こんにちは。今回は中国の科学・工芸史についてです。科学技術というと西洋のイメージが強いですが、中国でも様々な科学技術が研究されました。
また、中国で輸出の稼ぎ頭となる陶磁器の技術も時代を追うごとに進化します。受験でも頻出である製紙法や中国三大発明、青磁をはじめとする陶磁器の発展などについてまとめます。
今回の記事のポイント・製紙法は後漢の蔡倫、時代や人名を入れ替えられてもこたえられるようにしよう
・宋磁の一大生産拠点となった景徳鎮はよく出題
・中国三大発明は、ルネサンス期にヨーロッパで改良
・郭守敬の授時暦や徐光啓の崇禎暦書は頻出事項
・明代の技術書は、人名、内容もしっかり整理しましょう
古代から宋までの中国文学史
(唐三彩:wikiより)
古代から中国とヨーロッパは陸路を通じて交易をおこなっていました。この交易路をシルクロード(絹の道)といいますね。
シルクロード交易で重要な輸出品となったのが絹織物でした。絹織物の技術は中国から門外不出とされます。高品質の中国製絹織物は西洋世界で憧れの品物となりました。
古代中国でもう一つの重要な発明品は紙です。製紙法は後漢の宦官だった蔡倫によって生み出されました。
製紙法が西方世界に伝わるのは唐とアッバース朝が戦ったタラスの戦いの時です。詳しくは「【世界史B】隋唐帝国と唐代の文化(受験に役立つ中国史)」に記載しています。それまで、ヨーロッパではエジプト産のパピルス紙か羊の皮をなめした羊皮紙でした。
中国では高級な陶磁器生産技術が進化しました。唐の時代に現れた唐三彩は唐代に生み出された彩陶です。様々な形のものが生み出されましたが、もっとも有名なのはラクダに乗った隊商の唐三彩でしょう。
宋代に入ると、陶器よりも高温で焼成される磁器の製造技術があがりました。その結果、白磁や青磁などが生み出されます。
宋代に生み出された白磁や青磁は宋磁ともよばれました。江西省の景徳鎮は宋磁の一大生産拠点として成長します。
磁器が流行した背景には、中国で茶の習慣が流行したため、茶器の需要が増大したことがあります。宋磁は世界各地に輸出されました。
宋代の三大発明といえば、木版印刷術と羅針盤の実用化、火薬の発明です。木版印刷が普及することで本の製造コストが下がるのは、グーテンベルクの活版印刷の場合と同じですね。
羅針盤の発達により外洋航海技術が向上します。のちの明の時代、永楽帝が鄭和に大艦隊を率いさせて外洋航海をさせますが、これも羅針盤の技術があってこそです。
火薬は主に武器として用いられました。ヨーロッパに伝わったのち、銃火器に用いられ重要性を増します。
元から清まで中国科学工芸史
(赤絵:wikiより)
元の時代になると、世界帝国の一部となったことで様々な技術が中国にもたらされました。これらの技術と中国在来の技術が結びつき、発展を遂げます。
フビライ=ハンに仕えた郭守敬は、イスラーム暦などの技術を取り入れ授時暦を作り上げました。授時暦はヨーロッパのグレゴリオ暦(現在使用されている暦の元となるもの)とほぼ同じ精度を誇りました。
明の時代、薬学や農学、各種産業の専門書が盛んに作られるようになります。李自珍が書いた『本草綱目』は薬物に関する総合書。この本は日本にももたらされ、日本での薬学振興に役立ちました。
徐光啓はアダム=シャールの協力を得て最新の暦である『崇禎暦書』を作ります。さらに、西洋の水利学と中国の農学を組み合わせた『農政全書』を書きました。
さらに、宋応星は中国で独自に発達した産業技術を中心にまとめられた『天工開物』を著します。『天工開物』では産業を18に分類。それぞれの技術について図版付きでまとめた画期的なものでした。
陶磁器は、元代の染付と明代の赤絵に注目ですね。どちらも輸出用として生産され、世界各地に広まりました。
まとめ
中国の科学技術でよく出題されるのは製紙法や三大発明と陶磁器、明代の技術書です。文化史の他の分野と違い、的を絞りやすいですのでしっかりと取り組み、得点源としましょう。
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