時と条件を表す副詞節には以下のようなものがあります。
時と条件を表す副詞節
時:when節、until節、before節など
条件:if節、unless節など
試験によく登場するイジワルな問題なので、しっかり理解しておきたいですよね。
さて、この「時と条件を表す【副詞節】」では主節が未来形でも「現在形」を使うというルールがあるのはご存知ですか?
なぜそのようなルールがあるのでしょう?
今回は、「時と条件を表す副詞節」にまつわる時制のルールと仕組み、助動詞willとは何か、そもそも副詞節と名詞節はどう見分けるか?などを解説します。
今回の記事を読んだらわかること・時と条件の副詞節の中の「時制」がわかる
・名詞節と副詞節の見分け方がわかる
・時と条件の副詞節では未来形が動詞の原形になる理由を学べる
時・条件の副詞節の中では時制に注意
英文法の「時制の一致」を思い出してみましょう。
主節の動詞(V)と従属節の動詞(V‘)は、時制が同じになるというルールですね。
I thought that he truly loved her. (僕は、彼は本当に彼女を愛しているのだと思った。=
時制はともに過去形です。)
I(私が)thought(考えた)瞬間と、he(彼が)loved(愛した)瞬間は同じだから、時制も同じ過去形になっています。日本語と違う感覚ですが、図を書くとわかりやすいですよ。
さて、この原則の「例外」にあたるのが、今回の時と条件を表す副詞節です。
未来のことでも現在形(現在完了)にする
まずは次のルールを覚えましょう!
時と条件を表す副詞節の中(従属節)の動詞は
①未来形→現在形に
②未来完了形→現在完了形に
となります。
例えば、
I will call you when you finish dinner. (君が夕食を食べ終わったら電話するよ。)
これは、主節にwill call you(君に電話をかけるつもりだ)という未来形があるのにも関わらず、従属節(when以下の文章)に含まれる動詞はfinishという現在形になっています。
これは、when節が「君が夕食を食べ終わった時に…」という、時をあらわす副詞節だということです。
もうひとつ例文を見てみましょう。
I will have workedhere for 10 years if I still belong to this company next month. (来月になってもこの会社に所属していれば、私は10年ここで働いていることになります。)
こちらも、主節の動詞が未来完了will have workedなのに、条件をあらわす副詞節のif以下(従属節)は、動詞が現在形belongになってますね。時制の一致の例外です。
過去の時は過去形、現在の時は現在形
では過去形と現在形はどうなのかというと、
- ③現在形→現在形
- ④現在完了形→現在完了形
- ⑤過去形→過去形
- ⑥過去完了形→過去完了形
こちらは、ちゃんと時制が一致しています。未来形だけがイレギュラーなのがわかりますね。
まずは副詞節か名詞節かを判断する
when節とif節には「名詞節」という使い方もあります。名詞節のときには、時制の一致の例外ルールは適用されませんので注意です。
ここでしっかり違いを理解しておきましょう。
時や条件を表す名詞節の場合
ひっかけ問題によく出るのは、「時と条件を表す名詞節」です。名詞節ではifやwhenは以下の形で訳します。
名詞節if節「~(するか・であるか)どうか」
when節「いつ~(する・なる)か」
そして、名詞節の例文を見ると、
このように、if以下の中も未来形になってますね。名詞節の場合は、未来形でも時制は一致します。
副詞節と名詞節の区別
副詞節と名詞節の見分け方はカンタンです。
そのwhen節またはif節を、文の中から取り除いてみるのです。
- 残った主節だけで意味が通じたら「副詞節」!
