みなさん、こんにちは。今回のテーマは【ヘロンの公式】について解説します。
ヘロンの公式とは、簡単に言うと角度がわからなくても三角形の面積を求められるという公式です。
「三角形の面積の計算に時間がかかってしまいます」
「角度が分からなくて解けず困っている」
などあれば是非利用してください。
三平方の定理や余弦定理を用いることなく、かんたんに面積を求められるので、ぜひ覚えておくのが良いでしょう。
今回は、まずヘロンの公式の証明を確認し、ヘロンの公式を理解した後、実際にヘロンの公式を用いた計算をやっていきます。また、最後には演習問題をつけていますので実際に解いていきましょう!
・ヘロンの公式の使い方がわかる
・自分で実際にヘロンの公式を使った計算ができる
そもそもヘロンの公式とは?
ヘロンの公式とは、三角形の3辺の大きさから三角形の面積を求める公式です。
角度が分からなくても、面積を求めることができます。
$$S=\sqrt{s\left(s-a\right)\left(s-b\right)\left(s-c\right)}$$
※$s=\frac{a+b+c}{2}$
ヘロンの公式の証明
ヘロンの公式の証明には、内接円の性質を利用した証明と三角関数を用いた証明があります。
証明は少しむずかしいですが、証明方法を知ることでより理解が深まり、他の問題を解くときの手がかりにもなります。
さっそく、内接円の性質を利用した証明から見ていきましょう。
内接円の性質を利用した証明
ヘロンの公式は、内接円の性質を利用して、証明することができます。少し難しいですが、流れを追っていきましょう。
まず、△ABCの内接円の半径をrとすると、面積は$S=\frac{1}{2}ar+\frac{1}{2}br+\frac{1}{2}cr$となります。
$s=\frac{a+b+c}{2}$とすると、$S=sr$と表せます。
分かっているのは、a・b・cの長さだけなので、rをa・b・cの式で示す必要があります。
AE=AF, BD=BF, CD=CEより $AF+BD+CD=\frac{a+b+c}{2}=s$
BD+CD=aなのでAF=s-aと表せます。
同様に、BF=s-b、CE=s-cであるとわかります。
BCとABの延長線、ACの延長線に接する円O’を考えてみましょう。
BC=BP+CQなので、a+b+c=AP+AQ
さらにAP=AQなので、AP=sとなります。
ここで、△AFOと△APO’は相似なので
s-a:r=s:r’が成り立ちます。(r’は円O’の半径)
よって、(s-a)r’=sr …①
さらに、△BOFと△O’BP’も相似なので
s-c:r=r’:s-bが成り立ちます。
よって、(s-b)(s-c)=r r’ …②
①②より $r=\left(s-b\right)\left(s-c\right)\times \frac{s-a}{sr}$
整理すると、$sr^{2}=\left(s-a\right)\left(s-b\right)\left(s-c\right)$
S=srなので、$S^{2}=s^{2}r^{2}=s\left(s-a\right)\left(s-b\right)\left(s-c\right)$
S>0より $S=\sqrt{s\left(s-a\right)\left(s-b\right)\left(s-c\right)}$
三角関数を用いた証明
ヘロンの公式は、三角関数を用いると、比較的かんたんに証明することができます。
△ABCの面積をSとすると、$S=\frac{1}{2}ab\sin C$と表せますね。
$S=\frac{1}{2}ab\sin C$
$\sin^{2} x+\cos^{2} x=1$なので、
$=\frac{1}{2}\sqrt{1-\cos^{2} C}$
余弦定理より
$=\frac{1}{2}\sqrt{1-\left(\frac{a^{2}+b^{2}-c^{2}}{2ab}\right)^{2}}$
ここで、計算しやすいように$\sqrt{ }$のなかの分数をなくしましょう。
$=\frac{1}{4}\sqrt{\left(2ab\right)^{2}-\left(a^{2}+b^{2}-c^{2}\right)^{2}}$
あとは、式を整理していくだけです。
$=\frac{1}{4}\sqrt{\left(2ab+a^{2}+b^{2}-c^{2}\right)\left(2ab-a^{2}-b^{2}+c^{2}\right)}$
$=\frac{1}{4}\sqrt{\left\{\left(a+b\right)^{2}-c^{2}\right\}\left\{c^{2}-\left(a-b\right)^{2}\right\}}$
$=\frac{1}{4}\sqrt{\left(a+b+c\right)\left(a+b-c\right)\left(a-b+c\right)\left(-a+b+c\right)}$
$=\sqrt{\frac{\left(a+b+c\right)}{2}\frac{\left(-a+b+c\right)}{2}\frac{\left(a-b+c\right)}{2}\frac{\left(a+b-c\right)}{2}}$
$s=\frac{a+b+c}{2}$とすると
$\sqrt{\frac{\left(a+b+c\right)}{2}\frac{\left(-a+b+c\right)}{2}\frac{\left(a-b+c\right)}{2}\frac{\left(a+b-c\right)}{2}}$
$=\sqrt{s\left(s-a\right)\left(s-b\right)\left(s-c\right)}$
ヘロンの公式を利用した計算問題
問題
△ABCにおいて、次のとき、△ABCの面積を求めなさい。
問(1)AB=5, BC=8, CA=7
問(2)AB=7, BC=8, CA=3
解答
$S=\sqrt{10\times 5\times 2\times 3}=10\sqrt{3}$
$S=\sqrt{9\times 2\times 1\times 6}=6\sqrt{3}$
ヘロンの公式のまとめ
今回は、ヘロンの公式について勉強しました。ヘロンの公式を使うと、とてもかんたんに三角形の面積が求められることが分かったことでしょう。
練習問題をたくさん解いて、ヘロンの公式を使いこなせるようになりましょう!
今回もおつかれさまでした。
コメント