今回は可算名詞と不可算名詞について解説していきます。
可算名詞とは「数えられる名詞(Countable)」、不可算名詞とは「数えられない名詞(Uncountable)」のことです。
可算名詞のイメージとしては、「1個、2個と指をさして数えられるほうが可算名詞」です。反対に、不可算名詞は、水や空気、感情や抽象概念、ものの総称を表す際などに多く存在します。
英文には名詞が必ず出てくるので、その数え方(a/an, the, 無冠詞は可算名詞のときにはどれをつける?単数形と複数形は?peopleやfoodは可算名詞でいいのかなど)を問う試験問題は非常に多いです。
ここで基本をしっかり理解していきましょう!また、これをふまえて練習問題をして知識を身に着けていきましょう。
可算名詞・不可算名詞のポイント・ 可算名詞とは?不可算名詞とは?
・ 代表的な不可算名詞を覚えよう
・ 不可算名詞の数え方
・ someは不可算名詞にも使える?
・ 不可算名詞にtheがつかないケース
・ 可算名詞の単数形は無冠詞にならない
可算名詞とは?不可算名詞とは?
可算名詞(C)は数えられる Countable 名詞。不可算名詞(U)は数えられない Uncountable 名詞です。たとえばリンゴは1個、2個と数えられる名詞ですね。なので可算名詞。
一方で、牛乳はどうでしょう?上のイラストを見ると「指をさして数えられるよね?」と思うかもしれません。
でも、ちがいます。数えられるのは「牛乳が入っている瓶」の方なのです。牛乳瓶がなくなったら?
牛乳は床にこぼれて広がって、数えることができなくなってしまいますよね。つまり、牛乳そのものは不可算名詞です。
可算名詞は単数形・複数形がある
可算名詞(C)は、単数形・複数形それぞれのかたちを使うことができます。単数形は冠詞+名詞の原形。複数形は名詞のおしりに-sまたは-esが付くのでしたね。
単数形=a/an (またはthe)+名詞(C)
例:an apple(リンゴ), the dish(お皿、料理)
複数形=名詞(C)-s/-es
例:apples(複数のリンゴ), dishes(複数のお皿、料理)
可算名詞の例をいくつか挙げてみましょう。
- s cat/ cats ネコ
- a bird/ birds 鳥
- a desk/desks 机
- a chair/ chairs いす
- a pen/ pens ペン
- a book/ books 本
- a bike/ bikes 自転車、オートバイ
- a house/houses 家
- a coat/ coats コート
- a bag/ bags 鞄
ちなみに、baggage(荷物)は可算名詞ではありません。
え?数えられそうなのに?そうなのです。
可算・不可算のひっかけ問題として頻繁に登場します。これはあとの第2章で説明していきますね。
people(人々)は可算名詞で複数形(集合名詞)
peopleは、ぼんやりと複数の人を表しており、複数扱いの可算名詞(C)になります。
Many people are enjoying Christmas holidays. (多くの人がクリスマス休暇を楽しんでいます。)
このように「集団」をあらわす単語には、複数形の可算名詞になるものがあります。
例を挙げてみましょう。すこし難しい単語も入ってますが、その場面を想像すると集団のイメージがつかみやすいと思いますよ。
police (警察)
The police were chasing the man. (警察はその男を追っていました。)
※「一人の警官」を表す場合は a policeman
cattle(牛)
Many cattle are gazing at him. (牛たちは彼をじっと見つめている。)
※「一匹の牛」を表す場合は a cow, a bull
clergy(聖職者)
The clergy have opposed the idea.(聖職者たちはそのアイデアに反対した。)
※「ひとりの聖職者」を表す場合は a clergyman, a priest
poultry(家禽、とくに鶏やアヒル、がちょう)
Have the poultry been fed?(鶏たちに餌を与えましたか?)
※「一羽のにわとり」を表す場合は a hen (メス), a cock(オス)
不可算名詞は三人称単数(ただし不定冠詞aはつかない)
不可算名詞(U)は、複数形がありません。三人称単数形あつかいになることがほとんどです。ただし、不定冠詞a/anはつきません。
不可算名詞のイメージは、「形がなくて指をさして数えられないもの」。
たとえばwater(水)、dream(夢)、happiness(幸せ)などです。とらえどころがないですよね?
