みなさん、こんにちは。
今回は、西洋文化の中でも特に建築様式について流れを追っていきます。世界史のテストで意外とでるけど勉強していない範囲だったりしますので、今回は古代から現代まで一気に解説していきます。
具体的には、ギリシア、ローマ、ヘレニズム、ビザンツ、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、ロココについて詳しく建物の写真とともに解説していきます。
しっかりと勉強していきましょう。
古代の西洋建築
(ローマのパンテオン:wikiより)
現在でも、古代ギリシア・ローマ時代の建造物が数多く残されています。古代文明の栄華をしのぶそれらの建築は、現代人にも大きなインパクトを与えました。
建築といえば、古代ローマ。コロッセウムや水道橋の写真が出てきたら、ほぼ間違いなく古代ローマの建築ですね。公共建築が多いのも古代ローマの特徴です。
古代ギリシア建築
ギリシアでは建築として神殿建築が大事です。
特に柱の太さで比較される事となるドーリア式、イオニア式、コリント式というものがあります。
(アートの定理様のページより)
以下、各々の様式を利用した建物を見て行きましょう。
ドーリア式
ドーリア式は柱頭に装飾や柱基を持たず柱が太いのが特徴です。
建物として、アテネのパルテノン神殿が有名ですね。
(パルテノン神殿:wikiより)
パルテノン神殿は石材を山から運ぶ際の費用をデロス同盟での宝物であてがったといういわくもあります。
イオニア式
イオニア人が植民したイオニア地方で誕生し、紀元前5世紀にギリシア本土でも用いられるようになった建築様式としてイオニア式というものがあります。
有名なのが、アテナのエレクテイオン神殿です。
(エレクテイオン神殿:wikiより)
ちなみに、パルテノン神殿のすぐ左側にエレクティオン神殿があります。
コリント式
ギリシア古典期の後期からヘレニズム時代にかけてみられる建築様式で、特徴は列柱の上部の複雑な装飾があります。イオニア式が発達したものとみることができ「華麗」とか「繊細」と感じられます。
コリント式の有名な建築物はゼウス神殿です。
(ゼウス神殿:wikiより)
ゼウス神殿は現在は、15本の柱しか残っていません。ただ、図にありますように、柱頭部分の装飾が華麗な感じです。
ギリシアの僭主ペイシストラトスが建築を始め、ローマのハドリアヌスの時代まで完成がかかったそうです。
パルテノン神殿からすこし離れていますが徒歩でもいける距離だそうなので、アテネを訪れれば全ての建築様式を見ることができます。
ヘレニズム建築
アレクサンドロス大王の遠征の結果、オリエント(メソポタミア、アジア)文化にギリシア文化がくっついた文化をヘレニズム文化と言います。
ギリシア人は自らのことをヘレネスと言っていたので、ヘレネスっぽい文化というかたちでヘレニズム文化が生まれます。
ヘレニズム建築の代表例として、ハリカルナソスのマウソロス王の霊廟があります。
(ハリカルナソスのマウソロス霊廟:wikiより)
オリエントのピラミッドの形とギリシアの神殿をミックスした感じですね。オリエントはギリシアとオリエントのミックスというイメージを持っておきましょう。
ローマ建築
ローマで有名なのはアーチです。
アーチは元々エトルリア人が陸橋の代わりに作ったものでした。ローマ人はこれを利用してアーチ型の建物を作っていきます。
有名なのが南フランスにあるポン・デュ・ガールという水道橋です。
(ポン・デュ・ガール:wikiより)
石を集めてアーチ型に作成したという点ですごい技術です。
また、ローマ人はアーチを重ねたドームを建築しました。
ドーム建築で有名なのがネロの黄金宮殿(ドムス・アウレア)です。某アニメでは「招き蕩う黄金劇場」などというかっこいい名前もあったりします。
(ドムス・アウレア:wikiより)
また、上図にあるパンテオン(万有神殿)では多くのギリシアの神様が祀られました。
バシリカ(教会)建築
原始キリスト教の建築で長方形の建物が有名です。
そして、長方形を組み合わせて十字の形になり中世の教会建築に発展していきます。
中世の西洋建築
中世ヨーロッパでは、神に祈る場である教会を作る技術として建築が発達しました。ビザンツ様式はモザイク絵画、ロマネスク様式は重厚なたたずまい、ゴシック様式は天に延びる尖塔とステンドグラスが特徴です。
ビザンツ様式
ビザツ様式とは、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の勢力下で興った建築様式です。
ヴェネツィアにあるビザンツ様式のサン・マルコ大聖堂が有名です。
(サン・マルコ寺院:wikiより)
ローマのドームを模倣し、を上から見ると、正十字形となります。
(サンマルコ寺院の航空写真:google mapより)
今日において正教会の聖堂、あるいはイスラム教のモスクとして利用されています。
ちなみに、ビザンツ建築として他に有名なのがハギア=ソフィア聖堂。真ん中の聖堂が古く、周囲のミナレットと呼ばれる細い尖塔は新しい感じがしませんか?
