今回は受験英語でよく登場する英語の否定文についてマスターしていきましょう。
否定文とは、notを使って「〜ではない」のように内容を打ち消すことです。否定をしない肯定文とは対照的な文法です。英語の否定文では、『not は後に続く文を打ち消す』のが基本です。
この記事では色々な形の否定文を学んでいきますが、原則として「notが消す力を発揮するのは『後の内容』である」ことを忘れないでいてくださいね。ただ、否定文はそれだけではありません。受験生はきっと田中くんのような疑問をもっていると思います。
田中くん
・notの置き場所によって否定する内容は変わるの?
・否定疑問文で質問されたら、yes/no はどう答える?
・否定文でのnot any 「まったく〜ない」 not either「AもBも〜ない」てどういう意味?
多くの人が苦手意識を持っている、英語の否定文を完全に理解できれば、周りに差をつけることができます。
また、notの「配置」が重要なので、最初のうちは紙に例文を書き写すエクササイズがオススメです。視覚で覚えられるようになるとマスターへの近道ですよ。それでは始めましょう!
否定文作成での5つのポイント・基本の否定文(助動詞、助動詞なし、be動詞の否定文)について理解する。
・話し手の思考に関する動詞を使った否定文ではその動詞自体をnotで打消す。
・notを置く場所を変えれば否定したい内容が変わる。
・否定疑問文への答え方が理解する。
・not any, not eitherの使い方を理解する。
基本の否定文(助動詞、助動詞なし、be動詞、現在完了形の否定文)
not(〜ない)は、後続する内容を打ち消す。この大原則を使って、「助動詞(be動詞)+not…」という文章をつくってみましょう。
基本の否定文の例
助動詞、助動詞なし、be動詞、現在完了形の否定文をつくってみましょう。
助動詞
You mustn’t make noise in the store.(お店の中で騒いではいけません。)
I can’t play tennis.(私はテニスができません。)
I won’t play a prank again.(もう二度とイタズラはしません。)
助動詞はmust, ought to, should, will, can,may など、「話し手の心理(〜すべき、〜できる、〜するつもり等)」を表すものです。
こうした助動詞とセットで使う否定文は、「助動詞+not+動詞の原形…」になります。
助動詞なし
Most older people don’t like fantasy.(たいていの大人たちはファンタジーが好きじゃない。)
She doesn’t play the guitar.(彼女はギターを弾きません。)
He didn’t blame her.(彼は彼女を責めなかった。)
最初に挙げたような助動詞が文中にない場合は、do, does, did にnot をつけて、否定したい動詞の前に置きます。
be動詞
I am not satisfied.(僕の気持ちは満たされてない。)
They weren’t angry at me.(彼らは僕を怒ってはいなかった。)
「be動詞+not+(形容詞などの説明語句)…」という形になります。
現在完了形の否定文
現在完了形を否定文にするときは、have(has)+notにするか、あるいはneverを使います。
I have not ever been to Kyoto before. (私はこれまで京都に行ったことがありません。)
I have never been to Kyoto.(私は京都に行ったことがありません。)
助動詞のあとに続く動詞は原形
さて、第1章で覚えるべきポイントその1は、『助動詞のあとに続く動詞は、原形』ということです。これをかならず覚えましょう。
なぜなら、文章の時制は助動詞・be動詞が引き受けてくれるからです。
did, would, could, was, were などが上記の例文にも登場していますね。
英語は、まず打ち消す
また、ポイントその2は『英語では、最初っから否定する』。
日本語では「〜ではない。」「〜しない。」など、否定の言葉はお尻にくっつくことが多いですね。それに対して、英語の否定の言葉notは文章のはじめのほうに出てくるのです。
例えば、
I think he isn’t clever.(私は彼が賢くないと思う。)
I don’t think he is clever.(私は彼が賢いとは思わない。)
和訳すると意味合いは大体同じです。しかし、英語のネイティブは、後の文章を使うほうが自然です。「英語は、まず否定してしまう」。
これは続く第2章で確認していきますよ。使い分けが理解できるようになると英語がすごく面白くなっていくので、しっかり見ていきましょうね!