また、一見すると数えられそうなものが不可算名詞になることもあります。これは、「それを入れる型のかたちによって、姿が変わるもの」など。たとえばcheese(チーズ)、bread(パン)。
さらに、素材も数えにくいので不可算名詞です。wood(木材)、iron(鉄)、flour(小麦粉)、sugar(砂糖)。
なんとなく感覚はわかりますか?次から、例をたくさん見ていきましょう!
代表的な不可算名詞を覚えよう
不可算名詞かどうかを判断するため、不可算名詞の「パターン」を覚えていきましょう。
可算・不可算どちらなのかを問うひっかけ問題は多いので、コツをつかみたいポイントです!
foodは可算名詞じゃない!?
結論から言うと、food(食べ物)は可算名詞ではありません。不可算名詞です。
「1つ、2つと指をさして確認できるんじゃないか」と感じてはいませんか?
food(食べ物)という言葉には、お米、肉、魚、パン、果物、チョコレート、アイス…など、いろいろなものが全部含まれていますよね。
このように、「個としてのかたちがない、漠然としたもの」、つまり「何かの総称を表す」単語は、不可算名詞として扱われます。
My mother gave me much food. (母は僕にたっぷり食べさせた。)
一見むずかしそうですが、不可算名詞だとわかる「パターン」をこれから説明していくので、安心してくださいね。
液体や気体
- water 水
- coffee コーヒー
- milk ミルク
- wine ワイン
- soup スープ
- air 空気
- gas ガス
- steam 蒸気
- rain 雨
- snow 雪
- ice 氷
「ミルクは1杯、2杯と数えられるじゃないか?」と思った人は、いい視点を持ってます!
ここのポイントは「思い浮かべたミルクは、コップに入っているのではないか?」ということ。イメージを想像できましたか?頭の中で思い浮かべたミルクから、コップの存在を消してください。どうなるでしょう。
ミルクは床にとびちってしまって、形がなくなりますよね。このように本質的に数えられないものは不可算名詞。
ミルクの入ったコップが2つあっても、two milksとはいえないのです。正しい数え方は、two glass of milk.(2杯のミルク)となります。
感情や意識、抽象的な概念
happiness 幸せ
sadness かなしみ
anger 怒り
fear 恐れ
love 愛
beauty 美しさ
necessity 必要性
time 時
wealth 富
advice アドバイス
information 情報
evidence 証拠
ちょっと待って!キング牧師の有名な演説は” I have a dream.”(私には夢がある。)は、dream(夢)に不定冠詞がついていたよ。
「夢」は抽象概念だから不可算なんじゃないの?
そう、「夢」は抽象的。だから不可算名詞です。
でも、不可算名詞と可算名詞の両方になれるタイプの抽象概念です。
可算名詞になるときは、「こういう夢を抱いている」「(昨晩は)こういう夢を見た」といった、「具体的なイメージが思い浮かんでいる」ことが分かります。
キング牧師には、「あらゆる人が平等に生きていける世界の実現」という具体的な夢があったから、a dream(ある1つの夢)となったわけですね。
形のないものの総称
- money お金
- cash 現金
- machinery 機械類
- jewelry 宝石類
- clothing 衣類
- baggage/ luggage 荷物
- furniture 家具
お金はイメージできるし、数えられますよね。でも不可算名詞です。
なぜなら、「お金」と聞いて人々が思い浮かべるイメージは人それぞれ、ばらばらだからです。硬貨、紙幣、電子マネー、あるいは海外のお金かもしれません。
もう一つ例を考えてみましょう。あなたがいま着ている「服」はclothes、可算名詞です(常に複数形)。しかし、clothingは「衣類、衣料品」で、ジャンル全体を指します。
シャツ、スカート、コートなどをまとめた言い方だからです。こんなふうにジャンル全体を言い表す、「何かの総称」の単語は不可算名詞となります。
食べ物、飲み物
food 食べ物
fruit くだもの
bread パン
cheese チーズ
cake ケーキ
watermelon すいか
食べ物、くだものが不可算名詞になるのはわかりますよね。でも、パンやチーズが不可算名詞になるのは、ちょっと日本人の感覚にはないかも知れません。
そこでわかりやすいルールをひとつ挙げましょう。「量で数えるものは不可算名詞」です。
パン、チーズの量を調べようとしてラベルを見ると、g(グラム)で表示されていることが多いですよね?だから、ネイティブの感じ方としては、パンやチーズは砂糖や小麦粉の感覚に近いのです!(リンゴみたいに個数では数えない)
ちなみに、watermelon(すいか)は? 個数で数える可算名詞なら、すいかは1玉、2玉と数えます。量で数える不可算名詞なら、すいかは1切れ、2切れと数えます。切り分けたすいかは量で数えるのが英語流なのですね。
素材、材質、粒・粉
iron 鉄
wood 木材
sand 砂
paper 紙
sugar 砂糖
flour 小麦粉
材料・材質を表す単語も、具体的な形が決まっていないため、不可算名詞になります。
可算名詞と不可算名詞で意味が変わるもの
たとえばroomは、可算名詞と不可算名詞でまったく異なる意味を持ちます。
room 可算名詞=部屋
room 不可算名詞=空間
前者は1部屋、2部屋…と数えられますね。でも、空間は、はっきりとした形がないため数えられません。こういう単語はいくつかあります。
work 可算名詞=作品
work 不可算名詞=仕事
glass 可算名詞=①(飲み物などの)グラス、②メガネ(常に複数形。メガネのレンズは2枚で一組だから)
glass 不可算名詞=ガラス製
不可算名詞の数え方
ミルクやコーヒーなど、そのままでは数えられない不可算名詞。
しかし、レストランで「コーヒーを2杯お願いします。」と、数で注文したいときもあります。そんなときに使える数量表現をまとめました。ぜひ例文とセットで覚えてくださいね!
