今回は高校地理の「気温」について解説していきます。気温の範囲ですが、センター試験で問われやすいにもかかわらず、なかなか整理しにくいテーマだと思います。
例えば、センター試験では「雨温図」を選ぶ問題が必ずと言っていいほど出題されます。この問題は、年較差や最暖月、隔海度といった知識を総動員すると簡単に解けてしまいます!この傾向は大学共通テストでもみられるでしょう
また、気温の逓減率(ていげんりつ)については理解しさえすれば難しく考えなくてもよくなります。それではやっていきましょう。
今回の記事のポイント
- 気温の逓減(ていげん)率とは何かがわかる
- 最暖月から年較差、日較差まで具体的に計算をして理解できる
- 隔海度(かくかいど)について理解できる。
- 年較差の要因を具体的に理解する
気温の逓減率について
これは皆さんおなじみの山、富士山です。この写真を地理的視点から見てください。何か思うことはないでしょうか。
そう、富士山の大抵の写真は山頂が白くなっているのです。
なぜでしょう。それは、山頂が麓に比べて寒いからです。
気温の逓減率について学習するとき、「山頂が麓よりも寒い」というイメージが大切になります。
このイメージをもっと論理的にしていきましょう。
気温は、100m高度が増すと平均0.65℃の割合で下がるという現象が起きます。この0.65という値を気温の逓減(ていげん)率といいます。
再び富士山にあてはめて考えてみましょう。富士山麓が30℃だったとします。
富士山は3776mなので、山頂にいくまでに、3776m÷100m×0.65℃=25.544℃減少します。
よって山頂の気温は30℃-25.544℃=4.456℃ となります。
真夏に富士山に登っても山頂はとても寒いというのが一目瞭然ですね。
最暖月について
最暖月とは、その名の通り「一年で最も暖かい月」のことをいいます。つまり、一年で一番気温の高い月、ということになりますね。
では、この雨温図で最暖月はどこの点にあたるでしょうか。
正解はこの黄緑色で囲んだところです。最暖月は8月ということになりますね。
ちなみに、最暖月があれば最寒月もあります。
最寒月は「一年で最も寒い月」ということになりますね。上の雨温図でいうと、最寒月は2月です。
ちなみに、最暖月、最寒月ともに言えることなのですが、問題で使われるときは「最暖月平均気温」、「最寒月平均気温」と書かれていることが多いです。
どちらも「最暖月(最寒月)一か月間の気温を平均したもの」のことを指します。
「最暖月平均気温の値を求めよ」といった問題は見たことがないので、意味だけゆるく抑えていれば大丈夫です!
年較差
まず、言葉の説明からします。年較差とは、気温の年変化の大きさのことをいいます。つまり、月平均気温の最大差ということになります。
このことを踏まえると、
年較差=最暖月平均気温-最寒月平均気温
という式が成り立ちますね。
この雨温図で考えてみましょう。
緑の◎がそれぞれ最暖月(約26℃)、最寒月(約2℃)でしたね。
では、ここから年較差を出していきます。年較差=最暖月平均気温ー最寒月平均気温 に当てはめると
年較差=26℃ー2℃=24℃
ということになります。
雨温図では、気温の折れ線グラフの“てっぺんから一番低い点をひく”と考えれば簡単ですね。
日較差について
日較差についても、言葉の説明からします。日較差の場合も、年較差の時と同じように考えます。
日較差とは、気温の日変化の大きさのことをいいます。つまり、最高気温と最低気温の差のことを指します。
なので、
日較差=日最高気温ー日最低気温
という式が成り立ちます。
皆さんが毎日チェックしている天気予報で「今日の最高気温は17℃、最低気温は5℃です」という言葉を耳にしますよね。そこから日較差が求められるのです。
上の公式に当てはめてみましょう。
日較差=17℃ー5℃=12℃ ということになります。
身近なところにも地理の要素が含まれています、おもしろいですね。
隔海度について
ん??なんて読むの??と思われる方、いると思います。これは「かくかいど」と読みます。
隔海度とは、「どれだけ海から離れているかを表す度合い」のことをいいます。
上の白地図のうち、青い点がシンチャンウイグル自治区、赤い点が上海です。二つのうち隔海度が大きいのはどちらでしょう。
隔海度は「海から離れているほうが大きい」ので、隔海度が大きいのは青のシンチャンウイグル自治区 ですね。
隔海度は気候や気温問題を解くときに重要になります!ぜひ覚えておきましょう。
年較差が大きい地域、小さい地域
ここまで一通り説明したところで、どういう地域が年較差が大きくて、どういう地域が年較差が小さいのか説明していきます。
年較差の大小を決める要素は3つあります。
- 緯度
- 隔海度
- 大陸の東岸か西岸か
です。
では、順に解決していきましょう。
年較差と緯度
一般的に、緯度が低い地域は年較差が小さく、緯度が高い地域は年較差が大きくなります。
なぜこのようなことが起きるのでしょう。それは、地球が傾いていることと大きく関係しています。
上のイラストを見てください。低緯度地域(赤道付近)は太陽光が当たる量はほぼ同じです。つまり、極端に暑くなったり寒くなったりしません。
一方で高緯度地域はどうでしょう。地球が傾いているせいで、太陽光が当たりやすい時期と当たりにくい時期があるのです。そのため、一年を通して暑くなったり寒くなったりします。
こうして緯度による年較差の大小が生まれるのですね。
年較差と隔海度
一般に、隔海度が大きい地域(内陸部)では年較差が大きくなります。隔海度が小さい地域(沿岸部)では年較差が小さくなります。これは年較差だけでなく、日較差にもいえることです。
なぜこうなるのでしょう。突然ですが皆さん、プールの授業を思い出してみてください。
屋外プールで授業するとき、晴れの日はプールサイドのコンクリート部分がじりじりするほど熱かったのではないでしょうか。曇りの日は全然熱くなかったですよね。比べてプールの水はどうでしょう。
晴れの日も曇りの日も水の温度変化はあまりありませんでした。これは、「石は水よりも熱しやすく、冷めやすい」という原理に基づいています。
隔海度も同じことが言えます。内陸部(石)は沿岸部(水)よりも熱しやすく、冷めやすいのです。
つまり、”内陸部のほうが暑くなったり寒くなったりしやすい”=”年較差、日較差が大きい” となります。
年較差と大陸の東岸・西岸について
一般に、大陸東岸では年較差が大きく、大陸西岸では年較差が小さくなります。これは大陸西岸が偏西風や暖流の影響を強く受けるからです。
偏西風や暖流の影響により、西岸は夏は涼しく、冬は暖かい気候になっています。そのため、大陸東岸よりも年較差は小さくなります。
【まとめ】
今回の記事の内容は以下のものでした。
- 気温の逓減率とは、100m高度が増すと0.65℃気温が下がる「0.65」という値のこと
- 最暖月とは一年で最も暖かい月のこと
- 年較差=最暖月平均気温ー最寒月平均気温
- 日較差=日最高気温ー日最低気温
- 日較差が大きくなる要素 ①緯度 ②隔海度 ③大陸の東岸か西岸か
きちんと理解すれば、地理は嫌な暗記をしなくても大丈夫です!頑張りましょう!
 
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