アリストテレスの思想(中庸・正義と友愛など)をわかりやすく簡単に解説【倫理第7回】
倫理
今回は、アリストテレスの思想について解説します。この記事で学べる内容は下記のとおりです。
この記事からわかること
・形相と質料の関係
・道徳論【知性的徳と倫理的徳の違い・中庸とは何か】
・正義と友愛【全体的正義・部分的正義の違いも解説】
・国家論【共和制が最も安定的な政治形態】
倫理をはじめて学ぶ方にも内容を十分に理解してもらえるよう、わかりやすく解説しました。
また記事の後半には、今回のテーマに関連した入試問題を用意しています。この記事を読むだけで基本の理解・復習ができるので、最後まで読んでみてください。
アリストテレスの思想
(アリストテレス:wikiより)
アリストテレス(前384〜前322)は、プラトンの弟子です。プラトンの学園アカデメイアで学んでいましたが、プラトンの死後学園を去り、独自の哲学を展開していきます。
プラトンは理想主義で、イデアは個物を超越していると考えていました。
一方アリストテレスは現実主義で、イデアは個物の中にあると考えます。ゆえにプラトンのイデア論を批判しました。
上記の説明だけではわかりにくいと思うので、机を例に2人の思想の違いを見ていきましょう。
プラトンは個々の机と机そのもの(机のイデア)が別物と解釈します。
対照的にアリストテレスは、個々の机に机の本質が内在していると考えました。ようは、現実の机と机の本質は切り離せないものと解釈したわけです。
プラトンとアリストテレスの思想の違いを図にするとこんな感じです。
(プラトンとアリストテレスの違い:オリジナル)
形相と質料の関係
またアリストテレスは、すべての事物が形相(エイドス)と質料(ヒュレー)の結びつきによって成り立っていると考えました。
形相とはモノの本質のことで、「それが何であるか」を表します。プラトンのイデアと似ていると考えてください。
一方、質料とは簡単にいうと素材のことです。
再び机を例に考えてみましょう。
机の形相とは、天板と脚からなる道具であり、机の質料は木材ですよね。つまり、質料(=木材)は机という形を与えられることで、はじめて机(=形相)になりうるのです。
言いかえると質料が勝手に形相を獲得することはありません。何かしらの外的な力が加わらなければ、木材が机になることはないですからね。
ようするに形相が現実化する要因は、誰かが運動を引き起こしたからです。
机の例でいうと「人間が木材を加工したから」ですね。
では、そもそも人間はなぜ机を作るのでしょうか?
答えは、モノをのせたり書いたりするためですよね。
アリストテレスは机と同様、すべてのモノには目的があり、世界はその目的を実現するために動いていると考えました。このような考え方を目的論的自然観といいます。
道徳論【知性的徳と倫理的徳の違い・中庸とは何か】
続いては、道徳論について見ていきましょう。
アリストテレスは自身の著書である「ニコマコス倫理学」で、徳を以下の2つに分類しました。
知性的徳は、学習によって習得できる徳です。真理を認識する知恵と、何をなすべきか判断する思慮から構成されます。
一方倫理的徳は、善い行いの実践・習慣化によって体得できる徳です。
人間は知性的徳をもっているだけではすぐれた人といえません。賢い人が立派な人とは限らないですからね。
アリストテレスは、善を習慣化している人こそ人柄のすぐれた人としたのです。
注意
とはいえ、知性的徳も大事です。人間は感情や欲望に流されやすいから。
結論、知性的徳に基づいた正しい行為をくりかえし実践し、習慣化することで倫理的徳を獲得できます。
中庸(ちゅうよう)にかなった行為です。中庸とは、過少と過剰の両極端を避けたちょうど中間の行為を指します。
例えば、お金を無駄づかいするのは浪費ですが、大事な場面でお金を使わないのはケチですよね。なので、必要以上に浪費したりケチったりしないよう習慣化することでおおらかな人になるわけです。
ほかにも中庸の具体例はいくつかあるので、表にまとめました。
過剰 | 中庸 | 過少 |
浪費 | おおらか | ケチ |
無謀 | 勇気 | 臆病 |
虚栄 | 自尊 | 卑屈 |
短気 | 穏和 | 意気地なし |
放縦(ほうじゅう) | 節制 | 鈍感 |
答えは、幸福です。幸福はそれ自体で善いもの(最高善)だからです。
そして純粋に理性を働かせ、それ自体を楽しむ観想的生活によって人は幸福になれると考えました。
人間は生まれつき知ることを欲する動物だからです。
正義と友愛【全体的正義・部分的正義の違いも解説】
アリストテレスがのこした有名な言葉に「人間はポリス的動物である」があります。彼は、人間=ポリスという共同社会に生きる存在であると主張したのです。
そしてポリスでの共同生活に欠かせないものとして、正義と友愛(フィリア)をあげました。
アリストテレスは、正義を以下のように大きく2つに分類しました。
- 全体的正義:すべての市民が法を守ること
- 部分的正義:ルール自体が公正でなければならない
そして部分的正義も、以下の2つに分類しました。
配分的正義とは、個人の地位・能力・功績に応じて各人にふさわしく報酬や名誉を配分することを指します。
また調整的正義とは、各人がふさわしくないものをもっている、もしくはふさわしいものを失った場合に正義を回復するための原理です。
例えば、盗人には罰を与え、被害者を救済するといった感じですね。
友愛は、たがいに相手の徳を尊敬し、相手の幸福を願う関係のもとで成立する相互的な愛のことです。
国家論【共和制が最も安定的な政治形態】
アリストテレスは、国家についても考察を深めました。
彼は国家を以下のように3つに分類しています。
支配体制 | 正しい国政 | 堕落した国政 |
一人による支配 | 王政 | 独裁制 |
少数者による支配 | 貴族制 | 寡頭制 |
多数者による支配 | 共和制(民主制) | 衆愚制 |
アリストテレスは、どれも絶対的に良い政治体制ではないものの、共和制が最もリスクが少なく安定的な政治形態だとしたことはしっかりおさえておいてください。
入試問題にチャレンジ
問 下線部ⓑに関して、アリストテレスが用いている中庸の例の記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 恐れるべきものとそうでないものを正しく判断できるように知的訓練を積むことで、勇気のある人になる。
② 金銭や財に関して、必要以上に惜しんだり浪費したりしないよう習慣づけることで、おおらかな人になる。
③ 神の知をもっていないと自覚することで、最大の無知から解放され、人間にふさわしい知恵を得ることができる。
④ 極端な快楽と極端な禁欲を避けながら、静かな修道生活を送ることで心の平安を得ることができる。
(2007年 センター試験 本試験 倫理 第2問 問4より)
まとめ
今回は、アリストテレスの思想について解説しました。学習内容のおさらいです。
・素材である質料は、人間の活動や自然の運動によって形相を獲得する。
・倫理的徳は、知性的徳に基づいた正しい行為(中庸)のくりかえしによって身につけられる。
・ポリス(共同社会)での生活に不可欠なもの=正義と友愛
・王政・貴族制・共和制のなかでは、共和制が最も低リスクで安定的な政治形態であるとした。
アリストテレスの思想をマスターするための第一歩として、上記の4点をしっかりおさえておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
前回の記事「プラトンの思想(イデア論・魂の三分説・国家論)をわかりやすく解説【倫理第6回】」をご覧ください。

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