notは先に置くーthink, suppose, expect, seem, imagine
think | 〜だと考える |
suppose | 〜と思う(予測する) |
expect | 〜だと期待する、予期する |
seem | 〜のように思われる |
imagine | 〜だと想像する |
これら「話し手の思考」を表す語は、「notがくっつく語」です。まずは例文をチェックしてみましょう。
I don’t think he’ll show up.(彼が現れるとは思わないな。)
I don’t suppose it will be rainy.(おそらく天気は雨じゃないと思う。)
I can’t expect he’ll forgive me.(あの人が許してくれることは期待できない。)
They don’t seem (to be) twins./ It doesn’t seem (that) they are twins.(彼らは双子ではなさそうだ。)
I cannot imagine she will win the election.(彼女が当選することは想像できない。)
「話し手の思考」の動詞そのものが、どれもnotで否定されていますね。
これら「話し手の思考に関する動詞を使った否定文」では、否定したい内容ではなく、その動詞自体をnotで打ち消します。
「〜ない。」というふうに、文のお尻で否定することの多い日本語とはなぜ違うのでしょうか?それは、英語では「最初に否定するnotをしゃべっておけば、この後の内容を否定することを相手にすぐ理解してもらえるから」という感覚があるためです。
I think 〜not … (…ではないと思う。)の場合は、話の最後のほうで「あ、これは否定文なのか。」というふうに、相手が気づくのは遅くなります。
I don’t think …(…だとは思わない。)の場合は、「あ、これは否定文なんだ。」というふうに、会話の冒頭部分で相手は理解することができるのです。
これはある意味で、相手に親切な構文だということができるでしょう。
notの置き場所を変えると否定内容が変わる
第2章で、否定のnot は最初に出てくるんだと説明しました。
ところが、ひっかけ問題として、fear(〜を恐れる、心配する)、hope(〜を望む)、be afraid(〜を恐れる、申し訳ないと思う)、try to(〜しようとする、試みる)がよく登場します。
これらは、not を置く場所によって意味がまったく変わるので要注意です。
not を冒頭に置くと意味が変わる動詞って?
例文を見てみましょう。
I fear that he won’t show up. (彼が現れないんじゃないかと心配しているよ。)
I don’t fear that he will show up. (彼が現れても怖くないさ。)
I’m afraid that she will not allow her brother.(私は、彼女がおにいさんを許さないんじゃないかと思って心配なんだ。)
I am not afraid that she will allow her brother. (私は、彼女がおにいさんを許しても気にしない。)
I don’t hope the rival team will win. (ライバルチームが優勝したらイヤだな。)
I hope the rival team will not win. (ライバルチームが優勝しないようにと望んでいる。)
He didn’t try to read it.(彼はそれを読もうとはしなかった。←彼はそれを読むこととトライしなかった。)
He tried not to read it.(彼はそれを読まないということに決めた。←彼はそれを読まないことをトライした。)
和訳すると、違いが大きいことがわかりますね。
not が文章のどこを否定しているのか、矢印を引いてみましょう。視覚的な理解に役立ちます。
部分否定「あまり〜ではない」
続いて、notを使った「部分否定」も確認してみましょう。
「部分否定」とは「必ずしも〜ではない」「完全に〜というわけではない」というふうに、文章を一部分だけ否定しているような構文です。
意味を強める「激しめの単語」(really 本当に、always いつも・必ず、very 非常に等)がありますね。この激しめの単語を否定することで、部分否定の文をつくることができます。
I am not always happy. (ぼくはいつだってハッピーというわけじゃないよ。)
My father is not totally right. (父は完全に正しいという訳ではない。)
Not all the assistant professor agree the idea. (助教授全員がそのアイディアに賛成したわけじゃない。)
She isn’t the most popular idol. (彼女はトップアイドルというわけではありません。←「彼女は人気がない」をやわらかく言い換えている)
これらの副詞 always, totally, all, the most popular はそれぞれ、happy, right, the assistant professor, idol を修飾していますね。これを否定すべく、前にnot が配置されると、単語を弱める効果が現れます。
忖度の表現というか、やんわりと否定したいときには、「not + 強い単語」が便利です。大人の会話でよく使われるので、真意をこめて言ってみましょう。
副詞を置く場所で、意味をあやつろう
また、副詞の配置によっても、not が否定する内容が変化します。
I didn’t eat your apple on purpose. (僕が君のリンゴを食べちゃったのは、わざとじゃないんだ。)
On purpose, I didn’t eat your apple. (わざと僕は君のリンゴを食べなかったんだよ。)
『not は後に続く文を打ち消す』の原則を覚えていますね?
前者は、「not …on purpose」で「わざと…したわけじゃない。」となります。
後者は、「on purpose, 〜 not …」で「…しなかった。それはわざとだ。」の意味になります。
むずかしく考えなくても大丈夫です。「not には、前にある単語を打ち消せる力がない」だけなのですから。
否定疑問文の答えは?ー肯定文、否定文ともに同じ
否定疑問文とは、否定を利用して「〜ではないの?」という質問のことで、回答は普通、yes/noで答えられます。
こんなふうに訊かれた場合、「はい」と答えるにはyesとnoどちらを使うといいでしょうか?
