【世界史B】受験に役立つヨーロッパの歴史(ウィーン体制とその崩壊)【近現代編その1】

みなさん、こんにちは。前回、ナポレオンの話が終わり今回から「受験に役立つヨーロッパの歴史」シリーズもついに近現代編に突入です。

 

ヨーロッパの歴史、本当に長いですね。ただ、受験でもヨーロッパの歴史は本当に大事なテーマでしかも人名などのキーワードの量がめちゃくちゃ多いですね。整理して覚えていきましょう。この近現代史は入試頻出度合いが非常に高いのでしっかり理解する必要があります。

 

近現代シリーズ第1回はウィーン体制を取り上げます。ナポレオン戦争の戦後処理として始まったウィーン会議。会議で決まった内容は19世紀前半におけるヨーロッパ国際関係の基本となりました。今回は、ウィーン会議とウィーン体制を解説します。

 

今回の記事のポイント・ウィーン会議の領土変更はイギリス、オランダ、オーストリアに注目

・ウィーン体制を支えたのは神聖同盟と四国同盟

・七月革命はルイ=フィリップによる七月王政誕生につながった

・二月革命の結果、フランスで第二共和政が成立した

・七月革命、二月革命はヨーロッパ各地に飛び火した

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ウィーン体制の成立

(ウィーン会議:wikiより)

ナポレオン没落後、ヨーロッパの国々はオーストリアの首都ウィーンで戦後処理について話し合いました。この会議をウィーン会議といいます。ウィーン会議を主導したオーストリア帝国宰相メッテルニヒ正統主義勢力均衡を重視することでヨーロッパの秩序を回復させようとしました。

 

しかし、最初は自分たちの都合ばかりをいいあって、なかなかまとまらず「会議は踊る、されど進まず」といわれます。

 

しかし、ナポレオンがエルバ島を脱出してパリに戻ったと聞いた参加国は急いで話し合いをまとめ、団結して戦います。結局、ナポレオンワーテルロー戦いで敗れました。戦いの後、ヨーロッパでは領土が大きく変動します。

ちなみに、ナポレオンについては「【世界史B】受験に役立つヨーロッパの歴史(フランス革命とナポレオン)【近代編その6】」にて詳しく書いてます。まだ読んでない人は読んでください。

イギリスはフランスから地中海のマルタ島を、オランダからスリランカとケープ植民地(今の南アフリカ)を手に入れます。オランダは失った領土のかわりに南ネーデルラント(今のベルギー)をオーストリアから得ました。

 

オーストリアは北イタリアのヴェネツィアとロンバルディアを得ます。イタリアは小国分立の状態が継続することになりました。また、ドイツではオーストリアを盟主とするドイツ連邦が発足します。プロイセンはラインラントなど大幅に領土を拡大しました。

 

また、スウェーデンはデンマークからノルウェーを得ましたが、フィンランドをロシアに譲ります。ロシアはポーランドを得て、トルコからベッサラビア地方を得ました。

 

ウィーン体制を支える同盟と体制への反発

(アレクサンドル1世:wikiより)

ウィーン会議によってつくられた国際秩序をウィーン体制といいます。ウィーン体制は神聖同盟や四国同盟によって支えられた保守的な国際政治体制といわれました。

 

ウィーン会議から3か月後、ロシア皇帝アレクサンドル1世の提唱する神聖同盟が発足します。「王様同士、仲良くしましょう」くらいの意味合いしか持たない象徴的な同盟です。参加しなったのはイギリス、ローマ教皇、オスマン帝国。こちらの方を覚えましょう。

 

実質的に効力があったのは四国同盟の方です。四国とはオーストリア、プロイセン、ロシア、イギリスです。主導したのはイギリスでした。1818年にはフランスも加盟して五国同盟となります。しかし、足並みがそろわず1822年に自然消滅しました。

 

保守的なウィーン体制に対し、各地で自由主義の運動が起きます。1817年にはドイツでブルシェンシャフト運動1820年から21年にかけてイタリアでカルボナリの反乱1820年にはスペイン立憲革命が起きましたがいずれも鎮圧されます。

 

1825年ロシアで青年貴族らを中心とするデカブリストの乱が起きました。ナポレオン戦争でフランスの自由と平等に直接触れた青年将校たちが自由主義を求めたものですが、皇帝ニコライ1世が乱を鎮圧します。乱の参加者を絞首刑としました。(アレクサンドル1世でないので注意!

