来年(2021年)からついに始まる「大学入学共通テスト」。大学受験勉強中の高校生の皆さんは、初めてのテスト形式には戸惑っていることと思います。
この記事では、平成30年度の「試行調査(プレテスト)」情報をもとに、「大学入学共通テスト数学IA」に焦点をあて、出題内容、配点や解答時間について解説します。
受験生の皆さんは、最新情報を入手し、しっかりとした大学入学共通テスト対策をしていきましょう。
「試行調査(プレテスト)」とは、大学入学共通テストに先立って実施された試験のことです。プレテストの問題を分析することで、大学入学共通テストの問題傾向がわかるので、どういった対策が必要かを推測することが可能です。
プレテストは2017(平成29)年度と2018 (平成30)年度の2回、開催されました。平成29年(1回目)のプレテストで明らかとなった問題点を改善して、平成30年度のプレテストが作成されています。
つまり、平成30年度のプレテストの方が、本番の大学入学共通テストに近い内容になると思われます。
実際、平成29年と平成30年の数学IAプレテストを比較すると、平成30年では問題文の長さが短くなり、解答にかかる時間が少なくて済むように調整されました。
この記事では「平成30年度の数学IAプレテスト」に焦点をあて、大学入学共通テストの問題傾向を予測し、その対策方法について解説します。
大学入学共通テストの数学IAとは(解答形式、配点、解答時間)
まず最初に、大学入学共通テスト数学IAの出題の形式面について分析していきます。
解答形式はマーク式
2020年1月に、大学入試センターから2021年大学入学共通テストの試験時間、配点、問題作成方針が正式に発表されました。
当初、記述問題の出題が予定されていましたが、最終的になくなり、昨年までと同様全てマーク式の解答となります。
また、「すべて選べ」というタイプのマーク式解答もなくなり、本番では、必ず正解を一つ選ばせる形式になります。
必答問題2題、選択問題3題
「数学Ⅰ・数学A」は「数学Ⅰ」と「数学A」を総合した出題範囲となり、全部で5題出題され、そのうち4題を解答します。5題中2題は必ず解答する必要がありますが、残り3題は選択問題です。
選択となる問題は「数学A」から出題される「場合の数と確率」,「整数の性質」,「図形の性質」の3題で、このうち2題を選びます。
配点100点、解答時間70分間
配点は100 点で昨年と変更がありませんが、解答時間は70分間となり、昨年(センター試験)と比べて10分間長くなりました。
しかし後述する通り、解答時間は長くなる以上に問題が長くなり、それに加えて膨大な情報量から必要な情報を読み取る「読解力」が必要になることが予想されます。各問題にかける時間配分は今まで以上に重要になるでしょう。
次に問題傾向について分析していきます。
大学入学共通テストの数学IAの問題傾向とは(平成30年のプレテストから分析)
大学入試センターが公開した情報によると、センター試験では「知識・技能」を求められたのに対し、大学入学共通テストでは、それらに加えて「思考力・判断力・表現力」が問われるようです。
「思考力・判断力・表現力」が問われる問題というのは、どういった問題だろう?
