英語の冠詞の6つのポイントを徹底解説!a, an, theの使い分けのルールを覚えよう【大学受験の英文法】

今回は英語の冠詞についておさらいします。英語の冠詞とは、そもそも何のためにあるのでしょうか?名詞の前につく限定詞ですが、これによって「話者と聞き手の共通認識」や「数量」について理解することができます。
S先生
S先生

ところで「私は犬が好き」を英訳したらどうなりますか?

たかしくん
たかしくん

I like dog.ですか?

S先生
S先生

それだと、「私は犬の肉がすき」という形になります。”I like a dog.”が正解よ。

そう、冠詞の有無で全然意味が変わってきます。なので、英語の冠詞の役割はかなり重要になってきます。また、冠詞の中の不定冠詞a/an は「特定のものではない」という意味で、定冠詞the は「共通認識があるもの」の場合に使用しますが、より具体的に英語の例文で詳しく解説していきます。

 

さらに、「the+形容詞~」や theが省略される場合など冠詞に関連する問題を今回は全て網羅的に冠詞の使い分けやルールを解説していきます!

 

ページ末尾には、冠詞の練習問題も用意しました。途中でわからなくなったら引き返して、何度も練習してみてくださいね。

今回の記事で学ぶ英語の冠詞の6つのポイント

・そもそも英語の冠詞とは?
・不定冠詞a/anは「特定のものではない」
・定冠詞 the は「共通認識があるもの」
・the+形容詞~「~の人々」
・theがつかないのは「いわゆる○○」
・無冠詞(固有名詞、役職、手段、よびかけ、食事、スポーツ、季節)
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そもそも英語の冠詞とは?

a cat, cats
冠詞とは、名詞の前につくもので「不定冠詞 a/an」と「定冠詞 the」があります。
  • 不定冠詞 a/an :「不特定かつ1個だけ」、「初めて話題にあがる」ことを表す
  • 定冠詞 the:「話者と聞き手がともに『それが何を指しているか』了解している」、「世の中に1個しかない」ことを表す

それぞれこの後の章で説明しますので、まずは上の内容を頭の片隅に置いておいてくださいね。日本語に冠詞はありません。だから、「冠詞くらい間違えても意味は通じるよね?」と思ってしまいがちです。確かに、冠詞を間違えて話しても、相手が想像力を働かせて理解してくれることはあります。でも理解が行き違いになったり、混乱させてしまったりするリスクはやはりあります。

 

たとえば、あなたが「昨日、車道の上にネコがいたのを見たんだ。」と言おうとしたとします。

 

I saw a cat on the road yesterday.「昨日、車道に1匹のネコがいたのを見たんだ。」

 

これなら、話を聞いているあなたの友人は「車が来たらあぶないね。そのネコ、大丈夫だったかなぁ。」と言うでしょう。一方、ここで

I saw the cat on the road yesterday.「昨日、車道にそのネコがいたのを見たんだ。」

 

と言ったら、「えっ、どのネコ?近くにいる?無事だったんだね?」と、友人はあたりを見回してネコを探すでしょう。

 

少しオーバーな例ですが、たとえばこういうことです。冠詞を正しく使い分けられるよう、これから一緒に勉強していきましょう!

不定冠詞a/anは「特定のものではない」

不特定のa,an

不定冠詞 a/an :「不特定かつ1個だけ」、「初めて話題にあがる」ことを表す

名詞が母音(a, e, i, o, or, u の文字)で始まる単語の前ならばan, 子音ならばaを使います。

 

ただし、u で始まるが発音が「ユ」になる単語の場合は不定冠詞a を使います。たとえば、university(大学)など。また、子音だけど無音のh で始まる単語には不定冠詞an を使います。たとえば、hour(時間)など。

 

こういうことからも、a と an のどちらを使うかは、スペルではなく発音によって決まることが分かりますね。

Yoko has got a new boyfriend. He is so shy.(ヨーコに新しいボーイフレンドができた。彼はすごくシャイなんだ。)

 

“I found a cute dress last night.”「昨夜、かわいいドレスを見つけたのよ。」
“You bought the dress?”「君はそのドレスを買ったのかい?」
a/an は、初めて話題に登場するものに対して使います。これは「聞き手にとっては特定のものではない」からです。

 

そのものが、会話の中で再登場するときは、話者と聞き手どちらも「何を指しているかわかっている(特定できる)」ため、冠詞the に差し変わります

 

定冠詞 the は「共通認識があるもの」

特定のthe

定冠詞 the:「話者と聞き手がともに『それが何を指しているか』了解している」、「世の中に1個しかない」ことを表す

定冠詞the の最大の特徴は「共通認識」です

 

①会話の中(文脈上)で「ああ、あれね」とわかる the
②常識的に「あれのことか」とわかる the
③世の中に1つしかない the

 

それぞれ例文を見ていきましょう。

①会話の中(文脈上)で「ああ、あれね」とわかる the

You know I bought a new phone? The thing rings loudly!(僕が新しいデンワを買ったの知ってるよね?あれ、鳴るとうるさいんだ!)

