みなさん、こんにちは。今回のテーマは、内閣です。
内閣の仕組み・権限・総辞職しなければならないタイミングをわかりやすく解説しました。
また記事の後半には、入試問題を用意しています。学習した内容のおさらいができるので、最後まで読んでみてくださいね。
この記事からわかること
・内閣の仕組み
・内閣が総辞職しなければならないタイミング
・内閣・内閣総理大臣の権限
日本の内閣の仕組みとは?
(内閣:wikiより)
議院内閣制
日本の政治体制には議院内閣制が採用されています。議院内閣制とは、国会の信任に基づいて内閣が成立する仕組みのことです。
日本国憲法には、議院内閣制を実現するためのルールがたくさんあります。
まず第67条1項では、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名されると規定されています。
また第68条1項には、内閣総理大臣が国務大臣を任命する際は、過半数を国会議員から選出しなければならないと明記されています。
さらに第66条3項では「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と定められています。つまり内閣と国会は、協力関係にあるわけです。
だから国会(衆議院)が内閣に対して不信任を決議した場合、内閣は10日以内に総辞職するか、衆議院を解散するかのどちらかを選択しなければなりません。
内閣の総辞職
総辞職とは、内閣総理大臣とその他の国務大臣が一度に辞任することです。内閣はその存続が適当でないと判断した場合、いつでも総辞職できます。
また以下のように、存続したくても総辞職しなければならないケースもあります。
① 衆議院で内閣不信任案が可決されたor10日以内に衆議院を解散しない場合(第69条)
② 内閣総理大臣が欠けた場合(第70条)
③ 衆議院議員総選挙後、はじめて国会の召集があった場合(第70条)
第71条で内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで、引き続き職務を行うと定められています。
衆議院の解散
衆議院が解散されると、任期満了前にすべての衆議院議員が一度に議員の資格を失います。
そこで解散の日から40日以内に衆議院議員総選挙が実施されます。
そして選挙日から30日以内に特別会が召集され、新しい内閣総理大臣が指名されるのです。
また衆議院が解散されると、参議院は閉会します。
ただし緊急の必要がある場合には、内閣が参議院の緊急集会を要求できるのでおさえておきましょう。
内閣の構成
(第二次岸田内閣(改造):wikiより)
内閣を構成するのは、内閣総理大臣とその他の国務大臣です。
その他の国務大臣は原則14人以内とされていますが、特別に必要があれば17人まで増やせます。ただし全員が文民でなければなりません。
内閣総理大臣は国会議員の中から国会の指名で選ばれ、天皇が任命します。
一方国務大臣は内閣総理大臣から任命され、天皇が認証します。
国務大臣の過半数が国会議員であれば問題なく、大学教授や民間人の登用も可能です。
内閣の権限
(内閣総理大臣:wikiより)
内閣の主な権限は以下のとおりです。
・法律の執行(第73条1号)
・外交関係の処理(第73条2号)
・条約の締結(第73条3号)
・予算の作成(第73条5号)
・政令の制定(第73条6号)
・恩赦の決定(第73条7号)
条約の締結については、事前または事後に国会の承認が必要です。
ほかにも内閣では、
・天皇の国事行為に対する助言と承認(第3条)
・最高裁判所長官の指名(第6条2項)・その他の裁判官の任命(第79条1項)
・下級裁判所裁判官の任命(第80条1項)
をおこなっています。
内閣総理大臣には下記の権限が与えられています。
・国務大臣の任命・罷免(第68条)
・内閣を代表して議案を国会に提出(第72条)
・一般国務や外交関係について国会に報告(第72条)
・行政各部の指揮監督(第72条)
・法律・政令への署名連署権(第74条)
・国務大臣の訴追への同意権(第75条)
大日本帝国憲法下での内閣総理大臣は、「同輩中の首席」にすぎず、ほかの国務大臣と並んで天皇を補佐するだけでした。
しかし日本国憲法下で内閣総理大臣は内閣の首長として強力な権限をもつ存在に変わりました。
内閣の方針を決定するのは閣議です。閣議は内閣総理大臣が主宰し、国務大臣が出席します。全会一致制で原則非公開です。
今回の範囲はここまでです。続いて入試問題を用意しているので、チェックしてみてください。
入試問題にチャレンジ
問1 下線部ⓑ(内閣)に関連して、日本国憲法の規定で明記された内閣の権限とは言えないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 政令を制定すること
② 下級裁判所の裁判官を任命すること
③ 国政に関する調査を実施すること
④ 外交関係を処理すること
問2 下線部ⓔ(衆議院の解散)についての記述として誤っているものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 内閣は、天皇の国事行為に対する助言と承認を通して衆議院を解散することができる、という憲法運用が定着している。
② 内閣は、衆議院が内閣不信任決議を行わなくても衆議院を解散することができる、という憲法運用が定着している。
③ 衆議院の解散総選挙後、一定期間内に、特別会が招集されなければならない。
④ 衆議院の解散後、国会の議決が必要になった場合、新しい衆議院議員が選挙されるのを待たなければならない。
まとめ
今回は、内閣の仕組み・権限について解説しました。
おさえておきたいポイントは以下の2つです。
この記事を読んで内閣についてしっかりマスターしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
前回の記事「【10分でわかる】国会の仕組みから種類・権限まで徹底解説【政治第18回】」をご覧ください。
次回の記事「裁判所の構成と種類についてわかりやすく解説(入試問題付き)【政治第20回】」をご覧ください。
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