- a cup of ~「カップ1杯の」 例:two cups of coffee「コーヒー2杯」
- a glass of~「グラス1杯の」 例:two glass of milk 「ミルク2杯」
- a slice of~「スライス1枚の」 例:five slices of bread「パン5切れ」
- a bowl of~「ボウル1杯の」 例:two bowls of flour「ボウル2杯の小麦粉」
- a spoonful of~「スプーンすりきり1杯の」 例: three spoonfuls of sugar「スプーンすりきり3杯の砂糖」
- a heaping spoon of~「スプーン山盛り1杯の」 例:two heaping spoons of sugar「スプーン山盛り2杯の砂糖」
また、抽象概念や何かの総称などにも、何にでも使える最強のフレーズがあります。これは今すぐ暗記してしまいましょう!
a piece of~「(全体から取り出された一部)ひとつぶんの」
例:a piece of advice(アドバイス), information(情報), fruit(くだもの), cake(ケーキ), baggage/luggage(荷物), furniture (家具)
いかがでしょうか?イメージとセットにすると、なぜその数え方になるのかが何となく理解できるはず。
ここまでできれば、英語の可算・不可算名詞は a piece of cake(おちゃのこさいさい、簡単にできること)になりますよ。
someは不可算名詞にも使える?
「いくつか」を表す単語someは、可算名詞と不可算名詞の両方で使えます。「ぼんやりといくつかある」ことを表現するのがsomeなのです。
- someone 誰か
- somewhere どこか
- someday いつか
- sometime いつか
- something 何か
ほら、ぼんやりしてますね。このように、具体的に何・誰とはイメージできないけど、なんとなくそういうこと・そういう人っているよね、というときに使いやすいのがsomeです。
- Would you like some coffee?(コーヒーはいかがですか?)
- Some people feel angry to hear that. (それを聞くと怒る人もいる。)
なお、似た単語にseveral(いくつか)もありますが、これはより明確に指し示すものがイメージできるので、可算名詞に使います。
色々な数量詞
「多い/少ない」を表せる数量表現も、可算名詞・不可算名詞で使い分けます。
大きく分けると、many「数が多い(可算名詞)」、much「量が多い(不可算名詞)」のちがい。よく使う数量表現をまとめたので、次の表を活用してくださいね。
訳 | 単語 | 可算名詞 | 不可算名詞 |
いくつか | some | ○ | ○ |
いくつか | several | ○ | |
いくつか(否定・疑問) なんでも、どれでも、いつでも | any | ○ | ○ |
少ない | a little | ○ | |
少ない | a few | ○ | |
多い | many | ○ | |
多い | much(肯定文では使わない) | ○ | |
多い | a lot of | ○ | ○ |
多い | lots of | ○ | ○ |
多くの | most | ○ | ○ |
すべての | all | ○ | ○ |
まったくない | no | ○ | ○ |
ちなみに、可算名詞・不可算名詞どちらでも使える「多い」でもっとも便利なのが a lot of~ です。
とっさに口から出るくらいに慣れておきましょう!
I drank a lot of wine last night!(昨晩はたくさんワインを飲んじゃったの!)