 

  • Do you see the car over there?(あそこにある車が見えますか?)
  • Can you turn on the TV?((その)テレビをつけてくれる?)

 

上の例で、デンワ、車、TVはどれも話し手と聞き手の間で「どの○○」を指しているのか共通認識を持ちあっています

 

最後の例文で、もしテレビが2台も3台もそこにあったら、どのテレビを付けて欲しいと言っているのか判断できないためthe は使えません。Can you turn on that small TV?(その小さなTVをつけてくれる?)などの説明が必要になるでしょう。

 

②常識的に「あれのことか」とわかる the

  • She plays the guitar and the piano.(彼女はギターとピアノを弾きます。)
  • I like listening to the radio.(私はラジオを聴くのが好きです。)
  • The police chased the criminal.(警察はその犯罪者を追った。)
  • You look sick. You should go to the hospital.(具合が悪そうだよ。病院に行った方がいいよ。)
  • You look sick. You should see the doctor.(具合が悪そうだよ。医者に行った方がいいよ。)

 

「楽器を演奏する」ときは、必ず楽器の前にthe がつきます。これは熟語として覚えてしまうと早いです。

 

play the piano, play the guitar, play the flute, play the clarinet…

 

なぜこうなるのかを説明すると、「ピアノを弾く」と聞いたとき、私たちは「鍵盤がある、澄んだ音が鳴る楽器(モノクロ)」を思い浮かべますよね。常識的に「あ、あの楽器のことか。ピアノね。」という「共通のイメージ(共通認識)」があるからです。

 

※There is a piano.(そこにピアノがあります。)のように、楽器を単なる存在としか見てなくて演奏しない場合はthe を使う必要は特にありません。There are many pianos.(そこにはピアノがたくさんあるよ。)
また、the police(警察)も同じように「悪を逮捕する組織」、the doctor(医者)も「病気やケガを治してくれる人物」という共通のイメージがありますね。theがつきます。
楽器と職業の単語にはthe がつきやすいと覚えておきましょう!

③世の中に1つしかない the

  • the sun 太陽
  • the earth 地球
  • the moon 月
  • the world 世界
  • the University of Tokyo 東京大学(cf. Kyoto University 京都大学)
  • the White House ホワイトハウス(アメリカ合衆国大統領官邸)

世界に1つしかないものはthe がつきます。

 

「○○大学」を表すときはthe University of  ○○ と ○○ University の両方の表現の仕方があります。これはそれぞれの大学が決めています。

 

  • the University of California(カリフォルニア大学)
  • Harvard University(ハーバード大学)

日本では○○University と称するのですが、東京大学だけはthe University of Tokyo と名乗っています。

 

アメリカのホワイトハウスは a white house だと「白いお家」になってしまいますね。the White House と(大文字も使って!)世界にただ1つのホワイトハウスだぞ、と示しています。

the+形容詞~「~の人々」

the japanese and the american

the+ 形容詞~ は人々全体を表します。「○○というタイプの人々」という「共通のイメージ(共通認識)」があるからです。なお、人々という集団を表すので、かかる動詞などは複数形になります。

 

  • the rich お金持ちの人々
  • the poor 貧乏な人々
  • the young 若者
  • the old お年寄り
  • the strong 強者
  • the weak 弱者

これもひとつひとつカタマリで単語を覚えていくといいでしょう。なお、背の高い人々をthe tall で表すことはできません。「背の高い人々」の共通のイメージがないからです。

  • the Japanese
  • the American
  • the Chinese
  • the Italian
また、「the+国語・言語」で「国民名」を表します。Japaneseだけだと「日本語」ですが、the Japaneseは「日本人」ということ。

theがつかないのは「いわゆる○○」

a dog, the dog, dogs

名詞の前にthe がつかないのは、そのもの全般を指すとき、つまり「いわゆる○○」と説明したいときです。原理を少し丁寧に説明していきますね。

 

「可算名詞の単数形」では、①不定冠詞a/an が頭につくケース、②定冠詞the が頭につくケースの2パターンがあります。単数形で何もつかないということは、ほとんどありません。

 

  • This is a pen.(これはペンです。)←1本のペン
  • There is an apple.(そこにリンゴがあります。)←1個のりんご
  • You can use the telephone in my room.(私の部屋にある電話をつかってもいいですよ。)←1台の電話機で「私」の部屋にあるもの

一方で、「可算名詞の複数形」では、①定冠詞the が頭につくケース、②何もつかない という2パターンがあります。

  • I love the dogs next door.(隣の家の犬たちが好きなんだ。)←複数の犬で「隣の家」に住んでいる
  • I love dogs.(犬が好きです。)←無限定。具体的な犬は思い浮かべていない、犬一般
これらを踏まえて、theがつかないケースを見ていきましょう!

