東西両陣営の動揺と冷戦の終結【現代史 第3回】

こんにちは。今回回は東西両陣営の同様と冷戦の終結。第二次世界大戦中のヤルタ会談で始まった冷戦により、米ソは半世紀近くにわたって対立を続けました。

 

その間、アメリカもソ連も国力が低下。冷戦を継続するのが困難になっていました。1989年、ベルリンの壁が崩壊し事態が急変。同年12月、米ソの首脳が地中海のマルタ島で会談し、冷戦の終結を宣言します。

  • ・ベトナム戦争の長期化で、アメリカは疲弊。国内では反戦運動が活発化
  • ・フランスはNATOを脱退し独自外交を志向
  • ・ソ連はブレジネフ=ドクトリンにもとづき、プラハの春を弾圧
  • ・1960年代後半、中ソ両国が武力衝突。中ソ対立が頂点に
  • ・西欧諸国がECを結成。アメリカから自立を図る
  • ・日本で東京オリンピック開催。OECDに加盟し先進国の仲間入り
  • ・ドル=ショックでブレトン=ウッズ体制が崩壊。変動相場制へ
  • ・2度の石油危機で先進国の経済成長が鈍化
  • ・ソ連はアフガニスタン侵攻で経済的に行き詰まる
  • ・米ソ首脳はマルタ会談で冷戦の終結を宣言
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東西両陣営の動揺

(ベトナムの北爆:wikiより)

1965年、アメリカは北ベトナムに対して北爆を実施し、本格的にベトナム戦争に介入します。インドシナ半島を共産化させないため、アメリカは地上軍などを派遣しました。しかし、北ベトナム軍と南ベトナム解放戦線は粘り強く戦い、戦争は長期化します。

(南北ベトナム:wikiより)

アメリカ国内では戦争を継続するジョンソン政権に対し批判が強まりました。学生を中心にベトナム戦争への反対を訴える反戦運動が拡大していきます。結局、アメリカは1973年にベトナムから撤退しました。

 

1967年、「フランスの栄光」の復活をもくろむド=ゴールは、フランスをNATOから脱退させるなどアメリカに追随しない独自外交を展開します。

 

1968年、チェコスロヴァキでは「プラハの春」とよばれる民主化運動が起きました。これに対しソ連のブレジネフは軍事力を行使して押さえつけます。

 

社会主義陣営全体の利益のためには一刻の利益は制限されるべきだとするブレジネフの考えはブレジネフ=ドクトリン(制限主権論)といわれました。

 

その一方、ソ連と中国の関係は悪化しました。1969年、珍宝島(ダマンスキー島)周辺でソ連と中国両軍の大規模な武力衝突が発生。中ソ対立がピークに達します。

西欧・日本の経済復興

(欧州国旗:wikiより)

1960年代後半に入ると、西欧や日本が第二次世界大戦の痛手から復興し、急激な経済成長を遂げます。

(ヨーロッパ共同体:wikiより)

1967年、西ヨーロッパではヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)とヨーロッパ経済共同体(EEC)、ヨーロッパ原子力共同体(EURATOMが合同し、ヨーロッパ共同体(EC)が結成されます。

 

これにより、フランスによるNATO脱退の動きと相まって、西ヨーロッパ諸国の独自性が強まっていきました。

 

日本は1950年の朝鮮戦争で復興の足掛かりをつかむと、高度経済成長に突入しました。1964年には東海道新幹線が開通。さらに、東京オリンピックが開催されるなど国民も経済的な成長を実感できるようになりました。

 

S先生
S先生
1964年は東京オリンピック合わせてカラーテレビ放送が始まったりと日本の転換点となった年なので必ずおぼえておこう!!!

 

1965年、日本はOECD(経済協力開発機構に加盟します。先進国の仲間入りを果たします。以後も日本の経済成長は続き、資本主義国で第2位のGDPとなるまでに成長しました。

世界経済の動揺

(ブレトンウッズ協定が結ばれたホテル:wikiより)

第二次世界大戦中の1944年、ブレトン=ウッズ会議が開催され、国際通貨基金(IMF)と国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決まりました。同時に、ドルを基軸通貨とし金との交換を保証する固定相場制が採用されます(ブレトン=ウッズ体制)。

 

1960年代にはいると、アメリカの貿易赤字や反共のための対外援助が増大。ベトナム戦争の長期化もあって、アメリカの財政は悪化していました。

 

1971年、ニクソン大統領はこれ以上、アメリカが固定相場制を支えることはできないと判断しドルと金の交換を停止しました。このことをドル=ショック、またはニクソン=ショックといいます。以後、変動相場制に移行しドルの価値は低下しました。

 

1973年、第4次中東戦争がはじまるとアラブ諸国は石油戦略を発動しました。中東戦争を戦うアラブ諸国を支援するため石油の輸出を制限します。中東産の石油に頼っていた先進国は大きな経済的打撃を受けました(第一次石油危機)。

 

1979年、イラン革命が勃発しました。イランの指導者となったホメイニ師は資源保護の観点から産油量を大幅に減らしたため、石油価格が高騰します(第二次石油危機。2度にわたる石油危機により、先進国は低成長の時代を迎えました。

 

冷戦の終結

(マルタ会談:wikiより)

1979年、ソ連はアフガニスタンへの侵攻を開始しました。アフガニスタンに親ソ政権を打ち立て短期間で撤退するつもりでしたが、ゲリラの抵抗などにより戦いは長期化します。

 

アフガニスタン侵攻により経済状況が悪化したソ連は、ゴルバチョフ書記長のもとでペレストロイカを実施します。

 

S先生
S先生
ペレストロイカとはソ連のゴルバチョフ政権が掲げ、1985年から始まった改革です。当初は社会主義経済の停滞を打破するための市場経済導入を柱とした経済改革のみを指していましたが最終的にグラスノスチ(情報公開)まで波及する流れとなりました。

 

一方、アメリカでは保守派のレーガン政権が成立します。強いアメリカを標榜し軍拡を行いますが、貿易赤字と財政赤字という二つの赤字に苦しみます。

 

1989年11月、ベルリンの壁が崩壊することで東西ドイツ統合の機運が急速に高まりました。米ソ両国も互いの妥協点を探り始めます。

(冷戦後期の地図:wikiより)

1989年12月、米のブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長は地中海のマルタで会談。

冷戦の終結を宣言し、新たな米ソ関係と世界秩序の構築を確認しました。冷戦はヤルタ会談に始まり、マルタ会談で終結したといえるでしょう。

 

たなか君
たなか君
ヤルタとマルタ、ややこしすぎる!!

 

S先生
S先生
下の地図を見てしっかりと場所とともにイメージしていきましょう。

まとめ

 

第二次世界大戦後、半世紀近くにわたって続いた冷戦はマルタ会談で終結しました。超大国と言われたアメリカもソ連も、相対的に地位が低下し、西欧や日本などが台頭。多極化の時代を迎えた結果ともいえます。

 

冷戦終結後、ソ連は崩壊。唯一の超大国となったアメリカが国際政治を主導する時代を迎えました。

現代史について勉強したい人は「もういちど読む山川世界現代史」がおすすめです。

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