細胞膜と物質の出入りについて入試問題付きで解説します!

私たち生物は、細胞からできています。細胞の中では、様々な化学反応が起こっています。

 

反応を進めるには、細胞の中に必要な物質を入れたり、不要な物質を細胞の外に出す必要があります。

 

細胞の中に必要な物質を入れたり、不要な物質を出したりするのは細胞膜の働きです。

 

どのように物質の移動をさせているのでしょうか。この記事では、細胞膜について解説します。

 

この記事の最後には、入試問題がついています。是非最後まで読んで、理解したかを問題をといて確かめてみてください。

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生体膜の構造

真核細胞では、細胞膜や膜構造を持つ細胞小器官が発達しています。

このような幕は、生体膜と言います。

 

生体膜は、同じような構造をしています。

生体膜の基本構造

生体膜はリンと脂質の二重膜からできています。

 

そして、リンと脂質の二重膜の間に、タンパク質があります。

 

タンパク質は、膜の上の自由に動くことができます。

 

このようなモデルを流動モザイクモデルといいます。

 

リン脂質

リン脂質分子は、水に馴染みやすいところと、水に馴染みにくいところがあります。

水に馴染みやすいところは、親水性といいます。

 

水に馴染みにくいところは疎水性といいます。

 

リン脂質は、疎水性の部分を内側に向け、親水性のところを外側に向けます。

 

そのため、二層になります。

 

生体膜と物質の出入り

 

生体膜では、どのように物質のやりとりをしているでしょうか。

 

濃度の高いところから低いところへ

 

物質は基本的に、濃度の高いところから、低いところへ移動します。

 

濃度の低いところから高いところに物質を移動させるのには、エネルギーが必要です。

 

リン脂質二重膜の透過性

生体膜を通っての移動も、基本的には濃度が高いところから低いところを移動します。

 

リン脂質二重膜は、分子が小さくて疎水性であるほど通りやすいです。

 

また、親水性であるほど通りにくいです。

 

イオン・グルコース・タンパク質は多くすぎて通れません。

 

選択的透過性

 

生体膜は、自分にとって必要な物質を選んで生体膜を通過(透過)させます。

 

これを選択的透過性と言います。

 

イオン・グルコースなどは、輸送タンパク質によって、膜を通過することができます。

 

輸送タンパク質

生体膜を通って物質が移動する場合は、輸送タンパク質を通過します。

 

輸送タンパク質には、チャネル・担体、ポンプなどがあります。

 

エネルギーを使わない輸送を受動輸送といい、エネルギーを使う輸送を能動輸送といいます。

 

チャネル

チャネルは、門のついた管のようなものです。

 

チャネルは、イオンのように小さいが電荷を持った物質の通路になっています。

 

刺激を受けると、門が開き、特定のイオンがチャネルの中を移動します。

水分子には、アクアポリンという特別なチャネルがあります。

 

担体

 

担体は、アミノ酸や糖などの比較的小さな物質を運搬します。

 

担体が運ぶ物質と結合すると、担体の形が変わります。

 

そして、膜の反対側へと物質を運びます。

 

チャネルと担体は受動輸送で物質が輸送されます。

 

ポンプ

ポンプは濃度差に逆らって、物質を輸送します。

 

このような輸送では、ATPのエネルギーを使います

 

例えば、ナトリウムポンプです。

 

多細胞生物では、体内の細胞を浸している体液には、ナトリウムイオンが多く、カリウムイオンが少ないです。

 

対して、細胞の中には、ナトリウムイオンが少なくカリウムイオンが多いのです。

 

これは、細胞膜が絶えずナトリウムイオンを汲み出し、カリウムイオンを汲み出しているからです。

 

このような能動輸送の仕組みをナトリウムポンプといいます。

 

 

  1. ナトリウムイオンが酵素に結合し、酵素がATPからリン酸を受け取る。
  2. タンパク質の立体構造が変化して、ナトリウムイオンが細胞の外に放り出される。
  3. カリウムイオンが酵素に結合する。
  4. 酵素からリン酸が離れ、タンパク質の構造が元に戻る。カリウムイオンが細胞質中に放出される。

 

細胞の飲食作用と分泌

リン脂質二重膜や輸送タンパク質を通れない大きさの物質は、小胞に入れてやりとりをします。

 

 

エキソサイトーシスは、細胞外に分泌することをいいます。

 

エンドサイトーシスは、物質を取り込むことをいいます。

 

入試問題にチャレンジ

 

細胞膜がもつ( ア )的透過性には、エネルギーを使わない( イ )輸送とエネルギーを使う( ウ )輸送がある。

 

( イ )輸送では,分子は濃度の低い方へ拡散により移動する。

 

イオン以外の小さな分子は、リン脂質でできている細胞膜を通過できる。

 

分子量が小さいほど、その透過速度は( エ )。

 

分子が脂溶性であると透過速度はさらに( エ )。

 

人工のリン脂質膜はイオンを透過させないが、細胞膜にはタンパク質でできたイオン( オ )があって、( オ )が開いたときには特定のイオンを通過させる。

 

( ウ )輸送では、ATPのエネルギーを使って分子の濃度の低い方から高い方へ分子を移動させることができる。

 

それにはタンパク質でできたポンプがはたらく。

 

例えば、細胞内部には外部よりもKが多くNaが少ない。

 

それは細胞膜にNaイオンを細胞外にくみ出しKイオンを取り入れるポンプがあるからである。

 

(1)  文中のア~オ に適当な語句を答えよ。

 

(2) 次の①~④の物質を,細胞膜を通過できるもの(A)と,ほとんど通過できないもの(B)に分けよ。

 

  • ① タンパク質
  • ② 水
  • ③ 二酸化炭素(CO2
  • ④ スクロース

 

(3)下線部のポンプはどのようなしくみではたらくかを説明せよ。

 

(ニューサポート 京都府医大)

 

【解答】

(1)

  • ア 選択
  • イ 受動
  • ウ 能動
  • エ 大きい
  • オ チャネル

 

(2)

(A) ② ③

(B) ① ④

 

低分子の水と二酸化炭素は細胞膜を通り抜けられます。

 

(3)  細胞膜上のタンパク質が、細胞内のNa+と結合すると、ATPの分解で放出されるエネルギーを用いて構造変化を起こし、Na+を細胞外にくみ出してK+を取り入れる。

 

チャネル・ポンプ・担体については押さえておきましょう。

 

まとめ

・ 生体膜は、リン脂質二重膜の間に、タンパク質がある構造をしている。

・ 生体膜は、自分にとって必要な物質を選んで生体膜を通す選択的透過性を持つ。

・ 膜タンパク質は、

  •    イオンのように小さいが電荷を持った物質の通路であるチャネル
  •    アミノ酸や糖などの比較的小さな物質を運ぶ担体
  •    ATPを使って濃度勾配に逆らって物質を輸送するポンプ

などがある。

 

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