【世界史B】受験に役立つ中国史 (後漢から三国時代まで) 第三回

みなさん、こんにちは。【世界史B】受験に役立つ中国史シリーズをはじめます。今回は後漢から三国時代までを扱います。

 

今回の話は、前回出た赤眉の乱ですが、この赤眉の乱を収束させた劉秀(後に光武帝と名乗ります)は漢王朝を復活させます。光武帝(劉秀)以前の漢王朝を前漢、光武帝(劉秀)以後を後漢といいます。その後、党錮の禁により後漢王朝は弱体化し、黄巾の乱により後漢は滅びます。その後、中国は魏・呉・蜀の三国時代に突入します。

 

今回は特に光武帝の後漢の状況などを踏まえつつ三国時代までを一気に解説していきたいと思います。ちなみに、前回までは前漢までを述べていました。まだ読んでいない人や忘れてしまった人は「【世界史B】受験に役立つ中国史(秦〜前漢末)」をお読みください。

 

今回の記事のポイント・赤眉の乱の混乱を治めた光武帝(劉秀)は後漢を建国し洛陽に都をおいた

・後漢は宦官と党人の対立である党錮の禁により弱体化

・太平道の信者による黄巾の乱は後漢を事実上の滅亡に追い込んだ

・後漢崩壊後、中国全土を三分する三国時代となった

赤眉の乱と後漢の建国

(光武帝:wikiより)

紀元後8年、漢王朝の外戚だった王莽は前漢最後の皇帝を廃して、を建国しました。王莽は儒教に基づいた政治を行いましたが、現実性を欠く復古的な政治だったため各地で王莽に対する反発が拡大します。

 

18年、王莽が干ばつや飢饉に何ら手を打たないことに怒った民衆は反王莽の兵をあげます。地方豪族も反乱に加わり、新は急速に力を失いました。反乱軍が眉を赤く塗っていたため赤眉軍とよばれます。これを赤眉の乱と言います。

 

そこで、中国全土が混乱する中で、漢の王族に一人だった劉秀が勢力を拡大していきます。そして、25年に光武帝として帝位につきました。光武帝以後の漢を後漢といい、都を洛陽におきました。

後漢は赤眉の乱を鎮圧したのち、中国全土を統一します。かつての力を取り戻した後漢は匈奴や西域諸国を服属させました。特に91年に西域都護となった班超は西域諸国を後漢に従わせることに成功します。西域都護とは、西域を統括することを示す中国の官名です。班超は部下の甘英パルティアや地中海方面に派遣しました。

 

ちなみに、班超の兄に当たる班固は前漢の歴史『漢書』を編纂します。中国では、次の王朝が前の王朝の歴史を書くのが通例であり、「正史」といいます。『漢書』は正史の手本とされました。

 

57年には倭の奴国の使者が後漢を訪れ、『漢委奴国王の金印を授かりました。福岡県志賀島で後に『漢委奴国王』という金印が見つかりました。

 

166年には大秦国王安敦の使者が現在のベトナムにあたる日南郡に来航します。安敦は五賢帝時代のローマ皇帝マルクス=アウレリウス=アントニヌスのことだと考えられます。マルクス=アウレリウス=アントニウスについては「【世界史B】受験生に役立つヨーロッパの歴史(帝政ローマ:カエサル以降)」を読んでみてください。

後漢の衰退と黄巾の乱

(張角:wikiより)引用:

2世紀に入ると、後漢の内部で后妃の親族である外戚と皇帝の身の回りの世話を担当する去勢された男性側近である宦官が対立します。さらに、権力を握った宦官が儒教を奉じる官僚を排斥したため、後漢の政治は乱れました。

 

166年、宦官は官僚たちを党人と呼び、党人たちを朝廷の重要役職から排除しました。この一件を党錮の禁といいます。宦官による党人弾圧は20年にわたって続きました。

 

184年、生活苦などに苦しむ農民たちは太平道の教祖である張角を指導者として後漢王朝に反旗を翻します。これが、黄巾の乱です。反乱軍は頭に太平道の神である「黄天」を象徴する黄色の頭巾をかぶりました。

 

宦官たちは地方の党人たちが農民たちと合流することを警戒します。党錮の禁を解除しました。地方豪族の多くが反乱鎮圧に協力しました。黄巾の乱は1年余で鎮圧されますが、反乱鎮圧後も黄巾残党が各地で暴れる状態が続き、後漢王朝は統治能力を失います。

三国時代の到来

(赤壁:wikiより)

189年、霊帝が死去すると大将軍何進は地方軍閥の力を借りて宦官を打倒しようとしました。しかし、それを察した宦官が先に何進を暗殺してしまいます。

 

ところが、何進が呼び寄せた地方軍閥の一人である董卓は混乱する洛陽を軍事的に制圧します。独裁権を握り、霊帝の跡を継いでいた少帝を廃し、献帝を擁立するなど強権をふるいます。

 

各地の有力者は反董卓連合軍を結成。董卓は都の洛陽を捨てて、前漢時代の都である長安に移ります。その後、董卓は部下の呂布に暗殺され、中国全土は群雄割拠の時代となりました。

 

並みいる群雄の中で皇帝である献帝を擁し、華北で力を強めたのが曹操でした。曹操は官渡の戦いで最大のライバルである袁紹に勝利すると華北の支配権を固めます。

 

長江下流域で支配権を確立したのが孫権でした。曹操は中国統一を目指し、孫権と赤壁の地で戦います。孫権は曹操と対立していた劉備らの支援も受け、赤壁の戦いで勝利しました。

 

曹操の死後、曹操の跡を継いだ曹丕は献帝に皇帝の位を禅譲させ魏を建国します。これにより後漢は名実ともに滅亡しました。

 

後漢の滅亡を受け、劉備は蜀の地で、孫権は呉の地でそれぞれ皇帝を称します。中国全土を魏・呉・蜀が三つに分ける三国時代の到来です。

後漢から三国時代までのまとめ

赤眉の乱の混乱を制し、後漢を建国し劉秀はかつての漢の力を取り戻します。1世紀末に西域都護となった班超は西域諸国を後漢に服属させシルクロードの交易権を握ります。

 

2世紀に入ると宦官と党人の対立である党錮の禁が発生。農村では地主と農民たちの貧富の差が拡大します。後漢に対する不満の受け皿となったのが張角率いる太平道でした。太平道の信者が起こした黄巾の乱は後漢を弱体化させ、その後の三国時代の呼び水となります。

前回の記事「【世界史B】受験に役立つ中国史(秦〜前漢末)

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