私たち人間の体は何からできているでしょうか。私たちの体を構成する物質について、入試問題付きで解説します。
生物の構成成分は、これから生物という科目を学ぶ上で基礎になる知識です。入試でも基礎的なことを問いてくる問題は出てきます。
この記事では、生物を構成する成分についての解説をします。この記事の最後には、入試問題がついてきます。
是非最後まで読んで、理解したかを入試問題で確認してみてください。
生物の体の構造
生物の体はどのように成り立っているかみてみましょう。
細胞を基準にして、考えてみます。
細胞から個体
生物の体は、細胞からできています。細胞がたくさん集まって、組織になります。組織が集まって器官になります。
器官が集まると個体ができるのです。
細胞 → 組織 → 器官 → 個体
の順にスケールが大きくなっていきます。
生物の勉強をするにあたって、今自分がどれくらいのスケールについて考えているかを意識するとわかりやすくなります。
細胞から元素
今度は細胞からどんどん小さい構造を見ていきましょう。
細胞の中には、ミトコンドリアなどの細胞小器官があります。ミトコンドリアはタンパク質などからできています。
タンパク質は、炭素(C)・水素(H)・窒素(N)などの元素でできています。
細胞 → 細胞小器官 → 分子(タンパク質など) → 原子
の順にスケールが小さくなります。このように生物の体は、いくつかの階層に分けて捉えることができます。
生物の最初は、小さなスケールから見ていきます。
生物を構成する元素の割合
生物体に多く含まれる元素は、酸素(O)・炭素(C)・水素(H)・窒素(N)です。
グラフで元素の割合を表すと、次のようになります。
乾燥重量は、水を抜いて考えます。
H2Oの分が引かれるので、酸素と炭素、窒素と水素の割合が逆転します。
このようなグラフや、構成成分を表した表は試験で問われやすいので覚えておきましょう。
細胞を構成する物質
細胞はどのような物質でできているかを見ていきましょう。
細胞を構成する物質は多くの生物で、共通しています。
細胞は水・有機物・無機塩類などからできています。
細胞を構成している成分で最も多いのは、水です。
次に多い物質は、細胞の種類ごとに異なります。
- 動物細胞は、タンパク質
- 植物細胞は、炭水化物
- 細菌細胞は、タンパク質
です。
水
水は、生物にとって重要な物質です。
水の性質を見ていきましょう。
・ 水は、色々な物質を溶かす溶媒になる。
水に色々な物質が溶けることができます。
・ 比熱が大きい
水は温まりにくく、冷めにくいので、細胞や血液が急に変わらなくなります。
・ 緩衝作用がある
水素イオン濃度を一定に保つことができます。
水のこのような特徴は、さまざまな反応を進めたり、体内環境を保ったりするのに役立ちます。
有機物
炭水化物・脂質・タンパク質などがあります。
これらは、構成単位となる物質がたくさん結合してできています。
無機塩類
ナトリウム(Na)・カリウム(K)・マグネシウム(Mg)・鉄(Fe)などを含む無機塩類があります。
入試問題
表1および表2は、それぞれヒトの生重量と乾燥重量の元素組成を質量%で示したものである。
また、図1はある動物生体の組織を構成する物質の割合を質量%で示したものである。
(1) 表の(ア)~(ク)に相当する元素を(a)~(h)からそれぞれ選べ。ただし同じ記号を何度選んでもよい。
- (a) O
- (b) Ca
- (c) P
- (d) C
- (e) H
- (f) N
- (g) Mg
- (h) Na
(2) 表1 の「その他」にあてはまるおもな元素の組み合わせとして、最も適するものを次の(a)~(f)の中から選べ。
- (a) C Ca
- (b) O Na
- (c) H N
- (d) C O
- (e) Ca Na
- (f) O N
(3) 図1の(コ)、(サ)の物質は何か。
数値から判断し、次の(a)~(f)の中からそれぞれ選べ。
- (a) 水
- (b) 脂 質
- (c) 核 酸
- (d) タンパク質
- (e) 炭水化物
- (f) ナトリウム
(4) 図1の(ケ)にあてはまる物質のはたらきについて誤っている事項はどれか。次の(a)~(e)の中から選べ。
- (a) 多くの物質を溶かす溶媒である。
- (b) 外界の温度変化を緩和する。
- (c) 高い流動性をもち、物質移動に関与している。
- (d) 酵素やホルモンの主成分であり、生命のはたらき手といわれている。
- (e) 細胞を構成する有機物のはたらきの仲立ちをしている。
〔リードαより 11 名古屋学芸大〕
【解答】
(1)
- (ア) a
- (イ) d
- (ウ) e
- (エ) f
- (オ) d
- (カ) a
- (キ) f
- (ク) e
ヒトを構成する元素で最も多いのは酸素、次に炭素、水素、窒素です。
乾燥重量だと、酸素と炭素、水素と窒素が逆になります。
つまり、乾燥重量だと炭素、次に酸素、窒素、水素の順になるのです。
(2)e
酸素、炭素、水素、窒素の以外の組み合わせを選びます。
カルシウムとナトリウムは無機塩類です。
(3)
- (コ) d
- (サ) b
動物細胞で一番多い物質は、水です。
次に、タンパク質。
その次は脂質です。
(4) d
ケは水です。
水の性質でない選択肢を選べば良いです。
dは、タンパク質の説明なので誤りです。
まとめ
・ 生物を勉強するときはスケールを意識
小さい方から
原子 → 分子 → 細胞小器官 → 細胞 → 組織 → 器官 → 個体
の順となる。
・ 生物体に多く含まれる元素は、酸素(O)・炭素(C)・水素(H)・窒素(N)
・ 生物の体で一番多いのは水
・次に多い物質は、細胞の種類ごとに次のようになる。
- 動物細胞は、タンパク質
- 植物細胞は、炭水化物
- 細菌細胞は、タンパク質
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