みなさん、こんにちは。数学のコーナーです。今回のテーマは【恒等式】です。
恒等式という言葉は聞いたことあるけど、あまりよくわからない…。恒等式はわかるけど、どんな問題が出るかわからない…。
今回はこんな疑問にお答えします。
まず、そもそも恒等式とは何か、その性質を確認し、それを踏まえて実際の演習問題を解いていきましょう。
それでは、さっそく始めていきます。
・恒等式の問題の解き方がわかる
・自分で実際に恒等式の問題を解ける
そもそも恒等式とは?
そもそも、恒等式とは「変数$x$がどんな値のときも成立する等式」のことをいいます。
例えば、$\left(x+1\right)^{2}=x^{2}+2x+1$は$x$がどんな値をとっても成立するので、恒等式といえます。
これに対し、$x$が特定の値をとるときだけ成立する等式を「方程式」といいます。
これまでよく問題で見てきた$x^{2}-8x+12=0$のような等式が方程式です。
恒等式の性質
恒等式では、「右辺と左辺で$x$の次数が同じ係数は等しい」という性質があります。
つまり、
$Ax^{3}+Bx^{2}+Cx+D=ax^{3}+bx^{2}+cx+d$
が変数$x$についての恒等式であれば、$A=a$、$B=b$、$C=c$、$D=d$が成り立ちます。
恒等式を用いた問題
恒等式となるように係数を定める問題
まず、オーソドックスな問題が「恒等式となるように係数を定める問題」です。
例題をつかって解説していきます。
$x^{2}-4x+3=\left(x+1\right)^{2}+a\left(x+1\right)+b$を満たすa, bを求めよう。
恒等式には、「右辺と左辺で$x$の次数が同じ係数は等しい」という性質があるので、まずは両辺の係数を比較できるように展開します。
$x^{2}-4x+3=x^{2}+\left(a+2\right)x+a+b+1$
あとはかんたん。両辺で$x$の次数が同じ項の係数を=でつなぐだけです。
$a+2=-4$、$a+b+1=3$
これを解くと、
$a=-6$、$b=8$
完全平方式をつくる問題
次に、「完全平方式をつくる問題」です。
この問題は一見恒等式の問題ではないようにもみえますが、「完全平方式→恒等式の問題」と思えるようになりましょう。
※完全平方式とは、多項式の2乗で表された多項式のことです。
こちらも例題をつかって解説していきます。
$x^{4}+8x^{3}+ax^{2}+16x+b$がある式の平方となるような定数a, bの値を求めよう。
問題を言い換えると、「$x^{4}+8x^{3}+ax^{2}+16x+b=\left(x^{2}+cx+d\right)^{2}$が恒等式となるようなa, b, (c, d)の値を求める」となります。
ここからは、上の「恒等式となるように係数を定める問題」と同じです。
まずは式を展開して、
$x^{4}+8x^{3}+ax^{2}+16x+b=x^{4}+2cx^{3}+\left(c^{2}+2d\right)x^{2}+2cdx+d^{2}$
よって、
$2c=8$、$c^{2}+2d=a$、$2cd=16$、$d^{2}=b$
これを解くと、
$a=20$、$b=4$、$c=4$、$d=2$
求めるのは定数a, bの値なので、
$a=20$、$b=4$…(答)
練習問題
問題
①$3x^{2}-4x+6=a\left(x+1\right)\left(x-2\right)+b\left(x-1\right)+c$が恒等式になるような定数a, b, cの値を求めよう。
$(右辺)=ax^{2}+\left(-a+b\right)-2a-b+c$
よって、
$a=3$、$-a+b=-4$、$-2a-b+c=6$
これを解くと
$a=3$、$b=-1$、$c=11$…(答)
②$4x^{4}-8x^{3}+ax^{2}+16x+b$がある式の平方となるような定数a, bの値を求めよう。
$4x^{4}-8x^{3}+ax^{2}+16x+b=\left(2x^{2}+cx+d\right)^{2}$が恒等式になるa, bを求めればよい。
右辺を展開すると、
$(右辺)=4x^{4}+4cx^{3}+\left(c^{2}+4d\right)x^{2}+2cdx+d^{2}$
よって、
$4c=-8$、$c^{2}+4d=a$、$2cd=16$、$d^{2}=b$
これを解くと、
$a=-12$、$b=16$、$c=-2$、$d=-4$
求めるのは定数a, bの値なので、
$a=-12$、$b=16$…(答)
今回のまとめ
今回は、恒等式について解説しました。
恒等式の問題を2パターン習得できたら、恒等式をマスターしたといっても過言ではありません。
恒等式は、恒等式の証明のような問題で必要になるのはもちろん、多項式の除法など他の問題でも使えるので、しっかりと覚えておきましょう。よければ「チャート式基礎からの数学I+A 」で理解をより深めていきましょう。
今回もおつかれさまでした。
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