国際連盟設立とその欠点(国際連合との違いや入試問題つき)【世界史B】

第一次世界大戦後、戦争が大規模に渡ったことから、アメリカ大統領ウィルソンは国家間の組織である国際連盟という組織を創設します。

 

今回は、国際連盟創設の流れ及び日本の脱退までの経緯を解説します。

 

また、頻出の国際連合との違いについても表でまとめましたので覚えておきましょう。

 

世界史で出題されるのみならず政治経済でも出題されます。入試問題も用意しているのでしっかりと最後まで読んでいきましょう。

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ウィルソンの14か条の平和原則について

(ウッドロウ・ウィルソン:wikiより)

大戦が終結する前の1918年1月、アメリカ大統領ウィルソンは「14カ条の平和原則」を議会で発表します。

S先生
S先生
第一次大戦中になされた講演で、これが土台となって戦後国際連盟が作られるのですね。

 

秘密外交の廃止や軍縮、民族自決などともに国際平和機関の設立が盛り込まれていました。

 

元々は、ロシアのレーニンの「平和への布告」に対抗するために提言されたものですが、戦後秩序の枠組みとなり、ヴェルサイユ条約にも取り入れられていきました。

 

また、休戦と講和の実現に貢献したことによって、1919年、ウィルソン大統領はノーベル平和賞を受賞しました。

国際連盟の成立とその欠点について

(国際連盟の紋章:wikiより)

1920年、ウィルソンの提唱にもとづき国際連盟が設立されます。14か条の平和原則が骨子となっていきます。

 

以下、国際連盟の特徴を述べていきます。

 

本部はスイスのジュネーヴです。

全会一致が原則とされた総会が国際連盟の中心機関となりました。

 

また、国際連盟は独自の軍隊を持たず、武力による紛争解決手段ではなく、経済制裁のみでした。

 

常設の軍隊はなく必要に応じて国が軍隊を提供することとしていました。

 

第一次世界大戦で勝利した連合国が決議を執行し、常任理事国は、フランス、イギリス、イタリア、日本でした。

国際連盟の欠点について

国際連盟は最終的にうまく行かず、第二次世界大戦を引き起こしてしまうのですが、国際連盟の欠点として主に2点挙げられます。

 

1つ目は連盟の決議に対して違反などをしたとき、制裁手段が経済制裁しかなかったことです。

 

決議に重みを持たせるためには違反者に対しては武力制裁という実行力があるという脅しがなく、経済的な制裁のみしかありませんでした。

 

2つ目はアメリカが議会の反対で不参加となったことです。

 

そもそも国際連盟はアメリカ大統領のウィルソンが提唱しましたが、アメリカ国内では、モンロー主義という中立主義に反するという理由で上院で否決されてしまいます。

 

また、設立当初はドイツ、ソ連などが不参加だった点も問題でした。

 

ちなみに、国際連盟の常任理事国はイギリス・フランス・イタリア・日本でした。

 

結果として、「十四ヶ条の平和原則」を基本として英仏中心のベルサイユ体制は、東欧以外の民族自決を認めず、ドイツに対し報復的で、合衆国は参加せず、ソヴィエト政権も除外されるなどの問題を持っていたものでした。

 

S先生
S先生
結局、英仏の自国にとって利益のある形でしかヴェルサイユ体制はなされなかったという話です。

国際連合との違いについて

以下、国際連盟が国際連合との違いについて表にまとめてみました。

 

入試でも頻出ですので、頭に叩き込んでおきましょう。

国際連盟国際連合
設立年1920年1945年
本部スイスのジュネーヴアメリカのニューヨーク
総会全会一致多数決(但し、常任理事国の拒否権がある)
常任理事国フランス、イギリス、イタリア、日本アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国
紛争解決手段経済制裁のみで武力制裁はなし。(常設の軍隊はない)武力制裁も可。ただし常設の軍隊はない。
加盟国
  • 提唱国のアメリカは不参加
  • 日本・ドイツ・イタリアは脱退
  • ソ連も除名された
193カ国が加盟(2020年時点)

 

日本の脱退について

(リットン調査団:wikiより)

1931年満州事変がおこります。

 

この流れについては「日中戦争までの流れ(満州事変・盧溝橋事件など)をわかりやすく解説【日本史第78回】」をご参考ください。

日中戦争までの流れ(満州事変・盧溝橋事件など)をわかりやすく解説【日本史第78回】
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日本が満州を植民地化し、満洲国の成立を主張します。しかし、国際連盟はリットン調査団を派遣し、その報告をもとに満州国を認めないという判断を下しました。

 

そこで、日本は国際連盟を脱退します。1933年のことでした。さらに同年にはドイツが、37年にはイタリアも脱退しました。

 

やがて、この3つの国が第二次世界大戦で手を結ぶことになります。

 

なお、日本が脱退した翌年の1934年にはソ連が加盟しますが、フィンランドとの戦争によって39年に国際連盟から除名されました。

 

なお、国際連盟は第二次世界大戦後に完全に活動を休止することとなりました。

入試問題

国際連盟についての記述として最も適切なものを次の中から一つ選びなさい。(東洋大学2020年政治経済大問2問10より)

①社会主義国家であるソ連が国際連盟に加盟したのは第二次世界大戦が勃発した1939年である。
②発足時の理事会の常任理事国はイギリス、フランス、イタリア、日本の4カ国であった。
③平和を維持する手段として経済的制裁のほか、国際連盟軍の派遣による軍事的制裁措置が国際連盟規約で規定されていた。
④日本は、日本軍によるマレー半島上陸とハワイ真珠湾攻撃によって太平洋戦争が始まった1941年に国際連盟から脱退した。
⑤総会での表決にあ3分の2以上の賛成が、理事会での表決には過半数の賛成が必要とされた。
⑥ドイツは、第一次世界大戦の講和条約であるヴェルサイユ条約であるヴェルサイユ条約の調印と同時に加盟した。

答え:②第一次世界大戦の戦勝国でした。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

 

国際連盟の発足から日本脱退までを駆け足でお話ししました。

 

入試問題でも国際連合との違いについて出てくるのでしっかりと違いを理解しておきましょう。

 

次は「ヴェルサイユ体制とワシントン体制について【近現代編その11】【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史」について解説します。

ヴェルサイユ体制とワシントン体制について【近現代編その11】【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史
第一次大戦後、敗北したドイツはイギリス・フランスなどの戦勝国との間でヴェルサイユ条約を締結しました。結果、アルザス・ロレーヌ地方をドイツは失います。 この条約の下、ドイツなど敗戦国の再起を抑止する体制をヴェルサイユ体制と言います。 一方、太...

 

また、より詳しくは「詳説世界史研究」がおすすめです。

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