答えは「yes」です。
否定疑問文への回答の仕方は、通常の疑問文と同じです。
「はい」=yes、「いいえ」=no と答えます。
Don’t you feel pain the wound? (傷に痛みは感じていないか?)
Yes, I do. (痛い。)
No, I don’t. (痛くないさ。)
日本語とは正反対ですね。日本なら、「痛くないの?」と聞かれた時、痛くなかったら「うん。(痛くないさ。)」と答えますから。
not any「まったく〜ない」, not either「どちらも〜ない」
否定文の最後の章です、よく頑張りましたね。あとちょっとでゴールです!
not any〜,not a〜, no〜「まったく〜ない」
「まったく〜ない」を意味する3つの文を見てみましょう。意味は全て同じです。
not + 動詞 + any + 名詞(複数・不可算)
not + 動詞 + a 名詞 (単数)
動詞 + no + 名詞(単数・複数・不可算)
I don’t have any children.(私には子供がいません。)
=I have no children.(私には子供がいません。)
He doesn’t have any money now.(彼は今、一文無しです。)
=He has no money now.(彼は今、一文無しです。)
I don’t have any sisters.(私には姉妹がいません。)
I don’t have a sister.(私には姉妹がいません。)
I have no sister(s).(私には姉妹がいません。)
ちなみに、不可算名詞には、money, information, coffee, air, snow, happiness, love, beauty, time, food, advice, news などがありました。
1個、2個と数えることのできない名詞、または、絵に描くことがむずかしい名詞ですね。
not any を使った決まり文句「もう〜ない」も覚えましょう。
not 〜any longer=no longer(もはや〜ない←頻度や時間)
not 〜any more=no more(もう〜ない←量・数)
この2つはいずれも、『状況が変化したこと』、つまり「かつては〜していたが、もう(もはや)〜することはない」ことを意味します。
She is no longer a child.(彼女はもう子供じゃありませんよ。)
It is no longer a dream to live in ocean. (海の中で暮らすことはもはや夢の話ではない。)
I don’t have interest in your idea any longer.(私はもう君の考えには興味がないのだがね。)
I can’t eat any more.(もうこれ以上食べられない。)
No more talk about my ex-husband.(私の元旦那の話はもうおしまいにしましょう。)
not either, neither「どちらも〜ない」
either A or B は、肯定文では「AかBか、どちらか」の意味で、2つのものを交互に指すときに使います。
これが否定文になると、「AもBも、〜ない」と両方とも否定する「全否定」になります。neitherもまったく同じ意味です。neitherはnot eitherが省略された形です。
not 〜 either A or B =neither A nor B(AもBも、どちらも〜ない)
she does not like either dogs or cats.(彼女は犬もネコも好きじゃない。)
I can’t decide either to fight or to call for help. (ぼくは闘うことも、助けを呼ぶことも、決心できていない。)
He didn’t like either.(彼はどちらも好きじゃなかった。)
Neither Tom nor Bob apologized. (トムもボブも謝りませんでした。)
ちなみに、「〜も」を表すのには、tooがあるなぁと思いついたでしょうか? tooは肯定文、not eitherとneitherは否定文のときに使うので気をつけましょう。
さらに、「AもBも、どちらも〜だ。」と2つの物事を指すときには、肯定文ではboth A and Bがありますね。
ところが、これを否定文にすると「AとBの両方とも〜ない」とはなりません。not both は「部分否定」になるからです。ちょっとむずかしいですが、例文で理解していきましょう。
She does not like both dogs and cats.(彼女は犬とネコの両方が好きというわけじゃない。)
この文章では、彼女は「犬とネコ両方とも嫌い」ではないのです。「犬またはネコのどちらかは好き」なのです!これを部分否定と言います。
それでは、「犬とネコ両方とも嫌い」(全否定)にするにはどうすればいいのでしょうか?そのときにnot either ・neitherが登場します。
She does not like either dogs or cats.(彼女は犬もネコも好きではない。)
She like neither dogs nor cats.(彼女は犬もネコも好きではない。)
ちなみに、both は「2つのものをペアで一緒にあつかう」ので複数形ですが、eitherとneitherは「2つのそれぞれを交互に指している」ような状態なので、単数形になりますよ。
Both of them were not shocked.(彼ら2人の両方ともがショックを受けていたわけではない。)
Neither of them was shocked.(彼らは2人ともショックを受けていなかった。)
今回の否定文のまとめ
否定文の章はこれで終わりです。お疲れさまでした!
英語の否定文では、notが何を否定しているか、その配置が大切になってきます。
矢印で、notが否定している部分をマークする練習を繰り返してみてくださいね。否定文についてよりくわしく勉強したい人は「カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業」を一読してみてください。
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