そこがまさにセンター試験との違いになります。
数学プレテストを分析することにより、大学入学共通テストでは以下の特徴があることがわかってきました。この点がセンター試験と大きく異なる点になります。
情報量が多い長文問題、限られた時間内に適切に読み解く「読解力」が必要
会話形式の問題文や、長文問題文が複数出題されることが予想されます。そのため、読まなければならない文章量がセンター試験と比べて非常に多くなるでしょう。
また、その膨大な情報の中から、何を問われているのか?その情報が重要なのか?を瞬時に理解する「読解力」も必要となります。
「公式丸暗記」はNG
センター試験の数学IAは、正直に言うと「公式丸暗記」でもある程度の点数を取ることが可能でした。
しかし、平成30年度プレテストでは、公式や定理を証明する問題が出題されました。公式をただ暗記するだけでなく、なぜ成り立つか?についても把握するようにしましょう。
複数の解答方法で答えさせる問題がある
多くの場合、数学の解答方法は1つではなく、複数の解答方法が存在します。プレテストでは、1つの問題を複数の方法で解答させる問題が出題されました。
つまり、問題にただ正解すれば良いのではなく、他の解き方はあるのだろうか?という思考を常にもって勉強することが必要となります。
「誤答」を見破る
プレテストでは、問題文で間違った解答が提示され、それが本当に正しいのかを問うタイプの問題が出題されました。受験生がよくやりがちな「誤答」については、アンテナをはっておくようにしましょう。
「日常生活の問題を数学的にとらえる」ことを意図した問題がある
日常生活において身近に生じる問題や疑問を、数学的に解決するという問題が、プレテストで多数出題されました。こういった問題は、状況説明のために問題文が非常に長くなる傾向があります。
このような傾向があるため、センター試験と同じ対策をしていては、失敗してしまう可能性があります。
大学入学共通テストで高得点を取るためには、大学入学共通テストの問題傾向を把握し、適切な対策をする必要があります。
平成30年試行調査(プレテスト)の数学IA解説
平成30年プレテスト数学IAでは、第1問と第2問が必答問題(必ず解答する必要がある問題)でした。平成30年プレテスト数学IAの必答問題を分析し、共通テストの問題傾向の予想と対策について考えます。
平成30年プレテスト数学IA 第1問解説と対策
それでは、平成30年のプレテストの数学IA第1問の簡単な解説をしていきます。
第1問は(1)~(4)に分かれています。(1)は数と式、(2)は2次関数、(3)(4)は図形と計量の範囲から出題されました。
第1問(1)出題範囲:数と式
プレテストでは記述問題が含まれていますが、本番ではすべてマーク式です。数と式の基本法則を理解できていれば、解ける問題です。
第1問(2)出題範囲:2次関数
「グラフ表示ソフト」を使った問題です。
xy座標上の放物線をあらわす数式と各係数a, b, cを変化させると、放物線がどのように変化するか、二次関数のグラフと二次方程式の解の関係性、二次不等式の解が得られる条件を理解していれば解答できる問題です。
平成30年度プレテストで同様の問題が出ているので、本番でも同様の問題が出る可能性があります。しっかりと学習しましょう。
第1問(3)出題範囲:図形と計量
記述問題が含まれていますが、本番ではすべてマーク式です。また、日常生活の問題を数学的にとらえることを意図した問題文です。
しかし、問題自体は図形と計量の基本的な内容ですので、難易度は高くありません。
第1問(4)出題範囲:図形と計量
三角比、正弦定理と余弦定理の基本的な問題です。適切に定理を用いれば解ける問題です。
平成30年プレテスト数学IA 第2問解説と対策
続いて、平成30年のプレテストの数学IA第2問の簡単な解説をしていきます。
第2問(1)出題範囲:図形と計量、2次関数
記述問題が含まれていますが、実際の共通テストでは記述式はありません。また、マーク式解答でも「すべて選べ」という問題がありますが、本番ではこのようなタイプの問題はなくなり、必ず正解を一つ選ばせるような形式になります。
第2問(2)出題範囲:データの分析
会話文となっており、問題文が長いです。また、表計算ソフトに生徒たちが具体的な数字を入れていく中で問題に直面する、という展開となっており、相関係数においてありがちなミスを正す問題でもあります。
データの分析の基本的ルールを知っていれば解ける問題ですが、受験生がよくやりがちな誤答については、アンテナをはっておくようにしましょう。
平成30年プレテスト数学IAからみる共通テスト数学への対策
平成30年プレテスト数学IAの問題を分析結果による、大学入学共通テストとセンター試験との大きな違いを復習します。
- 情報量が多い長文問題、限られた時間内に適切に読み解く「読解力」が必要に
- 公式丸暗記はNG
- 複数の解答方法で答えさせる問題がある
- 問題文の「誤答」を見破らせる問題がある
- 「日常生活の問題を数学的にとらえる」ことを意図した問題がある
恐らく、これらのポイントは本番の大学入学共通テストでも踏襲されるでしょう。
しかし、問題の難易度自体は、以前のセンター試験と比較し、決して高くはありません。
一方で、付け焼刃の「公式丸暗記」は通用しない可能性が高いので、数学知識の本質を理解するような勉強を心がけましょう。オススメなのは「チャート式基礎からの数学」です。チャート式を利用した数学の勉強法については「数学の勉強には青チャートがおすすめ!青チャートのバラバラ勉強法や読むだけ勉強法も解説」に詳しく記載しています。
公式丸暗記でない数学勉強は、大学2次試験にも十分通用するので、難関大学や医学部入試にも応用できます。今から自分の勉強法を見直し、しっかりとした大学入学共通テスト対策をしていきましょう。
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