デカブリストの乱の語呂合わせ嫌な富豪(1825)をぶっ倒せ!デカブリストの乱

 

少し、革命の名前が多く出てきたので、以下の白地図でまとめましょう。実際に自分で書いてみると頭に入りますよ。

七月革命

(民衆を率いる自由の女神:wikiより)

1830年7月、ブルボン王家が復活したフランスで再び革命が起きました。ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』が有名ですね。フランスの7月革命のパリ市街戦をテーマに描かれています。この絵はフランス革命がモデルではないので注意してください

 

7月革命は、国王シャルル10世が亡命貴族に年金支給すると決めたことが革命のきっかけとなります。まだ存命だったラ=ファイエットが国民軍司令官とされました。

 

シャルル10世は退位に追い込まれ、オルレアン家のルイ=フィリップが国王に即位します。七月王政が始まります。七月王政を支持したのは主に都市の資本家であるブルジョワジーでした。

 

七月革命の知らせを聞いたヨーロッパ各国では自由主義・国民主義の運動がたかまります。成功した運動はベルギー独立運動、イギリスの第一回選挙法改正、ドイツ関税同盟の結成の3つ、失敗したのはポーランド反乱、イタリア反乱です。

地理関係がややこしいので、以下の地図にまとめました。赤字が成功した運動青字が失敗した運動です。

二月革命

(二月革命:wikiより)

ルイ=フィリップの七月王政は資本家であるブルジョワジーの支持を受けていました。政治参加を求める民衆は選挙法改正を求めますが、ギゾー内閣は拒否し続けます。政府による弾圧も行われたため、パリ市民や労働者が蜂起し二月革命がおきました。

 

民衆は国王がいるテュルリー宮殿めがけて押し寄せます。ルイ=フィリップはかろうじて脱出に成功しますが、政権維持は不可能でした。革命の結果、国王は退位し第二共和政が成立します。ナポレオンの甥であるルイ=ナポレオンが大統領になりました。

 

二月革命の影響は七月革命の時よりも大きな波となってヨーロッパを飲み込みます。イギリスではチャーチスト運動がもりあがり、穀物法廃止や航海法廃止につながりました。

 

オーストリアやプロイセンでは自由主義者による三月革命が起き、オーストリアのメッテルニヒが失脚。ウィーン体制の崩壊を象徴する出来事になりました。

 

また、ハンガリーのコシュートによる独立宣言ベーメン(今のチェコ)の民族運動青年イタリアの台頭ポーランドの独立運動など、各地で民族運動が多発します。これを、諸国民の春とよびました。

 

メッテルニヒが作り上げたウィーン体制は正統主義と勢力均衡にもとづく国際秩序として30年近く機能します。しかし、七月革命や二月革命の結果、自由主義・国民主義の運動がヨーロッパ各地に広がり、二月革命後にウィーン体制は崩壊します。

 

今回はここまでです。お疲れ様でした。

次回は「【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史(イギリスの自由主義改革)【近現代編その2】」です。

【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史(イギリスの自由主義改革)【近現代編その2】
こんにちは。今回も受験生に役立つヨーロッパの歴史シリーズをはじめます。今回はイギリスの自由主義改革を取り上げます。 今回の話は頻出のイギリス支配のインド史に大きく関わってきますし、他の歴史の基礎理解としてイギリスの自由主義は必要な知識なので...

 

前回の記事はこちら

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