文学史とは、文学の歴史を指します。そして、今回は中国文学史について解説をしていきます。中国では士大夫などの知識人を中心に漢詩などの文学作品がつくられました。
元代以降は、庶民文学も盛んに書かれるようになります。明の時代に入ると、現代の日本でも読まれる『三国志演義』や『水滸伝』などの作品が出来上がりました。
受験では意外とごちゃごちゃしてしまうので、文学作品を時代やジャンルで分類し、知識の整理を図ります。
この記事の内容・詩の形式である、古詩、四六駢儷体、唐詩、宋詞の違いを理解しましょう
・散文では韓愈や欧陽脩らが進めた古文復興運動に注目
・元以降でよく出題されるのは中国四代奇書
・清代の長編小説2つと短編小説1つは出題頻度が高いので要注意
古代から宋までの中国文学史
(陶淵明:wikiより)
中国において漢詩が作られるようになったのは漢や三国時代のころ。魏晋南北朝時代以前の漢詩を古詩といいます。
魏晋南北朝時代に入ると、陶潜や謝霊雲らが現れます。陶潜は陶淵明ともよばれ、漢詩「帰去来辞」は官職を退き故郷に隠遁するときの心情をつづったもので、この詩にちなみ、引退して故郷に帰ることを帰去来というようになりました。
(世界の歴史マップ)
もう一つの「桃花源記」は理想郷を意味する桃源郷の語源となった詩です。謝霊雲は山水詩を書きました。
文学史上、重要な詩集が『文選』です。南朝である梁の昭明太子が編纂したもので、4文字と6文字の二句で対となるように文章をつくる四六駢儷体の詩を多く収集しています。
四六駢儷体とは4字と6字をもとにして、対句表現を行う文体をいいます。初めは詩に用いられ、南北朝時代には散文にも取り入れられ、その形式が貴族社会の流行となりました。
唐代の詩を唐詩といいます。唐詞は五言・七言、絶句・律詩といった定型があるのが特徴です。格調が重んじられ、科挙の重要科目ともなりました。
李白・杜甫・王維は玄宗皇帝時代である盛唐の詩人たちです。対して、白居易は安史の乱後の中唐の詩人。玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を詠んだ『長恨歌』は不朽の名作とされます。
宋代に入ると漢詩の形に変化が現れます。宋詞は唐詩と異なり、定型がありません。また、詞をメロディに乗せて歌うことも唐詩と異なる点です。唐詩に比べ繊細な抒情に浸る作品が多いのも宋詞の特徴といってよいでしょう。
元から清まで中国文学史
(水滸伝:wikiより)
元の時代は儒学や漢詩を基礎教養とする士大夫にとって受難の時代でした。漢人の教養はあまり重視されず、わかりやすく娯楽性が高い作品が生み出されました。
元の時代に流行ったのが元曲です。元曲は歌、しぐさ、セリフがついた歌劇のこと。誰が見てもすぐにわかりやすい作品となっていますね。
『西廂記』や『琵琶記』は元曲の代表作品としてたびたび出題されますので要注意。
明の時代に入ると庶民文学が盛んになりました。この時代に作られた作品は日本でもよく知られています。
『西遊記』は玄奘三蔵がインドに経典を求めて旅をする物語。孫悟空や沙悟浄、猪八戒が活躍する物語で日本でもドラマとして放送されました。
『水滸伝』は108人の豪傑たちが腐敗した北宋の朝廷に立ち向かう物語。『水滸伝』の一部を切り取り、拡大してつくられたのが『金瓶梅』でした。
『金瓶梅』は物語の舞台こそ北宋時代としていますが、実際には明末の腐敗した社会の様子を風刺した物語でした。
『三国志演義』は西晋の陳寿が書いた歴史書『三国志演義』をもとにした物語。蜀を建国した劉備を主人公とした物語で、日本でも人気がある作品ですね。
これらの作品は中国四大奇書とよばれます。
清の時代でよく出題されるのは有名な長編小説2つ、短編小説が1つ。一つは満州貴族の家庭を描いた『紅楼夢』。乾隆帝時代の清の社会を描き、広く読まれた作品となりました。
もう一つの長編小説は『儒林外史』。科挙を受けることができず貧困のうちに生きた作者が、科挙制度の批判と堕落した官僚への批判を織り交ぜて風刺した作品です。
短編小説の『聊斎志異』を書いたのも、科挙に落第し続けた人物でした。世間の奇談や怪談を集めて書き綴ったもので、江戸時代に日本に伝わり、落語などに影響を与えます。
まとめ
中国の文学史は唐・宋までの士大夫中心の文化から、元以降の一般人に広がる文化へと変化を遂げました。
特によく出題されるのが明代と清代の文学作品。中国四大奇書は明の時代なので混同しないようにしましょう。
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