が生じるので、ユーラシア大陸から日本に向かって風が吹きます。これが冬の季節風が吹く向きです。
日本についても見てみましょう。吹く向きが北西方向なので「北西季節風」と呼ばれます。
北西季節風は日本海で水蒸気を含みますが、日本列島を通過するときに乾いてしまいます。なので、日本海側は湿った風、太平洋側は乾いた風が吹きます。
冬は日本海側に雪が降りやすく、太平洋側は晴れやすいのはこのためです。
偏西風について
偏西風とは、「中緯度高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって吹き出す風」のことをいいます。その名の通り、西に傾きながら吹くのが特徴です。
また、偏西風帯の上空にはジェット気流という強い西風が発達しています。飛行機がこの気流に乗るため、日本からヨーロッパへ行くときより帰るときのほうがフライト時間が短くなるのです。
貿易風について
貿易風とは、「中緯度高圧帯から赤道低圧帯に向かって吹き出す風」のことをいいます。北半球では北東方向に吹くので「北東貿易風」、南半球では南東方向に吹くので「南東貿易風」といいます。
また、貿易風のことを熱帯偏東風ということもあります。
極東風について
極東風とは、「極高圧帯から吹き出す寒冷な風」のことをいいます。東に向かって吹くのが特徴です。
極東風は「極偏東風」「極風」と呼ばれることもあります。
ここまでに解説した3つの風(偏西風、貿易風、極東風)ですが、出現率が高く、規模も大きいため、3つまとめて「恒常風」「惑星風」と呼ばれます。
押さえておきましょう。
風分野についてセンター試験の問題を解いてみる
それでは、最後に実際に出題されたセンター試験の問題を解いてみましょう。見にくいかもしれませんが、選択肢は以下のとおりです。
- 北極付近と赤道付近は、いずれも高圧帯となっている。
- 高圧帯や低圧帯の南北移動は、降水量の季節変化の一因となっている。
- 北緯30度付近から高緯度側へ向かう大気の流れは、極東風と呼ばれる。
- 北緯30度付近では下降気流が卓越し、湿潤な気候をもたらしている。
答えは
ちなみに、解説をすると
①北極付近と赤道付近は、いずれも高圧帯となっている。=これは✕ですね。赤道付近は低圧帯です。
②高圧帯や低圧帯の南北移動は、降水量の季節変化の一因となっている。=正解です。
③北緯30度付近から高緯度側へ向かう大気の流れは、極東風と呼ばれる。=✕です。極東風ではなく、偏西風ですね。
④北緯30度付近では下降気流が卓越し、湿潤な気候をもたらしている。=✕です。下降気流が生じると晴れます。雨が少ないので、湿潤にはならないですね。
以上のことから、適切なのは②ということになります。①、③、④が不適切と判断し、消去法で選ぶのがいいかもしれません。
いかがでしたか?試験では語彙の意味など聞かれるのでしっかりと理解をして暗記していく必要があります。
〇まとめ
あらためて今回の内容をざっとおさらいしましょう。分からない人は再度解説を読んでください。
- 季節風:夏と冬で吹く向きが変わる風。夏:海から陸へ(日本では南東季節風)。冬:陸から海へ(日本では北西季節風)
- 偏西風:中緯度高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって吹く風。上空はジェット気流。
- 貿易風:赤道低圧帯から中緯度高圧帯に向かって吹く風
- 極東風:極高圧帯から東に向かって吹き出す風
繰り返し復習をして、なぜそうなるかを理解しておきましょう!
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