- 反対に、意味がわからなくなったら「名詞節」です。
I will not ask him if he will give up his dream.(彼に夢をあきらめるかどうかを訊くつもりはない。)でif以下がなければ、「私は彼に聞くつもりはない」と、何を聞くのかよくわからないので名詞節と判断できます。
askは第4文型でも使用するので注意しましょう。
名詞節は文の構成要素(主語S、目的語V、補語O)であるのに対し、副詞節はあくまでも副詞の役割です。副詞節は存在しなくても、文としては問題ないのです。
時や条件を表す名詞節と副詞節の接続詞の一覧表
時と条件を表す副詞節では、どんな接続詞が使われるかを整理しましょう。
接続詞 | 副詞節 | 名詞節 | |
時 | when | 現在形「~するとき」 | 未来形「いつ~するか」 |
until(till),before, by the time, as soon asなど | 現在形 | × | |
条件 | if | 現在形「もし~なら」 | 未来形「~するかどうか」 |
unless, in case | 現在形 | × |
なぜ時と条件を表す副詞節中では、未来のことでも現在形を使うのか
最後に豆知識。時と条件を表す副詞節の中では、なぜ未来のことでも現在形を使うようになったのか、その理由について諸説をご紹介します。
色々と言われていますがだいたい以下の3つの理由に集約されます。
シェイクスピア時代からの名残り
英国戯曲家シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』の中に、こんな有名な一節があります。
If love be blind, love cannot hit the mark. (もし恋が盲目なら、恋は的を射抜くことはできない。)
If節(条件節)の主語はlove(愛)ですが、続く動詞はbe blind(目が見えない)で動詞の原形になっていますね。
このように、シェイクスピアの活躍した時代では、条件を表すときには動詞の「原形」が使われていました。
さらに時代が下って、動詞の原形だと三人称・単数・現在形の-sが省略されることになり混乱が生じてしまう!という理由から現在形を使うことになった、という説があります。
willは心の動きであり、前提条件と心の動きは関係ないから
助動詞willの意味を「未来」だと思っていませんか?実はネイティブ的感覚だと、違うんです。
willは「意志」と「予想」という、「心の動き」を表すために使う言葉です。
I will never lie again! (もう二度と嘘はつかないよ!)
時や条件には人間の意志は介在しません。だから、そもそも「心の動き」を表す助動詞willも使う必要がないのだ、という説もあります。
条件文は本来、現在形がふつうである。一般的真理と同類に扱われる
最後に、条件分の中に登場する現在形は「実際の現在の時間を表しているのではない」という説を紹介します。
条件分は「Aならば→Bである」を表す性格上、「一般的・普遍的な真理」と同じ意味合いの現在形を使うというものです。意思や予測を表す助動詞なので、canやshouldなどと違わないだろうという立場。
ただし、これでは過去形については説明がつかないというポイントもあります。
時・条件の副詞節の問題
それでは練習問題です!時制の一致の問題は入試にも頻出なので、この練習問題でしっかりと解けるようにしておきましょう。
問題
(1)The game would be cancelled if it( )tomorrow.(もし明日が雨だったら、その試合は中止されるだろう。)
If以下の節は条件を表す副詞節なので、明日のお話ですが、現在形rainsが使われます。三人称・単数・現在形の-sは忘れずに!
(2)When you( )the college, I’d make an offer to you.(君が大学を卒業したら内定を出しましょう。)
When以下は時を表す副詞節なので、現在形graduateを使います
(3)If it( )( )not ( )for John’s proposal, he may( )( )beaten.(ジョンの提案がなければ、彼は叩きのめされていたかもしれない。)
これは仮定法過去完了というものです。If it had not been for~で、過去の出来事について「もしその時に~がなかったら…」という、実際とは逆の現実が起こっていたことを想像しながら言う仮定法の決まり文句です(ここだと、実際にはジョンの助言があったから彼は助かったということが読み取れますね)。
If節は条件を表す副詞節ですが、過去形なので、時制の一致は普通に起こります。
(4)When she( )home, I’ll ask her if she( )( )( )the cat tomorrow. (彼女が帰ってきたら、明日猫を迎えに行くか訊いてみようと思う。)
「whenを使った副詞節」と「ifを使った名詞節」の両方が出てきましたね。この場合のif節は、「彼女に~かどうかを尋ねる」を表すので名詞節。よって未来形が使えます。
一方で、「彼女が帰ってきたら…」は時を表す副詞節なので、現在形comesになっています。
時・条件を表す副詞節のまとめ
お疲れ様でした!
時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在形の動詞を使うことを学んできましたね。
ifとwhenが登場する問題文が出てきたら、まずはそれが副詞節か・名詞節かを見分けるクセをつけましょう!
次に、副詞節だった場合、そこに含まれる動詞は未来形にならない、というルールを思い出せたら、恐るるに足らず。
何度でもこの基本に立ち戻って、理解を深めていってくださいね。
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