みなさんこんにちは。今回は気候区について解説したいと思います。気候区とは、世界各地の気候特色がよく似た地域をいくつかの区域に分けたものを指します。
代表的なものとしては高校の地理では必須となっており、試験にも頻繁に出されるケッペンの気候区分があります。
試験などではよく、ケッペンの気候区分はハイサーグラフや雨温図を読み解くという問題の中で登場します。ハイサーグラフや雨温図は、気候を知るうえで非常に重要なグラフで、熱帯雨林気候などをはじめ様々な気候区のクセを読み取ることができるグラフです。
そのため、気候区やグラフの読み方を理解しているかということを問う問題が大学入試ではよく登場します。
ここでしっかりと気候区・雨温図・ハイサーグラフについてきちんと覚え、問題の解き方を理解しましょう。
この記事を読んで理解できること・気候区とは何かについて理解できる
・気候区分の代表格であるケッペンの気候区分について理解できる
・雨温図、ハイサーグラフの読み方について理解できる
気候区とは
世界には寒いところもあれば暑いところも、雨が降る所もあれば全く降らないところもといったように、様々な種類の気候の地域がありますよね。この世界各地の気候を気候特色がよく似た地域ごとにいくつかの区域に分けた気候区分のことを気候区と呼びます。
また、気候区分は太陽熱放射による気温分布を要因とすることから、一般的に緯度に並行する形で形成されるのが特徴です(ただし、例外も多いので注意が必要です)。
気候区分には次のようなものがあります。
ケッペンの気候区分…代表的でシンプルな気候区分
図はWikipediaより引用
ケッペンの気候区分とは、ドイツの気候学者であるケッペンが提唱した気候区の区分です。ケッペンは世界各地の植生に着目し、気候と降水量という2つの変数をもとにして気候区分を決定しました。
ケッペンの気候区分では、次のような記号で表記されます。
一番最初の記号(図の場合はA)は、気候帯を示しています。気候帯は、次の基準をもとに5種類に分けられます。
乾燥帯気候(B)は、乾燥限界によって次のように区分されます。
なお、気候帯・乾燥限界は必ず大文字・小文字を守って書いてください。
さらに、気候区は5つの気候帯(熱帯・乾燥帯・温帯・冷帯(亜寒帯)・寒帯)を軸として、次のように区分されています。
※補足 Cs,Cwに該当しないもののうち、最暖月平均気温が22℃以上の場合は温暖湿潤気候(Cfa)に、月平均気温10℃以上の月が4か月以上であれば、西岸海洋性気候の(Cfb)、3か月以下であれば西岸海洋性気候の(Cfc)となります。
雨温図とハイサーグラフ
雨温図とは
雨温図とは、ある地域の降水量と気温のデータを表現するために用いられるグラフの一種です。
月別平均降水量を棒グラフで、月別平均気温を折れ線グラフで表現し、それらを重ね合わせて一つのグラフに表示します。具体的には次に示すようなグラフです。
雨温図作成サイト|谷謙二研究室|埼玉大学教育学部人文地理学 より作成
ハイサーグラフとは
ハイサーグラフとは、雨温図同様にとは、ある地域の降水量と気温のデータを表現するために用いられるグラフの一種です。
縦軸を平均気温、横軸を平均降水量としたうえで、各月の平均気温と平均降水量が一致する場所に点をプロットしたうえで、1月~12月までのデータを結びます。具体的には次に示すようなグラフです。なおこのグラフは、先ほどの雨温図と同じデータを用いています。
雨温図作成サイト|谷謙二研究室|埼玉大学教育学部人文地理学 より作成
雨温図とハイサーグラフから気候区分を読み取る
ここでは、いくつかの雨温図とハイサーグラフをもとにしながら、どのようにして気候区分を読み取るのかについて説明したいと思います。
その1
雨温図作成サイト|谷謙二研究室|埼玉大学教育学部人文地理学 より作成
雨温図・ハイサーグラフのいずれからも最寒月の平均気温が-3℃以上18℃未満であることが読み取れますね。また、乾燥限界以上の降水量があることが読み取れます。ですので気候帯は温帯になります。
また、冬の最多雨月降水量が夏の最少雨月降水量の3倍以上でも、夏の最多雨月降水量が冬の最少雨月降水量の10倍以上でもないことが読み取れます。さらに、最暖月平均気温が22℃以上であることが読み取れます。以上の点から、気候区分は温暖湿潤気候(Cfa)になります。
ちなみにこのデータは新潟県・高田(上越市)のデータになります。
その2
雨温図作成サイト|谷謙二研究室|埼玉大学教育学部人文地理学 より作成
雨温図・ハイサーグラフのいずれからも最寒月が18℃以上あることに加え、また、乾燥限界以上の降水量があることが読み取れます。ですので気候帯は熱帯になります。
また、一番雨が少ない月の降水量が60mm以下であり、かつ最少雨月降水量<100-0.04×年降水量であることも読み取れます。よってこの地域の気候帯はサバナ気候(Aw)となります。
ちなみにこのデータはタイ・バンコクのデータになります。
その3
雨温図作成サイト|谷謙二研究室|埼玉大学教育学部人文地理学 http://ktgis.net/service/uonzu/index.html より作成
雨温図・ハイサーグラフのいずれからも、最暖月の平均気温が10℃以上、最寒月の平均気温が⁻3℃未満であることが読み取れます。ですので気候帯は寒帯になります。
また、夏の最多雨月降水量が冬の最少雨月降水量の10倍以下だということも読み取れます。このため、気候区は冷帯湿潤気候(Df)となります。
ちなみにこのデータはカザフスタン・アルマトイのデータになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
気候区については覚えることが非常に多いため、まずはしっかりと気候区分の名称を覚えるようにしてください。
気候区分の代表例であるケッペンの気候区分には次のようなものがありましたね。
しっかりと気候区分を覚えたら、雨温図とハイサーグラフを自分で作ってどのような気候区分になるかを読み取ってみましょう。
気象データについては https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/mainstn/nrmlist.php
雨温図・ハイサーグラフの作成については http://ktgis.net/service/uonzu/index.html
がおすすめです。地理についてより詳しく学びたければ「村瀬のゼロからわかる地理B 地誌編」を読んで見ましょう。
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