今回は正徳の治について解説していきます。
正徳の治とは、6代将軍徳川家宣・7代将軍徳川家継の時代に新井白石を中心に行われた政治のことを指します。
この記事では、正徳の治で行われた取り組みについて紹介するだけではなく、語呂合わせや入試問題も用意しているので、ぜひ最後までお読みいただき、正徳の治をマスターしていってください。
この記事からわかること・正徳の治とは徳川家宣・家継の時代に行われた文治政治のことで、新井白石と間部詮房が中心となった。
・新井白石は、閑院宮家の創設・朝鮮通信使に対する待遇の簡素化・正徳小判の発行・海舶互市新例の制定を行った。
正徳の治とは
(徳川家宣:wikiより)
では正徳の治とは何か?というところから説明していきます。
正徳の治とは何か?
(新井白石:wikiより)
正徳の治とは、6代将軍徳川家宣・7代将軍徳川家継の時代(年号では1709~16年)に行われた文治政治のことです。文治政治について詳しく知りたい方は「文治政治について解説(入試問題付き)【日本史第49回】」の記事も合わせてご覧ください。
正徳の治で中心となった人物が新井白石と側用人の間部詮房です。とくに新井白石はもともと家宣の侍講、今でいう家庭教師を務めていて、将軍に就任した家宣に登用されました。次の項目では家宣から信任された新井白石がどのような施策を行ったのかを見ていきましょう。
家宣時代の取り組み(生類憐みの令の廃止など)
家宣がまず手始めに5代将軍綱吉が定めた生類憐みの令を廃止しました。
なぜでしょうか?
それはこの法令が生類全ての殺生を禁止するものだったため、人々の不満を買うことになったからです。
続いて新井白石は閑院宮家という新しい宮家を創設しました。
当時の皇室は伏見・桂・有栖川の三家しかなく、新しい宮家を作る経済的な余裕もありませんでした。そうなると3つの宮家を継げなかった多くの皇子・皇女は出家せざるを得ないという問題が起きるわけです。
そこで新たに閑院宮家を設置することによって、出家を減らすのと同時に天皇家との結びつきを強め、天皇家の権威を高めようとしました。また天皇家の権威を高めることで、天皇に指名される将軍の権威を高めるという狙いもありました。
さらにこれまで丁重にもてなしていた朝鮮通信使に対する待遇を簡素化します。その目的は朝鮮通信使の出迎えにかかる費用を削減することだけではなく、将軍の権威を高めることでした。また朝鮮が日本の将軍を呼ぶときの言い方を「日本国大君」から「日本国王」に改めさせたのも将軍の権威を高めたいという狙いがあったからでした。
そうした取り組みの最中、家宣が在位わずか3年で亡くなり、時代は家継の時代へと入っていきます。
家継時代の取り組み
(徳川家継:wikiより)
ここでは家継の時代に行われた施策について見ていきましょう。
貨幣改鋳
家継はまだ5歳という若さで将軍に就任します。そのため政治は引き続き新井白石が行いました。
家継が就任する前に荻原重秀を罷免した新井白石は、インフレーションの原因となっていた元禄小判に代わって正徳小判を発行します。
正徳小判は金の含有率を高めた小判で、この小判の流通量を抑えることによってインフレーションを抑えようとしました。しかし度重なる貨幣交換によって逆に市場の混乱を招く結果となってしまいました。
海舶互市新例
長崎貿易では多くの金銀が流出しました。
その対策として1715年海舶互市新例を出し、貿易量を制限します。清船は年間30隻、貿易量は銀6000貫まで、オランダ船は年間2隻、貿易量は銀3000貫までと定められました。
語呂合わせ
ここでは正徳の治にまつわる語呂合わせを紹介しています。覚えにくい年号を語呂合わせとセットで覚えていきましょう。
入試問題にチャレンジ
下線部⒠(朝鮮通信使)に関連して、朝鮮からの使節や朝鮮との関係に関する記述として、適当でないものを選びなさい。
- ア.最初の3回は、文禄・慶長の役の朝鮮人捕虜の返還を目的とした使節であった。
- イ.新井白石は、朝鮮からの使節の待遇を、従来より手厚くするように改めさせた。
- ウ.新井白石は、将軍の対外的な称号を「日本国大君殿下」から「日本国王」に改めさせた。
- エ.雨森芳洲は、対馬藩に仕えて朝鮮との外交も担当した。
まとめ
今回は正徳の治とは何かというところから、家宣・家綱の時代に行われた取り組みまでを見てきました。
新井白石が実施した政策について背景や理由も含めて重点的に覚えていきましょう。
前回の記事「文治政治について解説(入試問題付き)【日本史第49回】」ですのでよければ読んでください。
次回の記事「江戸時代の農業・諸産業について解説(入試問題演習付き)【日本史第51回】」
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