みなさんこんにちは。
今回は、順列とは何かについて解説します。公式や計算について詳しく記載するので理解してください。
また、よく混同しがちな組み合わせとの違いについても解説していきます。さらに、順列でありがちな問題もピックアップしたので自分でも解いてみてください。
それでは、最後までお読みください。
順列とは?pとその意味について
順列とは、人や物に順番をつけて 1 列に並べることです。
この「並べる」というところがミソで、選んだ対象の並び順が異なる場合、違う組み合わせと考えます。
そして、この順列を英語で”permutation”といいます。
そこで、順列を表す公式はpermutationの頭文字Pをとって公式を使用します。
順列の公式と計算方法について
そして、異なる 𝑛 個のものの中から異なる 𝑟 個を取り出して 1 列に並べる場合の数の公式は以下の形になります。
$$nPr=\frac{n!}{(n-r)!}$$
=𝑛(𝑛−1)(𝑛−2)⋯(𝑛−𝑟+1)
⌊ r個の数の積 ⌋
いきなりで、わからないですよね。
順列の計算はn個から数を一つ引いてr個分かけるという方法を取ります。
例えば上記にあげたように
という問題では
異なるnで、A,B,C,Dは4つなのでn=4、取り出すのはA,B,Cで3つなのでr=3となります。
なので数式は4P3となります。
で、これの計算式は
$$\frac{4!}{(4-3)!}$$
となり、
$$\frac{4✖️3✖️2✖️1}{1}$$
4✖️3✖️2=24通りとなります。
順列の公式の証明
まず、nPr=𝑛(𝑛−1)(𝑛−2)⋯(𝑛−𝑟+1)の公式部分の証明をしましょう。
先ほどの「A,B,C,Dの中からA,B,Cの3つを取り出して並べる」ということを考えてほしいのですが、まず1回目を取り出す時は4通りあります。そして次に残り3なので3通りという形になってきます。
で、それをnとrを使って考えると、
- 1番目の取り方は 𝑛 通り。
- 2番目の取り方は (𝑛−1) 通り。
- 3番目の取り方は (𝑛−2) 通り。
- ・・・・・・
- 𝑟 番目の取り方は {𝑛−(𝑟−1)} 通り,つまり (𝑛−𝑟+1) 通り。
nから引く数字(r)は、2番目なら1、3番目なら2というようにrから1引いた数字であるとわかると思います。
そこで、r番目は{𝑛−(𝑟−1)}通りになると言えるでしょう。 {𝑛−(𝑟−1)}=(𝑛−𝑟+1) です。
そして、これらの組み合わせを全てかけることで全ての場合が判明します。よって
nPr=𝑛(𝑛−1)(𝑛−2)⋯(𝑛−𝑟+1)は成り立ちます。
次に
$$nPr=n!/(n-r)!$$
を証明します。
分子が(𝑛−𝑟+1)までしかないので、残りの部分(n-r)!をかけることでn!となることができます。
そこで分母も同様の(nーr)!を持ってくる必要があるのでこの公式になります。
順列と組み合わせの違いについて
順列とは、いくつかのものを順序をつけて列に並べる並べ方の総数です。
組み合わせとは、いくつかの要素の集まりからいくつかの要素を選び出すときの、組み合わせの種類の総数のことを指します。この時の公式はC(英語でcombination)を使います。
「順列」も「組み合わせ」もいくつかのものの中からいくつか選ぶというのは共通しています。
しかし、組み合わせは選んで終わりなのに対し、順列は選んだあとの順番も決める必要があります。
そこで必然的に順列(P)の方が組み合わせ(C)よりも数が大きくなります。
問題をみて、その選んだ対象がその後、異なる組み合わせとなるかどうかを検討して問題を解く必要があります。
詳しくは、「【数学1A】場合の数を解説!公式を使って入試問題を解いてみよう」をご覧ください。
順列の実践問題について
それでは、順列の問題で典型的な問題を紹介します。
整数をつくる問題
(1)4桁の整数
(2)両端の数字が奇数である5桁の整数
(1)について
(2)について
0〜5の6つの数字のうち、奇数は1、3、5の3つです。
両端(一の位と万の位)の奇数が来る場合は3つ(1、3、5)の中から2つを選んで並べるということで3P2=3✖️2=6となります。
次に残りの真ん中の十の位、百の位、千の位について6枚のうち両端2つが選ばれているので、残っているのは6-2=4。
4つのうち3つを選んで並べるので4P3=4✖️3✖️2=24となります。つまり、
3P2✖️4P3=6✖️24=144
144個の整数があります。
並び方問題
(1)両端の少なくとも一方が男子となる並び方の数を求めよ
(2)男子3人が隣り合って並ぶ並び方の数を求めよ
(1)について
両端が男子であると断定してあると、整数を作る問題の両端の数が決まっている場合と同様、両端の順列を出して真ん中を出すということをすればいいでしょう。
しかし、今回は「少なくとも一方は男子」という形です。これは、両方が男子、一方が男子という場合を考えていかなければならずかなり面倒なことになります。
こういう場合は、発想の転換が必要です。「少なくとも一方が男子」ということは「両端が女子2人ではない」ということです。
つまり、「男女7人を並べる並べ方」から「女子が両端にくる並び方」を引いてやれば、「少なくとも一方は男子」という並び方の数が出てきます。
で、計算をしていきます。
男女7人の並び方は異なる7人から7人全員を選ぶので、7P7=7!=
7✖️6✖️5✖️4✖️3✖️2✖️1=5040通りとなります。
そして女子が両端に来る並び方は4人の女子のうち2人を選ぶので4P2=4✖️3=12通りとなります。
また、忘れがちですが、真ん中5人の並び方も各々異なるので5P5=5!=5✖️4✖️3✖️2✖️1=120となります。つまり、12✖️120で1440となります。
よって5040-1440=3600通りが答えです
(2)について
隣り合って並べる並び方ですが、隣り合っているものを1つのまとまりと考えます。
今回、男子3人が隣り合うとのことなので男子を1つのまとまりとします。
そこで、5人(女子4人、男子1つ)を並べると5P5=5!=120通りがあります。
また男子の1グループ内の並び方は3P3=3!=6通りとなります。そこで3P3✖️5P5=120✖️6=720通り
では、実際の入試問題を解いてみよう。
入試問題について
次の(A)~(C)を埋めよ。
1, 2, 3, 4, 5 の 5 個の数字を 1 回ずつ使って 5 桁の整数を作る。このとき、異なる整数は全部で(A) 通りできる。一の位が 4 となるものは(B)通りである。偶数となるものは (C) 通りである。
(’20 駒澤大 仏教・文・経済・法 1(1))
順列についておすすめの参考書について
順列ですがこの記事を書くに当たっておすすめの参考書を紹介します。
「ホントはやさしいセンター・中堅私大の場合の数と確率 (シグマベスト)」
これは薄い割にかなり細かく順列のことが書かれています。基本を抑えたい人、初学者はこれからやるといいと思います。しかも、値段がかなり安いお手頃価格の書籍です。
「難しい数式はまったくわかりませんが、確率・統計を教えてください!」
これも基本をおさえるのにおすすめの本です。たくみさんの本は初学者が理解をする上ではかなり理解しやすい構成になっています。
ただ、これらは理解するのに役立ちますが演習面では不安です。そこで
「数学I・A基礎問題精講」を合わせてやるといいかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は順列の基本に絞って解説しました。順列は選んで、並べるという形でした。
しっかりと復習をして問題を解けるようにしましょう。
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