今回は、頻出の文法「強調構文」を学びます。強調構文は「It is A that ~」で表す文法です。
日本語では「~はAだ。」というように、Aに入る言葉を強調する訳になります。
一見簡単なようですが、ひっかけ問題が出されやすいポイントでもあります。間違いのないよう、例文とあわせてしっかり理解を深めていきましょう。
今回の記事を読んだらわかること
・強調構文の基礎
・強調構文で強調される3つのポイント
・形式主語構文や関係代名詞thatとの見分け方
英語の「強調構文」とは?
強調表現としてよく思い浮かぶ英語に、very や so(much)などがありますね。
She is very cute.(彼女はとても可愛い。) He was so rich.(彼はたいそう金持ちだった。) |
これらは、「とても○○だ」のように、形容詞を強調します。ただ、名詞や副詞を強調することはできません。
それでは名詞や副詞を強調するときはどうすればいいのかというと、「強調構文」が使えるわけです。
強調構文はテンプレート「It is A that ~」を基本的に使うと考えてOKです。A部分に入る言葉が強調されます。和訳してみると、例えば「~する(した)のはAだ。」といった訳になります。
「強調構文」で強調できるのは3つ
まずは例文をもとに、強調できる3つのタイプについて学びましょう。
「昨日、トムはジェリーと映画館でデートした。」という例文を、強調するポイントを変えながら考えてみましょう。
主語Sになる名詞
まずは、主語Sにあたる名詞を強調したいときの強調構文の作り方です。
主語Sはトムです。「昨日、映画館でジェリーとデートしていたのは、トムだった。」という意味です。「It is A that ~」のテンプレートにあてはめてみましょう。
「昨日、映画館でジェリーとデートしていたのは、トムだった。」
この文では「トムだ」ということが最大の強調ポイントです。
また、that以下は不完全文であることに注目してください。That以下の文には主語Sがありませんね。主語Sである「トム」が強調されて、外側に飛び出ているからです。
動詞の目的語O
続いて、動詞の目的語Oを強調したいときです。
「昨日、トムが映画館でデートしたのは、ジェリーだった。」という意味になります。
「昨日、トムが映画館でデートしたのは、ジェリーだった。」
ここでも、that以下は不完全文になっていますね。目的語(トムが一緒にデートした相手)のJerryが前に飛び出ているからです。
副詞(副詞句・副詞節)
最後は、強調構文で副詞(副詞句や副詞節をふくむ)を強調するケースです。
2パターンつくってみましょう。
「トムがジェリーと映画館でデートしたのは、昨夜だった。」
「昨夜、トムとジェリーがデートしたのは、映画館だった。」
It was the movie (that Tom went out with Jerry last night).
こちらは、前出の主語Sになる名詞や動詞の目的語Oを強調するパターンとはちがって、that以下は完全文になっています。強調するために外側に引っ張り出されたのは副詞なので、残りのSV構文が普通に成り立っているわけですね。
強調構文に似ている形式主語構文・関係代名詞that
「It is A that ~」を使った英文には強調構文のほか、形式主語構文や関係代名詞thatなどもあります。その見分け方と使い分け方について、わかりやすく解説していきますね。
まず、It is と that の間に入っているものの品詞に注目します。
It is と thatの間にあるもの | that以降の文 | |
強調構文 | 名詞、副詞 | 不完全文(名詞の強調)、完全文(副詞の強調) |
形式主語構文 | 名詞、形容詞 | 完全文 |
関係代名詞that | 名詞だけ | 不完全文 |
It is と that の間に入っているものを見て、「これは副詞だから強調構文だな」、または「形容詞だから形式主語構文だな」というふうに、ぱっと見て判別できます。
問題は「名詞」が入っている場合ですね。3パターンありますので、この見分け方を理解していきましょう。
強調構文と形式主語構文の見分け方
「It is A that ~」で強調されているAが名詞の場合、強調構文と形式主語構文を見分けるポイントは「that以下の文章が完全文か、不完全文か」という点です。
強調構文のポイント
It is the truth that surprised her.(彼女を驚かせたのは、その真実だ。)
この文からIt is とthatを取り除いてみましょう。
The truth surprised her.(その真実は彼女を驚かせた。)
このように、きちんとした文章が成り立ちますね。これが強調構文を見分けるポイントです。
形式主語構文
It is a shame that you can’t come.(あなたが来られなくて残念だわ。)
この文からIt is とthatを取り除いてみると、
A shame you can’t come.(ひとつの残念、あなたは来られない)???
文章が成立しませんね。
こちらは形式主語構文だとわかります。
ちなみに、形式主語構文が強調する名詞は、感情を表す(なんとなく形容詞っぽい)ケースがよく見られます。次の名詞が出てきたら「形式主語構文かな?」と予想できるようにしておきましょう。
強調構文と関係代名詞thatの見分け方
これはとても難しいです。
- It is imagination that is important in the life.(人生において大切なのは想像力だ。)【強調構文】
- It is the imagination that is important in the life.(それは人生において大切な想像力だ。)【関係代名詞のthat】
どちらも名詞imaginationが入っており、that以下は不完全文で、意味が通ります。
形を見て判断することはできないので、最終的には文脈からの判断ということになります。
見分けるポイント①「it」が指し示すものがすでに登場しているかどうか
関係代名詞の場合、it(それ)が何であるかが、それより以前の文章に登場していることがほとんどです。
【関係代名詞that】
He foresaw and stopped the trouble before it happened. It is the imagination that is important in the life.
(彼はトラブルが発生する前にそれを予感して、食い止めた。「それ」は人生において大切な想像力だ。)
このように、it(=想像力imagination)は、「彼がトラブルを未然に察知して食い止めた」ことを指しています。
見分けるポイント②対比する文脈であれば強調構文
強調構文が強調したいことは「話し手がどうしても言いたいこと」であり、その前後には対照的な事柄が説明されていることがよくあります。
つまり、「BじゃなくてAなんだ!」という主張の仕方です。
【強調構文】
It is not the data that is to see. It is the imagination that is important in the life.(見るべきはデータじゃない。人生において大切なのは想像力だ。)
→It is not the data but imagination that is important.(重要なのはデータじゃなくて想像力だ。)
このように「not B, but A」(BじゃなくてA)という書き換えができるのも、強調構文の特徴のひとつです。
強調構文の練習問題
強調するのは「そのお店だった」という副詞句ですね。that以下は完全文になります。なお、時制の一致と、「そのお店で」に前置詞at をつけるのを忘れずに!
強調するのは主語Sの「トム」です。that以下は不完全文(主語Sと動詞Oがあるちゃんとした文ではない)として作れましたか? It was と that を取り去った後も文章として成立しますね。
こちらは応用問題。入試問題で頻出の「It was not until ~ that …」(~するまで…なかった)定型文です。強調されている部分「until I read the newspaper(私がその新聞を読むまでに)」は副詞節なので、強調構文であることがわかります。
mentionには「話題に触れる、ちょっと言っておく」のニュアンスがあります。it is worth 動詞ing は「~する価値がある」というひとまとまりのフレーズです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?強調構文はよく入試に出てきますが、テンプレートにあてはめればそう難しいことはありません。
テンプレートを使う時は、3つのものを強調できるということ、that以下の文がどんな形になるのかなどに注意してみましょう。
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