(ハギア=ソフィア大聖堂)
真ん中の聖堂は、元々ビザンツ帝国のユスティニアヌス帝がキリスト教の教会として537年に建築しましたが、オスマン帝国のメフメト2世がこの地を征服してイスラム式に変更しました。
聖堂の四隅に塔(ミナレット)がありますが、これはイスラム教の1日5回ある礼拝時間を告げるためのものです。
ちなみに現在、ハギア=ソフィア聖堂は博物館となっています。ビザンツ建築で覚えておくべきなのはもう一つのサン=ヴィターレ聖堂です。
ロマネスク様式
ロマネスク様式とは直訳すると「ローマ風の」という意味です。
中世ヨーロッパではは「堕落し粗野になったローマ風の建築様式」という蔑称で、20世紀になって芸術的・建築的価値が評価されるようになりました。有名なのがピサの大聖堂とクリュニー修道院です。
ロマネスク建築の特徴は天井部分にアーチを掲げているという点です。
そして、アーチの荷重に耐えるために柱や壁を厚く作らなければなりませんでした。実際、ピサの大聖堂を見てみましょう。
(ピサの大聖堂)
実際、ピサの大聖堂のガラス窓をみると大変小さいですよね。柱や壁を厚くした結果といえます。
2020年の青学の問題では
11世紀には修道院建築を中心に、小さな窓を備えた厚い壁作りで石造りのアーチ型天井支える重厚な( )が生み出された。
という問題が出題されています。
この知識があれば速攻で「ロマネスク様式」を選ぶことが出来ますね。
ちなみに上からみたピサの大聖堂は十字架の形をしています。
これは、ローマ・カトリック教会の十字架を模した建築様式となっています。ラテン十字形という形と言われています。
ゴシック様式
ゴシック様式とは、西ヨーロッパの12世紀後半から15世紀にかけての建築や美術一般を示す用語です。
「ゴシック」という由来は、混乱や無秩序が支配する野蛮な様式だとして「ゴート族の様式」つまり「ゴシック様式(la maniera gotico)」から来ています。ゴート族とはゲルマン民族の一派でした。
当時、ゴート族は滅んでいましたが、「ゴート族」という言葉にローマ帝国と古典芸術を破壊した蛮族という批判的な見方が含まれていました。
ゴシック様式として有名なのがランス大聖堂。フランク王国のクローヴィスがこのランス大聖堂でキリスト教のアタナシウス派に改宗した場所で、歴代のフランス王の戴冠がここで行われます。
(ランス大聖堂:wikiより)
また、赤枠にあるように、ロマネスクのアーチとは異なり尖頭アーチという形が特徴的です。
この尖頭アーチによってアーチの荷重が軽くなり、壁が薄くなり窓も必然的に大きくとることができました。
結果、窓を大きく取れたことで窓にステンドグラスを多く取ることができました。
(ノートルダム大聖堂:wikiより)
ちなみに、火災が発生したノートルダムでも窓ガラスが円形で綺麗ですね。
実際に美しい円形のステンドグラスの窓がこちら。シャルトル大聖堂のものです。
(シャルトル大聖堂のステンドグラスの窓:wikiより)
美しいですよね。建築構造上窓の製造に力をいれられたのがゴシックの特徴でしょう。
ちなみに、さらに有名なゴシック建築のケルン大聖堂も抑えておきましょう。
(ケルン大聖堂:wikiより)
ケルン大聖堂の窓はキリスト教の物語がかたどられています。
(ケルン大聖堂のステンドグラス:wikiより)
また、尖塔が細長く上に伸びていくさまはキリスト教の絶頂期と重なります。まさに、キリスト教が上へと伸びていった時期ならではの建築といえるでしょう。
ルネサンス建築
