消費者問題についてわかりやすく解説(入試問題も用意)【経済第10回】

今回は、消費者問題について取り上げます。

 

これまでに日本で発生した消費者問題の事例をはじめ、消費者を守るための施策、アメリカのケネディ大統領が提唱した消費者の4つの権利など、幅広い内容を解説しました。

 

最後には入試問題も用意しているので、ぜひ最後までお読みください。

この記事からわかること

・消費者問題とは何か

・日本でこれまでに起きた消費者問題の事例

・消費者の4つの権利とは

・消費者保護のための施策について

・近年の消費者問題

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消費者問題とは

(森永ヒ素ミルク事件:wikiより)

消費者問題とは、消費者が財・サービスを購入・消費する際に発生するトラブルです。これまでに日本では、さまざまな消費者問題が起きました。

 

まずは、1955年の森永ヒ素ミルク事件です。森永ヒ素ミルク事件では、ヒ素の混入した粉ミルクを飲んだ乳児133人が死亡しています。

 

また1950年代以降、整腸剤キノホルムの副作用が原因で多数の下肢麻痺や視力障害などの被害が多数発生しました。この事件をスモン病事件といいます。

 

高度成長期真っただ中の1961~62年にかけて起きたのが、サリドマイド事件です。睡眠剤サリドマイドを服用した妊婦から、1,000人以上の障がい児が産まれました。

 

1968年には、カネミ油症事件が起きます。カネミ倉庫の製造した米ぬか油にPCB(ポリ塩化ビフェニール)が混入し、10,000人以上に皮膚や内臓の障害が発生しました。

 

さらにアメリカから輸入された血液製剤の投与により、約2,000人がHIVに感染したことを受け、1989年には薬害エイズ訴訟(HIV)が提訴されたことも覚えておきましょう。

消費者の4つの権利

(ジョン・F・ケネディ:wikiより)

本来、企業の生産のあり方を最終的に決定するのは消費者であるという考え方のことを、消費者主権といいます。しかし実際は、依存効果情報の非対称性により、消費者主権が十分に機能していない場合も多々あります。

 

S先生
S先生
依存効果は、消費者の購買意欲が企業の宣伝・広告に依存している状態を指す言葉です。情報の非対称性とは、企業と消費者間の情報格差のことをいいます。

 

そこで、アメリカ・ケネディ大統領が消費者の4つの権利を提唱しました。その4つとは、安全を求める権利知らされる権利選択できる権利意見を反映できる権利です。消費者の4つの権利は、日本の消費者行政のモデルにもなりました。

消費者保護行政

(国民生活センター:wikiより)

消費者の生活と権利を守るため、1968年に消費者保護基本法が制定されます。

 

1970年には国民生活センターが設置され、各地方公共団体では消費生活センターが設立されました。

 

また、1994年には製造物責任法(PL法)が制定されます。PL法では、無過失責任主義制度が定められました。これは、企業が製品の欠陥から生じた被害について、故意・過失の有無に関わらず、損害賠償責任を負うというものです。

 

S先生
S先生
被害者側は、製品の欠陥を立証すればOKです。

 

さらに、2000年には消費者契約法が制定されます。不当な契約や悪質な業者から消費者を守るための法律です。これにより、詐欺などによって締結された契約を取り消すことができます。

 

加えて、割賦販売法・特定商取引法では、クーリングオフが定められています。クーリングオフとは、一定期間内であれば違約金なしで無条件に契約を解除できる制度です。重要なのでおさえておいてください。

最近の消費者問題

(クレジットカード:wikiより)

近年の消費者問題は、いろいろな種類があります。以下にその一部をご紹介しているので、日々の学習にぜひご活用ください。

 

①マルチ商法:組織の会員が新規会員を勧誘し、紹介料としてリベートを得るビジネス→在庫を抱えたり、無理な勧誘で人間関係に亀裂が生じたりするトラブルも
②キャッチセールス:路上や街頭で声をかけ、商品の購入を迫る
③デート商法:電話やメールなどで販売目的を隠して異性に近づき、巧みな話術で好感を持たせたのち、商品を購入させる
④食の安全をめぐる問題:BSE(牛海綿状脳症)・産地偽装・賞味期限の改ざんなど

 

このほか、複数の金融機関から借金を抱える多重債務や、違法で悪質な取り立てを行うヤミ金融による被害なども問題となっています。

 

今回の範囲はここまでです。続いて入試問題を用意しているので、ぜひチェックしてみてください。

入試問題にチャレンジ

問1 下線部ⓗ(消費者問題)に関する記述として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 消費者基本法により、食品の安全性を評価する国の機関として食品安全委員会が設置された。

② 貸金業法が改正され、消費者金融などの貸金業者からの借入れ総額を制限する総量規制が撤廃された。

③ 特定商取引法では、消費者が一定期間内であれば契約を解除できるクーリングオフ制度が定められている。

④ グリーン購入法により、消費者が環境への負荷の少ない製品を優先的に購入することが義務づけられている。

2017年 センター試験 本試験 政治・経済 第1問 問9より)

 

問2 下線部ⓕ(企業との契約)に関連して、契約や企業の責任に関する記述として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本の製造物責任法(PL法)では、消費者が欠陥商品によって被害を受けた場合、その製造業者は過失がなければ、原則として、賠償責任を負わないとされる。

② 日本では、訪問販売や電話勧誘によって商品の購入契約を結んだ場合、一定期間内に手続きを行えばその契約を解除できるという、クーリングオフ制度が存在している。

③ 商品を購入するためにクレジットカードで支払いをすることは、購入のための資金を借りることを意味している。

④ 企業が法令や企業倫理に従って行動することは、コンプライアンスと呼ばれる。

2015年 センター試験 本試験 現代社会 第1問 問6より)

問1:③ ①:食品安全委員会は、2003年に制定された食品安全基本法により設置されたので誤りです。②:2010年の貸金業法改正により、総量規制が導入されました。ちなみに撤廃されたのはグレーゾーン金利です。④:グリーン購入法は、消費者ではなく公的機関に対して、環境負荷の低減に役立つ物品を率先して購入することを定めた法律です。
問2:① 製造物責任法は、被害者側が商品に欠陥があることを立証しさえすれば、製造業者は故意・過失の有無にかかわらず、損害賠償責任を負わなければなりません。

 

まとめ

今回は、消費者問題を解説しました。

 

日本でこれまでに発生した消費者問題はもちろん、消費者問題に対して政府が講じてきた施策や最近の消費者問題についてもしっかり理解していただければ幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

前回の記事「公害問題についてわかりやすく解説(入試問題つき)【経済第9回】」ですのでよければ読んでください。

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