みなさん、こんにちは。
今回は、大学入学共通テスト対策シリーズとして現代社会の対策を考察したいと思います。プレテストの問題からどのような傾向でどのような対策が必要なのか攻略方法を解説したくおもいます。
もしかして、大学入学共通テストとセンター試験の現代社会について「勉強するという点では一緒だからそ対策はいらない」と考えている人はおられませんか?
特に現代社会を選択する人って理系選択の人が多かったりするのでそれほど現代社会に特化して対策をしないかもしれませんね。
実は、現行のセンター入試とは違い、思考力や理解力を問うような問題が多く出題され、平成29年と平成30年に行われたプレテストでも平均点がセンターよりも下回るといった結果になりました。
勿論、大学入学共通テストのプレテストの受験者は当時、高校1年2年だったため受験本番の受験生と違うので勉強が完成していないので平均点が低いという事情もあると思います。
しかし、そもそも受験生は現代社会にそれほど時間を割けず高校1年2年の成績はそのまま受験に直結する可能性は大と言えます。
また、あとで紹介しますが、大学入学共通テストの現代社会の問題はセンター試験の現代社会と内容が大きく変わっています。センター試験はどちらかというと知識重視ですが、大学入学共通テストは理解力重視型の試験となっております。
つまり、大学入学共通テストの現代社会はセンター試験の現代社会とは違った対策や勉強法が求められていることは間違いないと言えるでしょう。
そこで、今回は平成30年に行われた大学入学共通テストの現代社会の試行問題(プレテスト)で、特に理解力が問題となる第3問を例に、どのように対策していたらいいのか、また大学入学共通テストの現代社会についてどのような勉強法が適しているのかなどを解説していきたいと思います。
大学入学共通テストの現代社会第3問はどんな問題?
(引用:平成30年度試行調査_問題_現代社会)
まず、平成30年の試行問題における第3問ではどのような問題が出題されたか見ていきたいと思います。上記に示す画像は平成30年度試行調査での現代社会問題の第3問となります。問題文を確認するとわかりますように最高裁判所の判例文の一部が提示されています。
問題については、下線が引かれている箇所の知識や理解が問われたり、あるいは、判例文そのものについて聞かれるような問題が多いと感じました。実際の問題を見てみると
下線部⒞に関連して,「現代社会」の授業で,議会の一院制と二院制とでどちらの制度が優れているかについて,「一院制が優れていると主張するグループ」 と「二院制が優れていると主張するグループ」とに分かれて討論をすることに なった。
この討論に関し,まず,あなたがどちらのグループに入るかを選び,「一院制が優れていると主張するグループ」に入る場合には 1 ,「二院制が優れている と主張するグループ」に入る場合には 2 のいずれかをマークせよ。
ーー第3問問3より
立場を選択して解答していくって…司法試験の短答式試験のような問題ですが(汗)、立場を理解してその帰結を考えろという問題ですね。
ちなみに選択肢としてどういう問題が出たのかというと
- 1 議会が,より迅速に意思決定をすることができる。
- 2 議会の意思決定に,より多様な意見を反映することができる。
- 3 抑制が働くことで,より慎重に議会が意思決定をすることができる。
- 4 議会の運営に要する経費を,より低く抑えることができる。
という形です。一院制は、2院制に比べ人数が少なく迅速に物事を決められるという制度の本質を理解していれば、1と4が一院制の考え方と選択できますね。2と3は二院制ということになります。ちなみに自分が選択した制度について
- 1 日本の都道府県の議会
- 2 アメリカ合衆国の連邦議会
選択せよという問題もあるので単純な知識を入れ込む必要もあります。
ちなみに1は1院制で2は2院制ですね。
現代社会の各設問についての対策
さて、次は設問ごとについて対策についてご紹介していきたいと思います。まず第3問は5つの設問から構成されています。
問1は下線部(a)に関連する記述を選べといった問題です。
今回のような問題は少し歴史的知識が必要となります。詳しく説明しますと、民主主義の先駆国と言われているイギリスではいち早く議院内閣制を導入しております。
イギリスは民主主義の先駆であり、民主主義国家の規範である、という知識は歴史を学ぶことに身につけられます。そのため、現代社会といえども歴史の勉強は必要となるとこの問題からうかがえます。
問2は下線部(b)の「国民主権」の内容と一致する文章を選ぶ問題です。こちらは大学入学共通テストらしい思考力を問う問題です。こちらは読解力や文章要約力が必須の問題となります。選択肢を見てみましょう。
- そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民 に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。
- 日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。
- われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
