みなさん、こんにちは。数学ⅠAのコーナーです。今回のテーマは【平方完成】です。
平方完成とは二次関数の頂点を求めるうえで欠かせないものです。平方完成ができないと、二次関数の頂点、最大値最小値の問題を解くことができません。困ってしまいますね…。
でも、この記事を読めば安心です。この記事では、平方完成とは?という初歩的なことから、平方完成の公式とやり方まで説明します。最後には、平方完成の問題と平方完成を応用した二次関数のグラフの書き方の解説もあり、もりだくさんの内容となっています。
さぁ、さっそく始めていきましょう。
・平方完成の公式とやり方がわかる
・自分で実際に平方完成ができる
・平方完成を応用して二次関数のグラフが書ける
そもそも平方完成とは?
結論から言うと、
平方完成とは二次式\(ax^{2}+bx+c\)を\(a\left(x-p\right)^{2}+q\)の形にすることです。
平方とは、2つの同じ数をかけあわせること、すなわち2乗することです。このことを考えると、「平方完成とは何か」が覚えやすいですね。
平方完成の公式
実は、平方完成には公式があります。これさえ覚えておけば、かんたんに平方完成をすることができますよ。
その公式とは…
$$ax^{2}+bx+c=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^{2}-\frac{b^{2}}{4a^{2}}+c$$
です。
とはいえ、この公式を覚えるのはむずかしいですよね…。そこで、平方完成のやり方を確認しておきましょう。平方完成の公式を忘れてしまっても、やり方さえ理解していれば大丈夫ですよ。
平方完成のやり方
さっそく、平方完成の公式を導きながら、平方完成のやり方を解説します。
- ①xを含む項をaでくくります。
\(ax^{2}+bx+c=a\left(x^{2}+\frac{b}{a}x\right)+c\)
- ②( )の2乗の形を作ります。
乗法公式\(\left(s+t\right)^{2}=s^{2}+2st+t^{2}\)を考えると、\(s=x\)、\(2st=\frac{b}{a}x\)となります。
( )の2乗の形を作るには\(t\)が何か分かれば良いですね。
\(2t=\frac{b}{a}\)を計算すると、\(t=\frac{b}{2a}\)と分かります。また、\(t^{2}=\left(\frac{b}{2a}\right)^{2}=\frac{b^{2}}{4a^{2}}\)ですね。
よって、
$$a\left(ax+\frac{b}{a}+\frac{b^{2}}{4a^{2}}\right)-\frac{b^{2}}{4a^{2}}+c$$
と変形できます。
このときに\(\frac{b^{2}}{4a^{2}}\)を( )の中に足して、( )の外で引くのがポイントです。
整理すると…
$$a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^{2}-\frac{b^{2}}{4a^{2}}+c$$
となり、平方完成の公式が導けました。
- \(x\)を含む項を\(a\)でくくる
- ( )の2乗の形をつくる
※このときに\(x\)を含まない項、すなわち\(\frac{b^{2}}{4a^{2}}\)を作り、差し引きを合わせるためにそれを引くことがポイント。
平方完成をやってみよう
例題を解いてみよう
\(3x^{2}-6x+7\)を平方完成せよ。
①\(x\)を含む項を3でくくります。
\(3x^{2}-6x+7=3\left(x^{2}-2x\right)+7\)
②( )の2乗の形をつくります。
\(3\left(x^{2}-2x\right)+7\)
\(=3\left(x^{2}-2x+1\right)-3+7\)
\(=3\left(x-1\right)^{2}+4\)
平方完成のやり方、理解できましたか?練習問題を解いて、理解度をチェックしてみましょう。
練習問題を解いてみよう
【問題】
①\(2x^{2}+8x+11\)
②\(4x^{2}+8x-12\)
③\(3x^{2}-3x+2\)
【解答】
\(=2\left(x^{2}+4x+4\right)+3\)
\(=2\left(x+2\right)^{2}+3\)
\(=4\left(x^{2}+2x+1\right)-16\)
\(=4\left(x+1\right)^{2}-16\)
\(=3\left(x^{2}-x+\frac{1}{4}\right)+\frac{5}{4}\)
\(=3\left(x-\frac{1}{2}\right)^{2}+\frac{5}{4}\)
平方完成を応用した二次関数のグラフの書き方
平方完成をすると、2乗した数は0以上という性質から、二次関数のグラフを書くことができます。
\(y=3x^{2}-6x+7\)を例に考えてみましょう。
\(y=3\left(x-1\right)^{2}+4\)と平方完成できますね。やり方は先ほどの例題を確認してください。
\(y=3\left(x-1\right)^{2}+4\)のグラフは下に凸の放物線なので、頂点で最小値をとります。2乗した数は0以上という性質から、\(y=3\left(x-1\right)^{2}+4\)の最小値は\(x=1\)のとき$y=4\)だと分かります。
したがって、\(y=3\left(x-1\right)^{2}+4\)の頂点は(1, 4)なので、\(y=3x^{2}-6x+7\)のグラフを書くことができますね。
今回のまとめ
今回は、平方完成について解説しました。
平方完成は、2乗した数は0以上という性質を生かすために大切なものだと分かりましたね。
練習を繰り返せば、平方完成をするスピードもどんどん上がっていきますよ。たくさん練習問題を解いてみましょう。
今回もお疲れ様でした。
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