戦後の日本経済についてわかりやすく解説(入試問題つき)【経済第7回】

今回は戦後の日本経済を復興期・高度成長期・安定成長期・バブル期の4つに分けて解説します。

 

高度経済成長やバブル崩壊の要因を中心に幅広い内容を取り扱いました。

 

最後には入試問題も用意しているので、ぜひ最後までお読みください。

この記事からわかること

・終戦直後の経済民主化政策・経済復興政策

・高度経済成長の要因・終焉のきっかけ

・バブル経済とは何か?バブル崩壊の原因

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復興期

(マッカーサー:wikiより)

終戦後の日本では、GHQのもとで経済民主化政策が進められます。

 

財閥は解体され、農地改革により小作農は自作農となりました。また治安維持法が廃止され、労働組合法(1945)・労働関係調整法(1946)・労働基準法(1947)の、いわゆる労働三法が制定されたのも重要なトピックです。

 

経済民主化政策と同時に経済復興政策も進められます。

 

政府は経済再建を目指し、1946年に鉄鋼・石炭などの基幹産業へ重点的に資源を投入する傾斜生産方式を採用し、必要な資金を供給するため、復興金融金庫を設立しました。これに対してアメリカは、ガリオア・エロアと呼ばれる資金援助を実施します。

 

しかし日銀引き受けの復金債で資金を調達したため、復金インフレが発生しました。そこでインフレに対処するべく、1948年に経済安定九原則が発表され、翌1949年にはGHQから派遣されたドッジの指導により、ドッジ・ラインが実施されます。

 

ドッジ・ラインは、均衡財政政策・復金債の発行禁止・1ドル=360円単一為替レートの確立といった一連の政策のことです。

 

また同年にはシャウプ勧告にもとづき、直接税中心の税制改革が進められます。

 

その後、日本は朝鮮戦争による特需景気を契機に不況を脱出し、経済復興は終わりを迎えました。

高度成長期

(東京オリンピック:wikiより)

高度成長期における経済の大まかな流れは、

神武景気(1954~57)→岩戸景気(1958~61)→オリンピック景気(1962~64)→40年不況(1965)→いざなぎ景気(1965~70)

です。

 

高度成長期前半(神武景気~オリンピック景気)には、1960年に池田勇人内閣が国民所得倍増計画を打ち出し、年平均約10%の実質経済成長率を実現したほか、1964年にはOECD(経済協力開発機構)の加盟も果たします。

 

またこの頃には、三種の神器(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)が急速に普及しました。

 

40年不況をはさみ、高度成長期後半(いざなぎ景気)には、国際収支の天井が解消されます。

 

国際収支の天井とは、好況期に輸入が増え、経常収支が赤字になるため、経済を引き締めて景気を後退させるという状況です。日本は高度成長期前半には国際収支の天井に苦しんでいましたが、1960年代以降輸出が増えたことによりこうした現象から解放されました。

 

国民生活では、3C(カラーテレビ・自動車・クーラー)が普及したこともおさえておきましょう。

 

高度成長の要因は主に3つあります。それは、

①民間の設備投資が活発化したこと
②国民の貯蓄率が高く、豊富な資金が金融機関から企業へ供給されたこと
③労働力が農村から都市へ大量に供給されたこと

です。

 

また経済が発展するにつれて、第一次産業(農林水産業)の従事者割合が減少し、第二次産業(鉱業・製造業・建設業)・第三次産業(商業・サービスなど)の割合が増加していきました。これを産業構造の高度化といいます。

安定成長期

(プラザ合意:wikiより)

1973年に起きた第一次石油危機をきっかけに高度成長は終焉を迎え、実質経済成長率が年4~5%の安定成長期に入ります。

 

第一次石油危機により、日本は狂乱物価と呼ばれる激しいインフレと景気停滞が同時に発生するスタグフレーションに苦しみ、1974年には戦後初のマイナス成長となりました。

 

こうした状況に対応するため、民間企業は省エネ・設備投資の削減・人員整理などの減量経営を行い、ヒト・モノ・カネの削減に取り組みます。なかには需要を海外に求め、輸出競争力の強化に着手する企業も出現しました。

 

しかし輸出が伸びて貿易黒字が拡大した結果、アメリカとの間で貿易摩擦が発生します。アメリカの貿易収支を改善するため、1985年に日本・アメリカ・イギリス・フランス・西ドイツの財務相が集まったG5で、プラザ合意が発表されました。

 

合意後ドル高の是正が図られたこともあり、円高・ドル安が急速に進行し、日本は円高不況に陥ります。

 

S先生
S先生
ME(マイクロエレクトロニクス)技術を使った工場・オフィスの自動化や、外食やレジャーといったサービス産業の成長が進んだのも安定成長期の特徴です。

社会主義の変容

(バブル景気:wikiより)

円高不況により日銀が超低金利政策に踏み切ったことを受け、企業や家計の余剰資金は株式や土地などの投機に向かいます。バブル経済の始まりです。1980年代後半はまさにバブルの真っ盛りでした。

 

しかし日銀が金融引き締め政策を行ったのに続き、当時の大蔵省が不動産向け融資を抑制させる総量規制を実施すると、バブル経済は崩壊し、日本は深刻な長期不況に陥ります。大量の不良債権を抱え込んだ多くの金融機関が破綻し、民間企業はリストラなどにより人員整理を行わざるを得なくなりました。

 

今回の範囲はここまでです。続いて入試問題を用意しているので、ぜひチェックしてみてください。

入試問題にチャレンジ

問 下線部ⓒ(高度経済成長)の時期にみられた好況期の通称A~Cと、それぞれの時期における日本経済の出来事ア〜ウとの組合せとして正しいものを、下の①〜⑥のうちから一つ選べ。

 

A 神武景気(1954年11月~57年6月)

B 岩戸景気(1958年6月~61年12月)

C オリンピック景気(1962年10月~64年10月)

 

ア 国民所得倍増計画の発表

イ GATT(関税及び貿易に関する一般協定)への加盟

ウ OECD(経済協力開発機構)への加盟

 

① A-ア B-イ C-ウ

② A-ア B-ウ C-イ

③ A-イ B-ア C-ウ

④ A-イ B-ウ C-ア

⑤ A-ウ B-ア C-イ

⑥ A-ウ B-イ C-ア

2014年 センター試験 本試験 政治・経済 第1問 問3より)

正解:③ GATT加盟は1955年、池田内閣による国民所得倍増計画の発表は1960年、OECD加盟は1964年です

まとめ

今回は戦後の日本経済について解説しました。

 

この記事を読んで、終戦直後の経済政策や高度経済成長・バブル崩壊の要因をしっかり理解していただければ幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

前回の記事「資本主義と社会主義についてわかりやすく解説(入試問題も用意)【経済第6回】」ですのでよければ読んでください。

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次回の記事「農業・中小企業問題についてわかりやすく解説(入試問題も解説)【経済第8回】」をご覧ください。

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