可算名詞の複数形にtheがつかないケース

さきほど「犬が好き」の例文で紹介した通り、「②可算名詞の複数形に何もつかない」は、「そのもの全般」を指すときに登場します。

 

そのもの全般…わかりやすく和訳すると、「いわゆる○○というもの」ですね。

 

I have a bird.  I don’t like cats.(私は小鳥を1匹飼っています。ネコはあまり好きじゃないです。)←いわゆる「ネコ」というもの

 

Do you have children?(あなたには子供がいますか?)←いわゆる「子供」というもの

 

このときDo you have a child?と書く人が英語の熟練者にもいますが、適切なのは「複数形」のchildren です。なぜなら、a/an がつくと「1つのものをピックアップして指す」からです。

「ヒト・モノ全般を表す」のは単数形a/an は苦手なのです。

不可算名詞にtheがつかないケース

  • I love coffee.  (私はコーヒーが好きです。)
  • Happiness is the best thing in this world. (幸福とはこの世で一番のものだ。)
  • It’s time for dinner! (夕飯の時間だよ!)

 

不可算名詞にthe がつかないときも、「そのもの全般」を言い表しています。

 

「いわゆるコーヒー全般が好き」「いわゆる幸福というもの」「いわゆる夕飯」いずれも総称ですね?不可算名詞には単数形・複数形がありませんから、a/anも-sもつかず、はだかで使用します。

無冠詞(固有名詞、役職、手段、呼びかけ、食事、スポーツ、季節)

london bridge
無冠詞、つまりa/anもtheもつかない名詞の例文を見ていきましょう。
●固有名詞
  • John is Nick’s brother. (ジョンはニックの兄です。)
  • I went to Kamakura last week. (先週、鎌倉に行きました。)
  • Mt. Fuji is the highest mountain in Japan. (富士山は日本一高い山です。)
  • London Bridge is falling down. (ロンドン橋落ちる)
●役職
  • Masayoshi Son is President of SoftBank. (孫正義さんはソフトバンクの社長です。)
  • Erika is captain of the volleyball club in my school.(エリカは私の学校のバレーボール部のキャプテンです。)
  • Richard Milhous Nixon is the 37th United States President. (リチャード・ミルハウス・ニクソンは第37代アメリカ合衆国大統領です。)
●手段
  • I often go to school by bus. (私はよくバスで学校に行きます。)
  • I like traveling by air. (空の旅が好きです。)
  • My mother is in hospital. (母は入院しています。)
●呼びかけ
  • The situation is not so bad ,doctor? (そんなに悪い状況じゃないですよね、先生?)
  • Excuse me, Sir, where is the teacher’s room? (すみません、先生、職員室はどちらでしょうか?)
  • Yes, Ma’ am. (はい、奥様。)
●食事
  • I invited Bob to supper. (ボブを夕飯に招きました。)
  • They took lunch at 2:00 PM. (彼らはお昼の2時にランチを食べました。)
  • Have you already had breakfast? (もう朝ご飯は食べた?)
●スポーツ
  • My son loves watching baseball. (息子は野球を見るのが大好きだ。)
  • I’m going to Okinawa for swimming this summer.(私はこの夏、沖縄に泳ぎに行きます。)
  • Kay and Federer play tennis at Wimbledon two months later. (ケイとフェデラーは、2か月後にウィンブルドンでテニスをします。)
●季節
  • Spring has come! (春が来た!)
  • My dad returns from New York in Christmas. (父はクリスマスになるとニューヨークから帰ってきます。)

練習問題

練習問題

それでは冠詞の練習問題にトライしてみましょう!かっこの中に入る単語は何でしょうか。

(1)I found (  ) nice cafe yesterday. (昨日素敵なカフェを見つけました。)
(2)Would you open (  ) window? (その窓を開けてくれませんか?)
(3)I like (  ) better than (  ).(私は猫よりも犬が好きです。)
(4)(  )(  ) do not see (  )(   ).(お金持ちは貧乏人を見ない。)
(5)You should go to the venue (  )(   ).(会場までは電車で行く必要があります。)
(6)Let’s go to (   )!(ランチを食べに行こう!)

練習問題の解答

I found a nice cafe yesterday. (昨日素敵なカフェを見つけました。)
「昨日見つけた」のは「ある1軒のカフェ」。よって不定冠詞a 。
Would you open the window? (その窓を開けてくれませんか?)
「その窓」と、話者と聞き手がどちらも「どの窓を指しているかの共通認識」があるので、定冠詞the.
The rich do not see the poor.(お金持ちは貧乏人を見ない。)
the+形容詞 で「○○な人々」。複数形になります。
You should go to the venue by train.(会場までは電車で行く必要があります。)
「電車で」という手段を表すので、by train. 冠詞はつきません。
Let’s go to lunch! (ランチを食べに行こう!)
「ランチを食べにいく」はgo to lunch と丸暗記しましょう。

まとめ

これで英語の冠詞のレッスンは終わりです。今回もお疲れ様でした!

 

「共通認識」があるものは定冠詞the、そうではなく不特定のもの(1個)または初めて話題にのぼるものは不定冠詞a/an がつくのでしたね。

 

この基本の理解をしておくと、冠詞はむずかしくありません。例文をたくさん書いて答え合わせをする、というのを繰り返すと、より早く身につきますよ!がんばってくださいね。

 

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