みなさん、こんにちは。数学ⅠAのコーナーです。今回のテーマは【分母の有理化】です。
分数の分母にルートがある!?どうやって解けばいいの?
今回は、分母にルートがあるときの計算の仕方を解説します。分母の有理化と言われるものですね。まず、そもそも分母の有理化とは何?という疑問を解消し、その後ルートの有理化の仕方を勉強しましょう。
分母の有理化それ自体で大問ができることはほとんどないでしょうが、過去に大学入試の小問で出題されたこともありますし、計算過程で分母の有理化が必要となることもあります。とにかく必須のスキルと言えるでしょう。
では、さっそく始めていきましょう。
・分母の有理化のやり方がわかる
・自分で実際に分母の有理化ができる
そもそも分母の有理化とは?
分母の有理化とは、「分母にある無理数を有理数にすること」です。数学では、分母は有理数にすると決まっているので、必ず分母の有理化をしなくてはなりません。分母の有理化はどのようにするのでしょうか…。中学校の復習ですね。
$\frac{1}{\sqrt{3}}$をの分母を有理化してみましょう。
分母のルートを外し、有理化する方法が何だったか思い出しましたか?
正解は…、「分母・分子ともに$\sqrt{3}$をかける」です。
分母と分子に同じ数をかけても値は変わらないので、分母と・分子ともに$\sqrt{3}$をかけましょう。そうすると、$\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}\times\sqrt{3}}$となり、さらに$\frac{\sqrt{3}}{3}$となるので、分母のルートを外すことができました。
分母の有理化を復習しよう!
復習のために4問、分母の有理化を練習しましょう。
【分母の有理化の問題】
①$\frac{3}{\sqrt{2}}$
②$\frac{6}{\sqrt{3}}$
③$\frac{2}{\sqrt{5}}$
④$\frac{4}{\sqrt{8}}$
【解答】
③$$\frac{2}{\sqrt{5}}=\frac{2\times\sqrt{5}}{\left(\sqrt{5}\right)^{2}}$$
$$=\frac{2\sqrt{5}}{5}$$
テキスト④$$\frac{4}{\sqrt{8}}=\frac{4}{2\sqrt{2}}$$$$=\frac{2}{\sqrt{2}}$$
$$=\frac{2\times\sqrt{2}}{\left(\sqrt{2}\right)^{2}}$$
$$=\frac{2\times\sqrt{2}}{2}$$
$$=\sqrt{2}$$
テキス解説
どの問題も分母と分子に同じ数をかければ、かんたんに解くことができます。②約分も忘れないように注意しましょう。④$\sqrt{8}$のまま有理化しようとせず、$2\sqrt{2}$とかんたんな形にしてから有理化をしましょう。
$$¥frac{3}{¥sqrt[2]{2}}=¥frac{3¥times¥sqrt[2]{2}}{分母}/¥sqrt[2]{2}^{2}
=¥frac{3¥sqrt[2]{2}}{2}$$
分母が二項のときの分母の有理化の方法とは?
ここまではかんたんでしたね。では、$\frac{1}{\sqrt{2}+1}$はどうでしょう。
分母の項が2つになりましたね。$\frac{1}{\sqrt{3}}$のとき同様、分母にも分子にも分母と同じ数をかけてみましょう。
$$\frac{1}{\sqrt{2}+1}=\frac{\sqrt{2}+1}{\left(\sqrt{2}+1\right)^{2}}$$
$$=\frac{\sqrt{2}+1}{3+2\sqrt{2}}$$
これではまだ分母にルートが残っており、有理化できていません。このように分母が2項のときは、どのように有理化をすればよいのでしょうか。
$\sqrt{2}+1$にかけると有理数になる数はあるのでしょうか?
ここで、乗法公式を思い出してみると、$\left(a+b\right)\left(a-b\right)=a^{2}-b^{2}$という式がありましたね。今回重要となるのがこの式です。
$a=\sqrt{2}$、$b=1$と考えると、$\sqrt{2}-1$をかけるのと良さそうです。さっそく$\frac{1}{\sqrt{2}+1}$の分母を有理化してみましょう。
$$\frac{1}{\sqrt{2}+1}=\frac{\sqrt{2}-1}{\left(\sqrt{2}+1\right)\left(\sqrt{2}-1\right)}$$
$$=\frac{\sqrt{2}-1}{2-1}$$
$$=\sqrt{2}-1$$
分母が三項のときの分母の有理化の方法とは?
では、分母が3項の場合はどうでしょうか?$\frac{1}{1+\sqrt{2}+\sqrt{3}}$で考えてみましょう。
まず、分母を$\left(a+b\right)\left(a-b\right)=a^{2}-b^{2}$の形にするにあたって、$a=1+\sqrt{2}$、$b=\sqrt{3}$と考えます。
$$\frac{1}{1+\sqrt{2}+\sqrt{3}}=\frac{\left(1+\sqrt{2}\right)-\sqrt{3}}{\left\{\left(1+\sqrt{2}\right)+\sqrt{3}\right\}\left\{\left(1+\sqrt{2}\right)-\sqrt{3}\right\}}$$
$$=\frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{\left(1+\sqrt{2}\right)^{2}-\left(\sqrt{3}\right)^{2}}$$
$$=\frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{3+2\sqrt{2}-3}$$
$$=\frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{2\sqrt{2}}$$
ここまできたら中学校でならう分母の有理化のレベルですね。
分母・分子ともに$\sqrt{2}$をかけ、式を整理しましょう。
$$\frac{1+\sqrt{2}+\sqrt{3}}{2\sqrt{2}}$$
$$=\frac{\sqrt{2}\left(1+\sqrt{2}-\sqrt{3}\right)}{2\sqrt{2}\times\sqrt{2}}$$
$$=\frac{\sqrt{2}+2-\sqrt{6}}{4}$$
$$=\frac{2+\sqrt{2}-\sqrt{6}}{4}$$
このように分母が何項あっても、分母を$\left(a+b\right)\left(a-b\right)=a^{2}-b^{2}$の形に変形し続けることで、分母の有理化をすることができます。
問題を解いてみよう!
【問題】
①$\frac{5}{\sqrt{2}+\sqrt{3}}$
②$\frac{3}{\sqrt{2}+\sqrt{12}}$
③$\frac{4}{\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{5}}$
【解答】
【解説】
分母を$\left(a+b\right)\left(a-b\right)=a^{2}-b^{2}$の形にすると分母の有理化ができます。分母a*2-b*2を正の数にしたいので、aをbよりも大きい数にするのがポイントです。また、約分できることもあるので、分子を展開するのは最後にしましょう。
③$a=\sqrt{2}+\sqrt{3}$、$b=\sqrt{5}$と考えましょう。
今回のまとめ
今回は、分母の有理化のついて説明しました。「分母を$\left(a+b\right)\left(a-b\right)=a^{2}-b^{2}$の形にする」というお決まりのパターンで解けるので、一度覚えてしまえばもう安心です。練習問題を繰り返し解いて、分母の有理化マスターになりましょう。
お疲れさまでした。
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