生物基礎の勉強でたんぱく質について勉強して以下の疑問にぶち当たりませんか?
- タンパク質ってそもそもなに?タンパク質の役割を教えてほしい。
- タンパク質とアミノ酸の詳細な関係がよくわからない。
- 入試問題でのたんぱく質についてポイントを知りたい
こんなお悩みを解決できるようにこの記事でわかりやすく解説します。
ぜひ、参考にして下さいね。
そもそもタンパク質とは?タンパク質の役割について
そもそもタンパク質とはなんでしょうか。
生物の体のなかでは、取り入れた物質の分解や新たな物質の合成など、様々な化学反応が常に起きています。
他にも物質の運搬や、免疫、細胞や体の構造維持などの生命活動は、タンパク質が大切な役割を担っています。
タンパク質の種類は数多くあり、ヒトでは10万種類あるといわれています。
タンパク質の役割
タンパク質の種類は数多くありますが、どれもセントラルドグマの過程(DNA→RNA→タンパク質)を経て合成されています。
mRNA配列の違いにより、さまざまな役割のあるタンパク質になります。
タンパク質の具体例とその役割は以下のとおりです。
- クリスタリン:水晶体を構成している
- コラーゲン:肌に含まれて、弾力性がある
- リゾチーム:涙にも含まれ、殺菌力がある
mRNA配列の違いにより、合成されるアミノ酸、タンパク質がことなってきます。
このように、タンパク質は種類も豊富で、その種類によって役割も異なってきます。
タンパク質の立体構造について解説
タンパク質は、アミノ酸の長い鎖が折りたたまれることによって、一定の立体構造がつくられています。
タンパク質を作っているアミノ酸について
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あります。
アミノ酸の種類は20種類ありますが、基本的な構成は同じで、以下の図のとおりです。
真ん中に一つの炭素原子(C)に対して、アミノ基(-NH3)、カルボキシ基(-COOH)、水素原子(H)、側鎖(-R)が結合しています。
ちなみに、「基」というのはある性質を持つ原子の集合体のことをいいます。
例えばカルボキシ(-COOH)基だと、「COO–」と「H+」に分かれることから、酸性の性質を持つ「基」ということになります。
そして、側鎖(-R)の構造は20種類あり、側鎖の構造の違いによってアミノ酸の性質が決まります。
アミノ酸がペプチド結合をして立体構造をつくる。ペプチド結合とは?
タンパク質が一つ一つのアミノ酸が結合してできていますが、このアミノ酸の結合様式のことをペプチド結合といいます。
あるアミノ酸のアミノ基(-NH3)と、別のアミノ酸のカルボキシ基(-COOH)が結合すると、水分子(H2O)がとれて、-CO-NH-という結合でき、これがペプチド結合になります。
アミノ酸がペプチド結合で一列につながった分子をペプチドといい、多数のアミノ酸がつながって鎖のようになったペプチドをポリペプチドといいます。
タンパク質の立体構造
タンパク質は単独で働くものもあれば、同じ種類のタンパク質や異なる種類のタンパク質が組み合わさって働くタンパク質も多いです。
タンパク質の構造には、一次から四次までの4つの階層構造があります。
一次構造
一次構造は、タンパク質の「アミノ酸配列」のことを指します。
アミノ酸の並び方はタンパク質の種類によって異なります。
つまり、アミノ酸の並び順やペプチド結合の数によって、タンパク質の立体構造や働きが決まります。
このようなタンパク質の性質に重要な「アミノ酸配列」のことを一次構造といいます。
二次構造
タンパク質の立体構造はポリペプチドの鎖が、水素を介して互いに結合することによって、形づくられます。
このときに、タンパク質が部分的に安定した構造をとり、その立体構造を二次構造といいます。
二次構造には、らせん状構造になっている「αヘリックス」と、ジグザグに折れ曲がったシート状の「βシート」があります。
三次構造
αヘリックスやβシートの立体構造から、一本のポリペプチド鎖がさらに折りたたまれると、タンパク質分子全体が立体的な構造をとります。
一分子からなるタンパク質の全体的な立体構造を三次構造といいます。
一本のポリペプチド鎖が折りたたまれるのは、分子内にあるアミノ酸同士が結合しているからです。
特徴的な結合例として、システインのS(硫黄原子)同士が結合した「ジスルフィド結合(S-S結合)」があります。
他にも、水素結合やイオン結合などによって、ポリペプチドが折れ曲がり複雑な構造になっていきます。
四次構造
タンパク質の中には、複数のタンパク質が組み合わさって働くタンパク質もあります。
複数のタンパク質が組み合わさってできる立体構造を四次構造といいます。
四次構造を持つタンパク質として、ヘモグロビンが挙げられます。
ヘモグロビンは赤血球に含まれていて、酸素を運ぶ働きがありますよね。
このヘモグロビンは、4つのタンパク質が組み合わさってできていて、4つのタンパク質が組み合わさることによって酸素を運ぶ働きをもちます。
四次構造をとる理由は、タンパク質同士の分子間力によって結合しています。
タンパク質の変性について
タンパク質の立体構造は、溶液の温度やpH、塩濃度によって影響を受けることがよくあります。
例えば、60℃以上になると、水素結合が切れ、ポリペプチドの鎖がからまるなどし、正しい立体構造をとれなくなります。
このように、タンパク質が本来の立体構造をとれなくなった状態を変性といいます。
強い酸やアルカリによってもタンパク質の立体構造は変性します。
変性によって、タンパク質の機能が失われることを失活といいます。
タンパク質についての入試問題
最後にタンパク質に関連して実際に出された入試問題の紹介と、解答解説をします。
今回紹介する問題は、2017年センター試験生物の第一問の問1の問題です。
タンパク質についての入試問題
問:タンパク質と構造に関する記述で間違っているものを2つ選びましょう。
解説
それでは、解答・解説していきます。
解説していきます。
まず③については、タンパク質のジグザグ構造やらせん構造のことは二次構造といいます。
ちなみに、それぞれのことを以下のようにいいましたね。
- らせん構造→αヘリックス
- ジグザグ構造→βシート
そして、一次構造というのは、「アミノ酸配列」のことを指しました。
そして「⑦」についてです。
タンパク質を高温処理すると、水素結合が切れてポリペプチドが絡まってしまい、正常な立体構造をとれなくなってしまいますよね。
なので、高温処理すると「水素を介した弱い結合が形成される」ことと、「立体構造が変化しない」ことが誤りです。
ちなみに、高温処理によってタンパク質の本来の構造が変化することを変性といいましたね。
そのほかの選択肢については、タンパク質の特性を理解する上で重要な事項なので、しっかり読んで覚えておきましょう。
まとめ
というわけで以上です。
今回は、「タンパク質の特徴・働き」についてご紹介しました。
私たちの体の中で起こる生命活動はタンパク質なしでは、生きることができません。
そんなタンパク質は、生物を勉強する上でも重要な範囲になってきます。
ですので、今回解説した内容はしっかり押さえておきましょう。
もし忘れたら、またこの講義に戻ってきて、ぜひ今後の勉強に役立てて下さい。
今回も最後までありがとうございました。
コメント