みなさん、こんにちは。
今日は順列の中でも「同じものを含む順列」について解説してきます。
普通の順列については「順列とは?公式と計算を組み合わせの違いとともに解説(入試問題つき)」で詳しく述べました。
まだ読まれていない人は必ずこちらを読んでから本記事を読むようにしましょう。
同じものを含む順列は重複順列との違いなど意外とややこしいので、しっかりと最後までついてきてください。
また、最後にはおすすめの参考書も紹介していますので最後までついてきてください。
同じものを含む順列とは
同じものを含む順列とは、並べるものの中に同じ種類のものが混じった状態で、それらを並べた順列を指します。
通常、順列は、異なるn個のものからr個選んで並べる、ということでそれぞれ別の個性のものと扱います。たとえば、数字「1、2、3」と「3、2、1」の並びは異なるとします。
しかし、同じものを含む順列は、選ぶ対象が同じ個性のものを含みます。
上記図のようにたとえば「1,1,5の3つの数を使ってできる3桁の整数」という問題で上二桁の「1」、「1」を交換して「115」も「115」も同じ「115」という数字であり「同じ」とします。(わかりやすくするために数字の色を変えましたがが、「1」は同じです)
同じものを含む順列の公式
n個を並べる順列の総数は以下のように表されます。
n個を並べる順列の総数nPn=n!(通り)
ここで、n! という計算では、各々の数に「区別あり」の場合の数(通常の順列の公式)を指します。
n個の中にいくつかの同じ種類があって、それぞれp個、q個、r個、……ずつあるとします。例えば「1,1,5」という3個の数字では同じ種類の「1」が2個、「5」が1個となります。
これらn個の数の同種のものを除いて一列に並べる順列を同じものを含む順列といいます。そこで、ダブりのものを省くために同じ文字の個数の階乗で割ります。
同じものを含む順列の公式n個の中に同じものが p 個、q 個、r 個、……ずつあるときの並べ方の総数
$$\frac{n!}{p!q!r!}$$
なお、p 、q、r…を足していけばnになります。(p+q+r+⋯=n)
実際に計算をしてみる
実際に「1,1,5の3つの数を使ってできる3桁の整数」について計算をしてみましょう。
3つの数があるのでn=3、「1」が2つなのでp=2、「5」が1つなのでq=1で、上記の公式に当てはめます。
$$\frac{3!}{2!1!}=\frac{3✖️2✖️1}{2✖️1✖️1}=3$$
3通りとなります。
実際にみると「115」「151」「511」の3通りとなります。
同じものを含む順列の公式の考えの手順1.すべてが違うものだとして、階乗で並べかえを考える。
2.同じ文字として考え、同じ並びになっているものを省いていく。同じ文字の個数の階乗で割る
同じものを含む順列の注意点
同じものを含む順列では、取り出すもの全てを選ぶ必要があります。
つまり、通常の順列の「4つのうち3つ選ぶ」みたいな全てを取り出さない場合、同じものを含む順列の公式をそのまま利用することはできません。
では例えば「1、1、1、2、2、3 」の6個の数字から4個を用いてできる4桁の整数は何個みたいな同じものを含みつつ全てを取り出さない場合どのように処理したらいいでしょうか?