ローマ時代など古いものを復活させる「ルネサンス(文芸復興)」時代のものです。14〜15世紀のものです。
ルネサンス期でよく出題されるのは、バチカン市国のサン=ピエトロ大聖堂とフィレンツェのサンタ=マリア大聖堂。どちらも、ルネサンス期を代表する建築といってよいでしょう。場所が混同しやすいので注意です。
ブルネルスキが建設したのがサンタ・マリア大聖堂です。
(ブルネレスキ:サンタ・マリア大聖堂:wikiより)
一方、1503年、教皇ユリウス2世に任じられて、ブラマンテはサン・ピエトロ大聖堂の建築主任となり、同時にバチカン宮殿の拡張に着手しました。
バチカン宮殿が北に隣接してあります。
(ブラマンテ作のサン・ピエトロ大聖堂:wikiより)
ルネサンスの特徴としては、ギリシア建築の柱とローマ時代のドームを組み合わせた形式です。
サン・ピエトロの写真でもみれますが、正面の柱はギリシア様式で、ローマのドームが上にあるので混ざったのがわかると思います。
中世ヨーロッパの建築様式について簡単にまとめてみました。勉強の参考にしてください。
近代の西洋建築
(ベルサイユ宮殿:wikiより)
西洋近代建築は、キリスト教の隆盛と衰退と切り離せない関係にあります。
写真を見ながらしっかりと理解していきましょう。
マニエリスク建築
ルネサンス建築の後期からギリシア・ローマの建築様式を推し進めたものです。ルネサンスの質素さとバロックの華やかさの中間に位置するものです。
バロック建築
バロックとはラテン語で「いびつな真珠」といいます。
まず、有名なのが「トレビの泉」。コインを後ろ向きに投げると願いがかなうという、アレです。
(トレビの泉:wikiより)
1590年頃から盛んになった建築様式ですが、当時、宗教改革が起こり、カトリックが流れを復活させようとした時代背景で装飾が過剰になされます。
バロック建築といえばフランスのベルサイユ宮殿ですね。「鏡の間」とかよく入試で出題されます。
(鏡の間:wikiより)
バロックは建築そのものだけではなく、彫刻や絵画を含めた様々な芸術活動によって空間を構成し、複雑さや多様性が示されます。
ロココ
バロックの派手さから細かくて繊細な建築様式なのがロココ様式です。ロカイユ(岩)という言葉から由来します。
カソリックはイエズス会などを通じてアジアや中国に布教していったことから中国風やアジア風の部屋があったりもします。
ロココ建築の代表な建物として、ポツダムにある「サンスーシ宮殿」です。綺麗ですが、バロックほどの派手さはないですよね。
(サンスーシ宮殿:wikiより)
サンスーシ宮殿の内装をみるとかなり美しいですが、派手な美しさよりも細かい美しさの感じがします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
西洋建築を古代から近代まで一気に見てきました。
内容がリンクする西洋の絵画についての記事「西洋の絵画美術史(ギリシアからルネサンス期まで)【世界史B】」も合わせて読むと理解もより深まるでしょう。
西洋建築についてより詳しくしりたければ「図説 西洋建築の歴史: 美と空間の系譜」がおすすめです。ギリシャ→ローマ→ルネッサンス→バロック、初期キリスト教→ロマネスク→ゴシック と建築の流れや特徴が素人にもよくわかるように、簡潔かつ詳しく載っています。写真も綺麗で図解もわかりやすくおすすめです。
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