天保の改革の内容や覚え方をわかりやすく解説【日本史第58回】

今回は徳川家斉が自ら政治を行った大御所時代の内容から、天保の改革までを解説します。

水野忠邦が行った倹約令や株仲間の解散、上知令などの具体的な施策についても説明しています。

三大改革の比較表や入試問題も掲載しているので、ぜひ最後までお読みください。

この記事からわかること

・徳川家斉が自ら政治を行った時期のことを大御所時代という。

・天保の飢饉により人々の不満が爆発した結果、大塩平八郎の乱などの反乱が起きた。

・水野忠邦を中心に進められた一連の改革を天保の改革と呼ぶ。

・三大改革それぞれの違い

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大御所時代

(徳川家斉:wikiより)

大御所政治の特徴

寛政の改革に取り組んだ老中・松平定信が失脚したのち、11代将軍・徳川家斉は自ら政治を行いました。1837年に将軍職を徳川家慶に譲ったあとも大御所として実権を握ったため、この時期を大御所時代といいます。

厳しい統制を実施した定信とは対照的に、家斉が放漫な政治を行った結果、文化は発展したものの、風紀や治安の悪化を招いてしまいました。

その対策として、1805年に関東取締出役が設置されたほか、1827年には農村に寄場組合が設けられました。

S先生
S先生
関東取締出役とは関東の治安維持を目的として幕府が設けた役職です。また地域の治安・風俗の取り締まりに当たらせるために、近隣の村々を組み合わせてできた組織が寄場組合です。

天保の飢饉

家斉が政治を進めていくなか、大きなアクシデントに見舞われます。1833年に起こった天保の飢饉です。

これにより物価が高騰し、農村や都市は生活に困窮した農民であふれかえり、百姓一揆や打ちこわしが頻発しました。

それにもかかわらず、幕府や諸藩は適切な対策を立てることができずに手をこまねいていたため、不満を抱いた人々が各地で反乱を起こします。その例としては、1837年に大坂で起きた大塩平八郎の乱や、越後柏崎で起きた生田万の乱などが代表的です。

天保の改革

(水野忠邦:wikiより)

天保の飢饉によって苦境に立たされる中、12代将軍徳川家慶のもと、老中・水野忠邦を中心に行われた一連の改革こそが、1841年から始まった天保の改革です。その取り組みについて詳しく見ていきましょう。

まず水野は財政難に対処すべく、倹約令を出しました。

続いて庶民の風俗に関して厳しい取り締まりを行います。とくに為永春水の人情本「春色梅児誉美」・柳亭種彦の合巻「偐紫田舎源氏」は風紀を乱すとして処罰の対象となりました。

S先生
S先生
倹約令は三大改革のすべてで出されていることを覚えておきましょう。

 

人情本はわかりやすくいえば恋愛小説のこと、合巻は挿し絵の入った小説を集めた本のことだよね。
たなかくん
たなかくん

 

また株仲間による独占販売が物価高騰の原因であると考え、株仲間の解散を命じます。しかし株仲間を解散すると商品の流通がスムーズにできなくなってしまい、逆効果だったため、10年後再興しました。

さらに水野は棄捐令を出して、財政難の食い止めを図ろうとします。

外交では1842年に薪水給与令を出しました。これは、日本に漂着した外国船には食料と薪を与えて帰らせるという法律です。詳しくはこちらの記事「幕末の外交について解説(異国船打払令・ペリー来航など)【日本史第60回】」もご確認ください。

そして1843年には人返しの法を発して、天保の飢饉により都市に流入してきた農民を強制的に農村へ帰農させようとしました。

寛政の改革で登場した旧里帰農令との違いは何でしょうか?

それは旧里帰農令が農村へ帰ることを奨励しただけだったのに対し、人返しの法は帰農を強制した点にありました。

さらに同年には上知令を出します。江戸・大坂周辺の土地を幕府の直轄地にすることで、より効率よく年貢を集めることが狙いでした。しかし水野が江戸や大坂周辺の大名に領地替えを命じたものの、猛烈な反対を受けたため、結局実施することができませんでした。

最終的に改革は失敗に終わり、水野忠邦は辞任に追い込まれることになりました。

ここまでが今回の範囲です。最後に語呂合わせ・三大改革の比較表・入試問題を用意しているので、ぜひチェックしてみてください。

天保の改革の覚え方(語呂合わせ)

ここでは天保の改革にまつわる語呂合わせを紹介しています。年号の暗記にお役立てください。

大塩平八郎の乱:人はみな(1837)大塩に 味方する
天保の改革(その1):いやあ、よい(1841)水鉄砲だ。
天保の改革(その2):いやしい(1841) 水野の 天保の改革

 

三大改革の比較

ここでは享保の改革・寛政の改革・天保の改革それぞれの中心人物・具体的な施策についてまとめています。普段の学習にぜひご活用ください。

(三大改革比較表:オリジナル)

入試問題にチャレンジ

1838年、水戸藩主徳川斉昭は「戊戌封事」とよばれる幕政改革の意見書を執筆し、翌年、これを将軍【ア】に提出した。斉昭は、この時代の危機的状況を内憂と外患に大別して詳細に指摘した。1841年に大御所徳川家斉が死去すると将軍【ア】のもとで政治改革が始まる。

幕府は改革に着手する準備として、1838年に老中【イ】の指示により、江戸と地方がかかえている問題への対策について諸国の代官たちに諮問をした。(以下略)

問 空欄【ア】【イ】に入る語句の組合せとして正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

①ア 徳川家慶 イ 水野忠邦

②ア 徳川家慶 イ 田沼意次

③ア 徳川家綱 イ 水野忠邦

④ア 徳川家綱 イ 田沼意次

2015年 センター試験 本試験 日本史B 第4問 問4より)

解答:① 徳川家綱は4代将軍。田沼意次は10代将軍徳川家治のもとで、老中として株仲間の奨励などの取り組みを行いました。

 

まとめ

今回は水野忠邦が行った天保の改革について見てまいりました。

天保の改革で行われた具体的な取り組みについて、享保の改革や寛政の改革とセットで覚えておくと効率よく覚えられるので、ぜひ試してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

前回の記事「寛政の改革について解説(入試問題演習付き)【日本史第57回】」ですのでよければ読んでください。

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コメント

  1. 化政文化について解説(葛飾北斎など)【日本史第59回】 | HIMOKURI より:

    […] 前回の記事「天保の改革の内容や覚え方をわかりやすく解説【日本史第58回】」ですのでよければ読んでください。 […]

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