答えは、場合分けをしてそれを足す、という方法を取ります。
では、実際に具体的にみていきましょう。
全てを取り出さず同じものを含む順列について
【問題】「1、1、1、2、2、3 」の6個の数字から4個を用いてできる4桁の整数を答えよ
同じものを含むものの全てを取り出す訳ではないので、そのまま同じものを含む順列の公式は使えません。
そして数字は「1、2、3」と3種類あり、4桁の整数を作り出すには同じ数字が2個または3個含むことになります。
そこで、各々場合分けをしていきます。
同じ数字が2個と異なる数字1個の場合
同じ数字が2個だけ含まれるパターンとして、「1」が2個であとは異なる数字の場合と「2」が2個であとは異なる数字の場合が考えられます。
具体的には「1,1,2,3」と「1,2,2,3」の組が考えられます。
そして、その同じものを含む順列は、同じものを含む順列の公式を使うと4個の整数なのでn=4、「1」または「2」が2個なのでp=2、あとは1個づつなのでq=1、r=1となり、
$$\frac{4!}{2!1!1!}=\frac{4✖️3✖️2✖️1}{2✖️1・1・1}=4・3=12$$
となります。
そして、その順列は「1,1,2,3」と「1,2,2,3」の組があるので
12×2=24
となります。
同じ数字2個が2組ある場合
同じ数字が2個ずつ2組含まれる「1,1,2,2」が考えられます。
4桁なのでn=4となります。そして2個なのでp=2,q=2となります。
よって
$$\frac{4!}{2!2!}=\frac{4✖️3✖️2✖️1}{2✖️1・2✖️1}=2・3=6$$
となります。
同じ数字が3個の場合
同じ数字が3個の場合「1,1,1,2」と「1,1,1,3」が考えられます。n=4でp=3,q=1なので
$$\frac{4!}{3!1!}=4$$
これが2組あるので4×2=8
となります。そして、以上の場合の和により、
24+6+8=38
38個が正解になります。
同じものを含む順列と組み合わせの違いについて
組み合わせとは、異なるn個のものからr個選ぶというもので、選んだものを並べ替えない、ただ選ぶだけというものでした。
一方、同じものを含む順列とは、順列で選んだものを区別して並べるという順列を同じものの個数の階乗で割ることでダブりを省き、結果区別をなくします。つまり、ただ、選ぶだけという状態になります。
つまり、同じものを含む順列と組み合わせの違いですが、同じである、違いはないということになります。
なので、同じものを含む順列は組み合わせCを使っても解くことができます。
重複順列とは?同じものを含む順列との違いについて
重複順列とは「同じものを繰り返し取ってよいという約束のもとで」できる順列を指します。
「同じものを繰り返し取ってよいという約束」は、通常「重複を許して」という言葉で表現されます。
そして、同じものを含む順列と重複順列の大きな違いは、重複が許されるかどうかです。
同じものを含む順列は一度選んだらそれは終わりですが、重複順列は何度でも選んでいいということです。
例えば、同じものを含む順列の問題は「1、1、3」の数のうちから作れる整数(つまり「111」みたいに何度も使用は不可)というのに対し、重複順列は「1、2、3」から作る数で「111」など同じ数を作っても良いという形になります。
同じものを含む順列の例題
では同じものを含む順列について典型問題を解いてみましょう。
同じものを含む順列の典型問題としては「アルファベットの語順」を問う問題や最短ルートの道順を問う問題が挙げられます。
一つづつみていきましょう。
アルファベット問題
「S,T,A,R,T」5文字を1列に並べるとき,異なる並べ方は何通りあるか。
最短経路問題
AからBに行く最短経路の行き方は何通りあるでしょうか。
↑ ↑ ↑ ↑→ → → →→
↑は4つ、→は5つあるので
9!÷4!÷5!=21通り
同じものを含む順列のおすすめの参考書
順列ですがこの記事を書くに当たっておすすめの参考書を紹介します。
「ホントはやさしいセンター・中堅私大の場合の数と確率 (シグマベスト)」
これは薄い割にかなり細かく順列のことが書かれています。基本を抑えたい人、初学者はこれからやるといいと思います。しかも、値段がかなり安いお手頃価格の書籍です。
「難しい数式はまったくわかりませんが、確率・統計を教えてください!」
これも基本をおさえるのにおすすめの本です。たくみさんの本は初学者が理解をする上ではかなり理解しやすい構成になっています。
ただ、これらは理解するのに役立ちますが演習面では不安です。そこで
「数学I・A基礎問題精講」を合わせてやるといいかと思います。
さいごに
いかがだったでしょうか?
色々と難しい部分もあると思いますが、ひとつづつ解いていきましょう。
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