不可算名詞にtheがつかないケース
固有名詞(人名、国名)、言語、スポーツ、科目、月・曜日は、定冠詞the がつかない不可算名詞です。
- I love Japan. (ぼくは日本が好きです。)
- You are a fan of SONY.(きみはSONYのファンだね。)
- London Bridge is falling down.(ロンドン橋落ちる。)
- See you later at Shinjuku Station!(新宿駅で会いましょう。)
- My goal is entering Tokyo University.(東京大学に進学するのが目標だ。)
- I like studying Spanish.(スペイン語を勉強するのが好きだ。)
- I play tennis after school.(放課後はテニスをします。)
- Her English test scores were the best in the class.(彼女の英語の成績はクラスで一番だった。)
- Next monday is the special day.(次の月曜日は特別な日です。)
- I miss December.(12月が恋しいよ。)
可算名詞の単数形は無冠詞にならない
「可算名詞の単数形」では、①不定冠詞a/an が頭につくケース、②定冠詞the が頭につくケースの2パターンがあります。単数形で何もつかない(無冠詞)ということはありません。
This is a pen.(これはペンです。)←1本のペン
There is an apple.(そこにリンゴがあります。)←1個のりんご
You can use the telephone in my room.(私の部屋にある電話をつかってもいいですよ。)←1台の電話機で「私」の部屋にあるもの
ちなみに、「可算名詞の複数形」では、①定冠詞the が頭につくケース、②何もつかない(無冠詞)となります。
I love the dogs next door.(隣の家の犬たちが好きなんだ。)←複数の犬で「隣の家」に住んでいる
I love dogs.(犬が好きです。)←無限定。具体的な犬は思い浮かべていない、犬一般
練習問題
最後にエクササイズとして練習問題をやってみましょう!かっこの中に入る語を考えてくださいね。
(1) ( ) is blind. 恋は盲目。
(2)It looks like the police ( ) watching him. 警察は彼を見張っているみたいだ。
(3)I made( )with Lisa. 私はリサと友達になりました。
(4)I have( )( )( )( )today. 今日は仕事がたくさんあります。
(5)I brought back my art( )to home. 私は自分の作品を家に持ち帰りました。
(6)I go to school ( )( ). 私はバスで学校に通学します。
練習問題の解答
Love is blind.loveは抽象概念なので、不可算名詞です。
It looks like the police are watching him.
the policeは集団名詞なので複数形です。
the policeは集団名詞なので複数形です。
I made friends with Lisa.
”make friends with~ ”はよく登場するフレーズです。「友達」になるのは、少なくとも自分と相手の2人がいますよね。だから複数形になります。
”make friends with~ ”はよく登場するフレーズです。「友達」になるのは、少なくとも自分と相手の2人がいますよね。だから複数形になります。
I have a lot of work today.
「仕事」のworkは不可算名詞。
「仕事」のworkは不可算名詞。
I brought back my art works to home.
「作品」のworkは可算名詞。
「作品」のworkは可算名詞。
I go to school by bus.
school(学校)、bus(バス)どちらも不可算名詞になっていますね(数えられるのに!)go to schoolは「学校教育を受ける」、by busは「バスという手段を使って」というイディオム(慣用句、熟語)です。どちらも具体的な学校やバスを指し示しているわけではないので、不可算名詞扱いになっているんですね。
school(学校)、bus(バス)どちらも不可算名詞になっていますね(数えられるのに!)go to schoolは「学校教育を受ける」、by busは「バスという手段を使って」というイディオム(慣用句、熟語)です。どちらも具体的な学校やバスを指し示しているわけではないので、不可算名詞扱いになっているんですね。
今回の可算名詞・不可算名詞のまとめ
可算名詞・不可算名詞の章はこれで終わりです。お疲れさまでした。「数えられる・数えられない」名詞かを判断するときのポイントをおさえられましたね。
英語は、日本語よりも、名詞のカタチに敏感です。考える順序としては、
- 可算名詞なのか、不可算名詞なのか
- 可算名詞なら、単数形・複数形どちらなのか
- どういった文脈でその単語を使いたいのか(特定・不特定)
この3点から組み立てていくのが英語のネイティブスピーカーです。
苦手意識を持たずに、いろいろな例文をイメージと一緒に見ていきましょう。
ゲームのように、「牛乳はどうやって数える?」「量で数える!」と友達と問題を出し合うのも楽しいかもしれませんね!
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