生物基礎のテスト勉強をしているときにこんな疑問はないですか?
- 細胞内共生説って一体なに?
- 細胞内共生説は入試でどのような問題が出るの?
こんなお悩みを解決できるようにわかりやすく解説します。
- 本記事の内容 細胞内共生説とは?わかりやすく解説
- 細胞内共生説と入試問題
- 細胞内共生説の提唱者について
以上の順番で解説していきます。ぜひ、参考にして下さいね。
細胞内共生説とは?わかりやすく解説
細胞内共生説とは、細胞内にあるミトコンドリアと葉緑体が別々の生物であったという説のことです。
もともとは光合成するバクテリアや呼吸するバクテリアだったのが、真核細胞に取り込まれてしまい、細胞のなかで共生する中でミトコンドリアと葉緑体へと変化していったと考えられています。
ミトコンドリアと葉緑体の起源を裏づけるもので、原核生物から真核生物が進化したことを示すものとしても重要な説です。
この仮説によってミトコンドリアと葉緑体はもともと違う生物だったのではないかと考えられています。
もともとは、別の生物だったのに気づけば無くてはならない存在になってしまった…少し運命的な仮説ですね。
細胞内共生説の根拠
細胞内共生説の根拠を
- ミトコンドリアの起源
- 葉緑体の起源
のそれぞれを深堀りしつつ説明していきます。
ミトコンドリアの起源について
まず、ミトコンドリアの起源から紹介します。
ミトコンドリアは、もともとは酸素を用いて呼吸を行う「好気性細菌」と呼ばれる原核生物でした。
この「好気性細菌」が真核細胞に取り込まれてミトコンドリアへと変化していきました。
ミトコンドリアが二重膜構造になっているのは、好気性細菌の細胞膜と取り込んだ細胞膜に包まれたからという説明になります。
他にも、ミトコンドリアは核とは異なる独自のDNAを持つことや、細胞分裂とは関係なく必要なときに自己増殖します。
<ミトコンドリアが共生した根拠>
ミトコンドリアにはこのような起源があることから細胞内共生説が提唱されています。
葉緑体の起源について
本来は、光合成を行う原核生物(シアノバクテリア)が細胞に取り込まれて、共生関係が成り立った結果、葉緑体へと変化していきました。
葉緑体も独自のDNAを持っていて、自己増殖をすること、二重膜構造になっていることがこの共生説の根拠になります。
<葉緑体が共生した根拠>
葉緑体もこのような起源があることから、細胞内共生説が提唱されています。
共生の順番について
共生は、「ミトコンドリア」→「葉緑体」の順番で起こったと言われています。
まず初めにDNAしかもっていなかった原核生物が好気性細菌を細胞内に取り込みます。その生物は共生し、好気性細菌はミトコンドリアへと変化していきました。
そのあとに、その好気性細菌を取り込んだ細胞はシアノバクテリアを取り込んでいきます。
そして、シアノバクテリアとの共生によって葉緑体へと変化していきました。
ミトコンドリアのみを取り込んだ細胞は、そのまま進化して動物細胞になりました。
また、ミトコンドリアと葉緑体を取り込んだ細胞は植物細胞へと進化していったと考えられています。
ミトコンドリアのみを持つ細胞がはあるが、葉緑体だけを持つ細胞はないことからこの順番が有力だよ。
細胞内共生説と入試問題
それでは、「細胞内共生説」が実際の入試試験でどのように出題されているのかを見ていきましょう。
今回は、2019年センター試験の生物を紹介して解説していきます。
細胞内共生説がどのような感じで入試問題に出題されるか掴んでおこう。
細胞内共生説の問題
下の図は2019年のセンター生物第5問の問2と問3の図です。
まずは、一通り読んでみましょう。
問2と問3のエは今回は関係ないので、答えを先に教えておきます。
問2が「②」で、問3のエは「②」になります。
そして、「細胞内共生説」の知識をつかった問題は問3のオです。
問2と問3の答えを当てはめて、問3のオに何が入るか少しだけ考えてみましょう。
ヒントは2本の破線。共生した順番はどっちが先かでオに入る生物は何か考えてみよう。
問3オの解説
それでは解答を発表します。
解答は「⑨」のゼニコケです。合っていたでしょうか。
解答に至るまでの手順を解説すると、今回で大切なのは「共生の順番」です。
まず先にミトコンドリアが細胞と共生し、後で葉緑体が共生してきたんだったね。
下の図のようにオには「葉緑体がある植物細胞を持つ生物」、つまり植物が入ることがわかります。
そして、選択肢をみると唯一植物である「ゼニコケ」が答えになります。
このような形で問題が出題されるので、共生の順番はしっかり押さえておこうね。
細胞内共生説の提唱者について
細胞内共生説を提唱した人は、リン・マーギュリスというアメリカの女性生物学者で、1970年に発表されました。
発表されるもより前に、「ミトコンドリアと葉緑体は別の生物だ!」と言っている研究者がいました。
ミトコンドリアと葉緑体の研究が進むうちに、独自のDNAを持つことや、細胞と関係なく増殖することが明らかになり、「細胞内共生説」が有力になっていきました。
そして、リン・マーギュリスはわかってきた事実をまとめ上げ、「細胞内共生説」を提唱しました。
ネオダーウィニズムへの批判
マーギュリスは、ネオダーウィニズムを強く批判しました。
ネオダーウィニズムとは、「進化とは、環境の適している、強い種が生き残っていく」という自然選択という説のことをいいます。
しかし、自然に適しているというのは、人間の価値基準からきていて、物理現象の因果関係にはなりえません。
このことから、マーギュリスは進化の主な原動力は、「共生」であると主張し、「競争」を主張するネオダーウィニズムを批判しています。
細胞内共生説のまとめ
というわけで以上です。今回は、細胞内共生説について紹介しました。
細胞内共生説は、ミトコンドリアと葉緑体の共生した順番や根拠をしっかりと押さえておかなければいけません。
また提唱者についても一緒に覚えていくと、他の生物基礎の分野でも知識を網羅的に理解することができるので、できれば押さえておきましょう。
入試問題でどのように出題させれるのか本記事で掴んでいただけたら、嬉しいです。
ぜひ今後の勉強に参考にしてくださいね。今回も最後までありがとうございました。
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