- われらは,いづれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて,政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
下線部(b)を要約しますと「国民主権。代表を選び、代表に政治を任せる間接選挙制の国であると憲法に定める」といった内容です。
選択肢をみていくと、②と③は「平和主義」の話のためまったく違うことを言っており、悩むは①と④ですが、④は「他国」という下線部(b)に全く登場していないはずの概念が出てきています。これらの結果から、消去法的に①で確定する。といった具合となります。
問3は、上述しましたが単純な知識の暗記ではなく、知識の理解が問われる典型的な問題となります。
問4では教育に関する考え方が示され、その考え方からどのような教育制度が作られたかを問う問題です。
考えから紐解いていく問題ですが、こちらは論理的思考力が問われていると思います。こちらも解説しますと、問題の提示文を要約すると「教育を十分に受けると、高収入の職に就く→教育はその人の個人利益になる。社会全体の利益ではない」といった感じとなります。
あくまで、考え方ですので、「現在の日本の教育制度」とは関係ないことに留意する必要があります。
義務教育制度や奨学金制度などに惑わされると①や③を選びたくなってしまいますが、文章で「教育=個人利益」と述べられている以上、教育費は国が負担するものではなく個人が負担するもの、という考え方になります。非常に自由主義的考え方ですね。
「自由主義的考え方? 日本も自由主義の国だからこの考え方を取り入れるべきじゃないの?」と疑問に感じた方はよく歴史を勉強なさった方かと思います。
実は「自由主義」と「自由民主主義(または新自由主義)」では似て非なる考え方なのです。
自由主義は個人的観念が強く、自己利益を追求し、社会的弱者は金がないのだから貧困に苦しんでも仕方がないという考え方ですが、自由民主主義、新自由主義は個人の自由権を尊重するため、弱者救済の措置を与えるべき、という考え方を持っています。
もう少し詳しく説明しますと、社会主義と自由主義を融合させたものが「新自由主義」ということになります。ここら辺を理解しておけば、悩むことなく解ける問題と言えます。
問5では判例文の続きがどうなるのか、並び替えさせる問題です。
「どうせこの問題も選択肢の前後を繋げる国語力で解くのでは?」と思った方は時間切れになる可能性が高いです。この問題は並び替え問題のように見えて実は、ただの選択問題です。問題文確認は怠って(おこたって)はいけません!
“判例文に続く内容は~の順に並んでいる。”の部分でどのようなセクションなのか、という説明が鍵かっこで三つあります。この三つに当てはまる選択肢を選べば良いという問題です。ある意味国語力は使いますね。
現代社会攻略のためのおすすめの参考書
例として見てきた第3問では基本的に思考力を問う問題が非常に多い印象です。知識がなくても「よく問題文を読めば間違えることはない」問題だといえます。しかしながら、試験中は慌ててしまうものです。「うっかりミス」なんかも考えられます。
暗記しなければならない問題もありますし、勉強は必要不可欠だといえます。そして、勉強する範囲は現代社会だけでなく、歴史、政治経済も目を通しておいた方がいいかと思います。
今回のような現代社会についての細かい知識は教科書に書かれていないため、参考書は買っておいた方が良いと思います。
私のオススメの参考書は「高校これでわかる現代社会 (高校これでわかる新課程版)」になります。図や表を効果的に使用していて、堅い教科書よりもわかりやすく要点だけを解説しています。
更にわかりやすく解説しているだけでなく、いろんな角度から現代社会を楽しめる工夫なども施されておりセンター試験だけでなく、大学入学共通テストの現代社会の勉強にも対応できるのはないかと私は思っています。
また、理解力をつけるためには文章をきちんと読める力が必要です。そして、現代社会の分野で制度まで詳しく説明しており、教養レベルも上がる「センター試験現代社会の点数が面白いほどとれる本/村中和之」もおすすめです。
このシリーズ、表紙にひたすら萌えキャラ女子高生が出てきますが、軽薄な表紙と裏腹に内容は相当細かくかつ分かりやすく記載されていますのでいいです。ただし、電車とか外で読むときには少し恥ずかしいというデメリットがあります。
以上、大学入学共通テストの現代社会の勉強法について記載しました。みなさんにとって成績向上の一端になることを期待しています。
なお、現代社会と似た科目の政治経済でも、プレテストでも、「これは政治経済の範囲では?」と思うような問題が多々出題されています。詳しくは「大学入学共通テスト政治経済の分析及びオススメの勉強法」で政治経済については述べましたので、是非とも読んでください。
こちらの記事でも解説しているようにしっかりと「制度」などの成り立ちや、制度の成立に影響を与えた思想なども勉強しておくと、理解力を問う問題もひっかかることなく解くことができると思います。
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