入試では、光の強さと光合成速度との関係をグラフで表した問題が出ることがあります。植物と光の関係から、光合成と呼吸をどのように行なっているかを考えます。
グラフの読み取りだけでなく、光合成と呼吸についての知識も必要です。この記事では、光の強さと光合成速度の関係を情報を整理しながら解説します。
また、この記事の最後には入試問題がついています。是非最後まで読んで、理解度を確認してみてください。
光と植物
植物は光があるときは、光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を放出します。また、植物は常に呼吸を行い、酸素を使って二酸化炭素を放出しています。
光合成の速度は、葉から放出される酸素量または、吸収される二酸化炭素量によって測定することができます。
例えば、上図の装置では着色液の移動でどれだけの二酸化炭素を吸収したかを測定できます。
二酸化炭素緩衝液は容器内の二酸化炭素濃度を一定に保ちます。水槽の水は、温度を一定に保ちます。
光合成速度を測定し、光源の光の強さとの関係をグラフにしたのが、光の強さと光合成速度のグラフです。
光の強さと光合成速度
光の強さと光合成速度を図で表すと上図のようになります。
なお、呼吸速度は一定としてあります。グラフで重要な用語を見ていきましょう。
光補償点と光飽和点
このグラフでは、光補償点と光飽和点の光の強さが重要です。
光補償点とは、光合成による二酸化炭素吸収速度と呼吸による二酸化炭素放出速度が同じになる光の強さのことです。
見かけ上、気体の出入りが見られなくなります。光補償点よりも光が弱いと植物は、枯れてしまいます。
光飽和点とは、光の強さを強くしていったとき、それ以上強くしても光合成速度が変わらなくなる光の強さのことです。
見かけの光合成速度
植物は光合成と同時に呼吸も行なっています。
放出される二酸化炭素量などで測定される光合成速度は、見かけの光合成速度です。
光合成速度
見かけの光合成速度に呼吸速度を加えたものを光合成速度といいます。
と表すことができます。
陽生植物と陰性植物
植物には、陽生植物と陰生植物があります。陽生植物は明るいところに生えています。
陰生植物は暗いところに生えます。この二つを比較していきましょう。
陽生植物
- 呼吸速度・・・大きい
- 光補償点・・・高い
- 光飽和点・・・高い
- 強い光下での光合成速度・・・大きい
光補償点が高いので、弱い光の元だと陽生植物は枯れてしまいます。
しかし、陽生植物は光飽和点が高いので、光があればあるほど光合成をすることができます。
陰生植物
- 呼吸速度・・・小さい
- 光補償点・・・低い
- 光飽和点・・・低い
- 強い光下での光合成速度・・・小さい
光補償点が低いので、弱い光でも枯れることなく生きることができます。
しかし、陰生植物は光飽和点が低いので、光がたくさんある環境でたくさん光合成をすることができません。
陽葉と陰葉
シイ・カシ・ブナなどの樹木では、一本の木でも日当たりの良いところの葉と日当たりの悪いところの葉の形は違うのです。
日当たりの良いところの葉は、陽葉といいます。
陽葉は小さく、柵状組織が発達しています。
日当たりの悪いところの葉は、陰葉といいます。
陰葉は大きく、薄い形をしています。陽葉と陰葉の光合成の特徴は、陽生植物と陰生植物の特徴と同じです。
入試問題にチャレンジ
【問題】
次の文章を読み、以下の問いに答えよ。
ある植物の葉の25℃における光の強さと光合成速度の関係を調べた結果、下の図のような曲線となった。
(1) 光合成の速度に対する光の強さの影響のうち、補償点について50文字程度で説明せよ。
(2) この植物の葉の補償点は何キロルクスか。
(3) これ以上光を強くしても、光合成速度がそれ以上大きくならない光の強さをなんというか。
[生物重要問題集 03 東京理科大 改]
【解答】
キーワードは、二酸化炭素吸収速度と二酸化炭素放出速度が等しくなるということです。
光合成速度と呼吸速度が同じになる点を読み取ります。
光合成速度がそれ以上大きくならない光の強さを光飽和点といいます。
まとめ
・ 光補償点とは、光合成による二酸化炭素吸収速度と呼吸による二酸化炭素放出速度が同じになる光の強さのこと。
・ 光飽和点とは、光の強さを強くしていったとき、それ以上強くしても光合成速度が変わらなくなる光の強さのこと。
・ 陽生植物(陽葉)は、光飽和点・光補償点が高く、光があればあるほど光合成できる。
・ 陰生植物(陰葉)は、光飽和点・光補償点が低く、光が少なくても生育できる。
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