植生の遷移について入試問題付きで解説します!【生物基礎】

雷や火事などの自然現象や、人間による活動で植生が破壊されてしまっても、植生は元に戻ります。

破壊された場所は、長い時間をかけてまた元に戻っていきます。

今回は、このような植生の移り変わりを見ていきます。入試では、遷移は頻出問題です。

この記事の最後には入試問題がついてます。

是非最後まで読んで、理解したか問題で確認してみてください。

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植生の遷移

植生とは、ある場所の地表を覆う植物の集まりのことです。植生は、時間と共に変化していきます。

その移り変わりのことを遷移といいます。

〔数研出版 チャート式生物基礎・生物〕

遷移の過程

遷移の様子を見ていきましょう。

今回は、裸地から草原、森林への変化していく様子をみます。

 ①裸地・荒原 → ②草原 → ③低木林 → ④陽樹林 → ⑤混合林 → ⑥極相林

の順に植生は変化していきます。

〔実教出版 生物総合資料集〕

① 裸地・荒原

〔実教出版 生物総合資料集〕

新しくできた裸地は、栄養分が少ない土地です。さらに、直射日光や高温・乾燥にも晒される植物にとって過酷な環境です。

 

このような厳しい環境に、最初に侵入する植物を先駆種(パイオニア植物)といいます。岩の上にはコケ植物や地衣類などの先駆種が生えます。

 

砂や磯のある場所には、イタドリやススキなど草本類の先駆種が生えます。そうしてやがて、パッチ状に植生の広がる荒原ができます。

②草原

〔実教出版 生物総合資料集〕

 

パッチ状の植生が大きくなり、数が増えていくと荒原から草原になります。植物が枯死したり、落葉などすることで養分を多く含んだ土壌が出来上がります。

 

そして、イタドリやススキ、木本のヤシャブシなどがみられるようになるのです。

③低木林

〔実教出版 生物総合資料集〕

 

土壌ができて植生が発達すると、やがて鳥や風によって種子が運ばれた樹木が生育します。低木が草本よりも優占し、先駆種の草本は駆逐されてしまいます。

 

この遷移の初期に現れる樹木先駆樹種といいます。先駆樹種は日向での成長に適した陽樹であることが多いです。

④陽樹林

〔実教出版 生物総合資料集〕

 

先駆樹種が成長すると森林ができます。この時期の森林は、日向での生育に適した陽樹で構成されています。

 

溶岩などは、植物の根により砕かれ、土壌形成が進みます。

⑤混合林

〔実教出版 生物総合資料集〕

 

陽樹が成長するにつれ、地表に届く光が少なくなっていきます。

 

この光の量を、相対照度といいます。陽樹林の林床に光が入らなくなると、陽樹が育たなくなります。

 

すると、暗いところで育つ陰樹が育つのです。このような、遷移の後期に現れる樹木極相樹といいます。

 

こうして、陽樹と陰樹が混在する混合林になります。

⑥極相林

〔実教出版 生物総合資料集〕

 

森林を構成する樹木の種類が、先駆樹種から極相樹種へと交代します。

 

やがて、極相樹種を中心とした森林、極相林になります。極相林になるには長い年月が必要です。

一次遷移と二次遷移

一次遷移は、土壌がない裸地から始まる遷移をいいます。

 

それに対して、土壌がある状態からスタートする遷移を二次遷移といいます。以前に、植生が作り出した土壌や種子を一部比気づいだ形で開始します。

 

二次遷移は一次遷移に比べてかなり速く遷移が進みます。

入試問題にチャレンジ

【問題】

ある場所の植生が長い年月とともに変化していく現象を(A)という。

 

火山の噴火によって生じた裸地から始まる(A)と山火事によって生じた裸地から始まる(A)とでは、後者のほうがより短い年月で森林へと変わる。

 

これは、山火事によって生じた裸地にはすでに(B) が形成され、そこに植物の成長に必要な養分が蓄えられていることや、植物の種子や地下茎などが残存していることが多いためである。

 

火山の噴火跡から始まる(A)の場合、先駆植物の侵入、草原、低木林を経て、陽樹を中心とした森林が形成される。

 

陽樹は( ア )が高く、日当たりのよい場所での光合成が盛んで成長も速いが、同時に( イ )も大きく、その幼樹は( ウ )の低い林床では生育できない。

 

反対に陰樹は( イ )が小さく,その幼樹は日陰でも成長し、やがて陰樹林を形成する。

 

このように年月を経て形成された陰樹を中心とした森林のことを(C)とよぶ。

 

(1) 文章中の(A)~ (C)に入る適語を答えよ。

A 遷移 B 土壌 C 極相林(極相)
土壌がない状態で始まる遷移が、一次遷移です。土壌がある状態で始まる遷移が、二次遷移です。
極相林も、土砂崩れなどでスペースがあく(ギャップといいます)と、そこから陽樹が育ちます。したがって、極相林には陽樹も一定数あります。

 

(2) 文章中の( ア )~( ウ )に入る適語を次から選び,それぞれ記号で答えよ。

  • (a) 最適温度
  • (b) 蒸散量
  • (c) 被食量
  • (d) 呼吸速度
  • (e) 湿 度
  • (f) 相対照度
  • (g) 気 温
  • (h) 光飽和点
ア h イ d ウ f
陽樹は光飽和点が高く、呼吸速度も大きいので光が少ないところでは生育できません。光飽和点が高いと、植物を維持するのに必要な光の量が多くなります。
また、呼吸速度が大きいと、少しの光だと呼吸速度が光合成速度を上回り、枯れてしまします。

〔リードα生物基礎より 09 立命館大 改〕

まとめ

 

・遷移は、ある場所の植生が時間と共に移りかわること。

 

・遷移は

①裸地・荒原 → ②草原 → ③低木林 → ④陽樹林 → ⑤混合林 → ⑥極相林

の順に変化

 

・ 一次遷移は、土壌がない裸地から始まる遷移

 

・ 二次遷移は、土壌がある状態からスタートする遷移

 

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