生物基礎のテスト勉強をしているときにこんな疑問はないですか?
「遺伝子の発現」に関して網羅的に教えてほしい。
こんなお悩みを解決できるようにわかりやすく解説します。また、関連する入試問題も用意しました。知識のアウトプットとして解いていきましょう。
- 本記事の内容遺伝子発現とは
- 遺伝子発現の過程の概略
- DNAとRNAとタンパク質
ぜひ、参考にして下さい。
遺伝子発現とは
「遺伝子の発現」とは、DNAからRNAやタンパク質が合成されることをいいます。
タンパク質には体の構造をつくるタンパク質や酵素の働きをするタンパク質など、様々な種類がありますよね。
このように、タンパク質は生命の活動の様々な場面で重要な役割を果たしていて、特定のタンパク質は特定の遺伝子の情報をもとにつくられます。
細胞にはすべての遺伝子あるのに、細胞が特定の働きを持つようになるのは、特定の遺伝子を選択的に発現させているからです。
例えば、目の細胞は目として、皮膚の細胞は皮膚として機能を果たすように特定の遺伝子を発現させています。
細胞が特定の働きをもつようになることを細胞分化としい、分化した細胞では特定の遺伝子が発現しています。
遺伝子発現の過程の概略
遺伝子発現は以下の順番で行われます。
- DNAの中の目的のタンパク質の遺伝情報をもつ塩基配列を写し取り、mRNAを作る(転写)
- mRNAが核から出ると、リボソームがmRNAに結合する
- リボソームでmRNAの情報をもとにアミノ酸が連結してタンパク質が組み立てられる(翻訳)
転写の過程は繰り返し行われるので、多量の同じ種類のmRNAが作られます。
翻訳の過程でも複数のmRNAによって行われるので、一度に多量の同じ種類のタンパク質が合成されます。
遺伝情報は「DNA→RNA→タンパク質」という一方向に決まっていて、この遺伝情報の流れのことをセントラルドグマといいます。
タンパク質が合成量は時と場合によって異なり、mRNAの量によって決まります。
ことから、遺伝子発現の調節はRNAの合成量で調節されているということですね。
DNAとRNAとタンパク質
遺伝子の発現ではRNAが重要な役割を果たします。
RNAはリボ核酸と呼ばれ、DNAと同じで核酸の一種です。
DNAと同様に、4種類の塩基から構成されていますが、いくつか違うところもあります。
DNAとRNAが異なる点は以下のとおり。
- DNAではTが使われるが、RNAではUが使われる
- RNAの糖はリボースで、DNAのデオキシリボースとは異なる
- DNAは二重らせん構造だが、RNAは一本鎖
DNAは全ての遺伝情報が含まれていることから、とても長い物質で、細胞分裂のとき以外は大切に核内に保管されています。
DNAは安定した分子であるのに対し、RNAは分解されやすい物質です。
細胞は環境に合わせて、特定の遺伝子を発現します。
環境は変化するためには、遺伝子の発現も変化させ、適切なタンパク質を合成しなければいけません。
ずっと同じタンパク質をつくっていると、状況の変化に対応することができなくなってしまいますよね。
なので、使い終わったmRNAはすぐに分解されて、必要な新しいタンパク質はすぐ合成できる状態が重要になります。
発現と転写と翻訳の違いについて
最後に発現・転写・翻訳の違いについて以下の表にまとめておきます。
遺伝子の発現の過程のなかに、「転写」と「翻訳」の過程があるということですね。
遺伝子発現についての入試問題
最後に「遺伝子発現」について実際に出題された入試問題の紹介と、解答・解説を行います。
今回紹介する問題は、2016年センター試験生物基礎Ⅰの第一問の問5です。
遺伝子発現についての入試問題
問:「キ」、「ク」に入る語句を選びなさい。
解答・解説
それでは、解答解説をしていきます。
選ぶことができたでしょうか。
解説していきます。
今回の問題は、「遺伝子発現の過程」について聞かれた問題でしたね。
タンパク質がDNAから合成されるためには、RNAが重要な役割を果たすのでした。
まず初めに、発現させたいタンパク質の遺伝情報をDNAからmRNAに写し取られます。
この過程が「転写」です。
そして、合成されたmRNAは核外に出てリボソームと結合し、mRNAの情報をもとにアミノ酸が次々と配列していきます。
そして、タンパク質が完成するのですが、この過程が「翻訳」と呼びましたね。
まとめ
というわけで以上です。今回は、「遺伝子の発現」について解説致しました。
「遺伝子の発現」の分野では、タンパク質の合成過程やRNAの特徴と働きが重要になります。
単に覚えてくのではなく、タンパク質の合成過程を一連のストーリーで理解して、RNAなどの詳細な情報を押さえていくというのが頭に入りやすく、おすすめの勉強法になります。
ぜひ、参考にしてくださいね。
もし忘れたら、また本記事に戻ってきて、ぜひ今後の勉強に役立てて下さい。
今回も最後までありがとうございました。
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