みなさん、こんにちは。数学ⅡBのコーナーです。今回のテーマは【剰余定理】【因数定理】です。
剰余定理・因数定理という漢字を見ると、むずかしそう…と思ってしまいますよね。
この記事では、こんな疑問をもつたかしくんでも剰余定理・因数定理が理解できるように、わかりやすく解説するので安心してください。
剰余定理とは、「余」という漢字の読みでもある「あまり」に関する定理のこと。因数定理は、剰余定理を覚えれば誰でもわかるかんたんな定理です。気負わずに勉強していきましょう。
それでは、さっそく剰余定理・因数定理について解説していきます。
・剰余定理・因数定理の使い方がわかる
・自分で実際に剰余定理・因数定理を使える
剰余定理とは?
先ほど説明したとおり、剰余定理とは「あまり」に関する定理のこと、です。
まとめると次のようになります。
多項式$P\left(x\right)$を数式$x-a$で割った余りは$P\left(a\right)$に等しい
多項式$P\left(x\right)$を数式$ax+b$で割った余りは$P\left(-\frac{b}{a}\right)$に等しい
文字を見てもイメージがわかない…という人もいるでしょう。
そういうときは、実際に具体的な例を考えてみましょう。
$P\left(x\right)=x^{3}-2x^{2}+4x+7$を$x-1$で割ってみましょう。
(多項式の割り算は、こちらの記事が参考になります
→多項式の除法とは?計算方法をわかりやすく解説して演習問題を解く)
割り算できましたか?
それでは$P\left(1\right)$を確認してみましょう。
$P\left(1\right)=1^{3}-2\times 1^{2}+4\times 1+7=10$
このように、多項式$P\left(x\right)$を数式$x-a$で割った余りは$P\left(a\right)$に等しくなります。
剰余定理の使い方
剰余定理を使うと、多項式$P\left(x\right)$を数式$x-a$で割った余りを求められるだけでなく、次のような問題も解くことができます。
$x^{3}+x^{2}+ax+b$を$x-1$で割ると3余り、$x+2$で割っても3余るとき、a・bの値を求めよう。
多項式$P\left(x\right)$を数式$x-a$で割った余りは$P\left(a\right)$に等しいので、
$P\left(1\right)=1^{3}+1^{2}+1\times a+b=3$
$P\left(-2\right)=\left(-2\right)^{3}+\left(-2\right)^{2}+\left(-2\right)\times a+b=3$
これらを変形すると、
a+b=1、-2a+b=7
よって、a=-2、b=3…(答)
因数定理とは?
因数定理は、剰余定理がわかっていればかんたん。次のように表すことができます。
多項式$P\left(x\right)$において$P\left(a\right)=0$ならば、$P\left(x\right)$は$x-a$で割り切れる
多項式$P\left(x\right)$において$P\left(\frac{b}{a}\right)=0$ならば、$P\left(x\right)$は$x-\frac{b}{a}$、$ax-b$で割り切れる
さっそく因数定理を使ってみましょう。
因数定理の使い方
因数定理は、因数分解で活用することができます。
$x^{3}+3x^{2}-x-3$を因数分解しよう。
$P\left(x\right)=x^{3}+3x^{2}-x-3$とおくと、
$P\left(1\right)=1^{3}+3\times1^{2}-1-3=0$
多項式$P\left(x\right)$において$P\left(a\right)=0$ならば、$P\left(x\right)$は$x-a$で割り切れるので、
$x^{3}+3x^{2}-x-3=\left(x-1\right)\left(x^{2}+bx+c\right)$
右辺を展開すると、b=4、c=3とわかるので、
$x^{3}+3x^{2}-x-3=\left(x-1\right)\left(x^{2}+4x+3\right)$=(x-1)(x+1)(x+3)
練習問題を解いてみよう
剰余定理・因数定理の使い方がわかったので、練習問題を解いてみましょう。
問題
$x^{3}-2x^{2}+ax+b$を$x-1$で割ると2余り、$x+1$で割ると-8余るとき、a・bの値を求めましょう。
解答
$P\left(x\right)=x^{3}-2x^{2}+ax+b$とおくと、
$P\left(1\right)=1^{3}-2\times 1^{2}+1\times a+b=2$
$P\left(-1\right)=\left(-1\right)^{3}-2\times \left(-1\right)^{2}+\left(-1\right)\times a+b=-8$
これらを変形すると、
$a+b=3$、$-a+b=-5$
よって、a=4、b=-1…(答)
今回のまとめ
今回は、剰余定理・因数定理について解説してきました。
剰余定理さえ覚えれば因数定理はかんたんに使えることがわかったことでしょう。まずは練習問題を繰り返し解いて、剰余定理を完ぺきに使えるようになりましょう。
今回もおつかれさまでした。
コメント
因数定理の使い方のところでちょっと分かりにくい気がします。
例題のx^3+3x^2-x-3の問題でどのようにしてx=1のときx^3+3x^2-x-3が0になるのかを導く方法を書いたほうがいいと思います。
ここでは
①x^3+3x^2-x-3の定数-3の3(符号を無視する)に注目する。
②3の約数を考える
1 3
-1 -3
③これらから1つ選んでxに代入をしてx^3+3x^2-x-3=0になるものを探す。(今回はx=1、-1、-3)
がいいかと思いました。
あと同じ例題の問題で答え(x-1)(x^2+4x+3)はもう一回因数分解できます。
答えは(x-1)(x+1)(x+3)だと思います。