今回のテーマは、イスラーム教です。この記事では以下の内容が学べます。
この記事からわかること
・イスラーム教の特徴
・六信と五行の内容
イスラーム教についてはじめて学ぶ人にもキッチリ理解してもらえるよう、わかりやすく解説しました。
また記事の後半には、今回のテーマに関連した入試問題も用意しています。この記事を読むだけで基本の理解・復習ができるので、最後まで読んでみてください。
イスラーム教とは
(イスラーム教:wikiより)
イスラーム教とは、唯一神アッラーへの絶対服従を説く世界宗教です。
開祖はムハンマドで、彼は「最後にして最大の預言者」といわれています。つまり、ムハンマドに先行する預言者がいると想定されているわけです。
一体誰なのでしょうか?
それはモーセやイエスたちです。
ただイエスとムハンマドには決定的な違いがあります。
イエスは神の子であり、いずれ再臨することも予定されている神的な存在です。
一方ムハンマドは神の子ではなく人間であり、復活しません。勘違いしやすい部分なので、注意しましょう。
イスラーム教は、イスラーム共同体の最高指導者であるカリフにより、急速に世界各地に広まります。
しかしムハンマドの死後、カリフの座をめぐって対立が起き、イスラーム教はスンナ派とシーア派にわかれました。スンナ派が多数派で、シーア派が少数派です。区別して覚えましょう。
イスラーム教の特徴
(クルアーン:wikiより)
イスラームとは、結婚・相続などの生活全般を規律する教えであり、単なる内面的信仰ではありません。
そのため、教典である「クルアーン」にはかなり細かいルールが書かれています。
またイスラーム教は、キリスト教以上に神の唯一絶対性を強調します。ゆえに神の前では、信者はみな平等であり、聖職者すら存在しません。
さらに神やムハンマドを絵画で描いたり、偶像を崇拝したりすることも厳しく禁じられています。
六信と五行
(ムスリム:wikiより)
六信とは
六信とは、イスラームを信じる者(ムスリム)が信仰する6つの対象です。
具体的な信仰対象は、以下をご覧ください。
- 神:唯一神アッラー
- 天使:神と預言者を仲介する者(例:ジブリール)
- 聖典:神の言葉が正しく示されたもの
- 預言者:神の言葉を伝える者(例:モーセ・イエス・ムハンマド)
- 来世:天国と地獄
- 天命:神の意志
くりかえしですが、イスラーム教は唯一神アッラーへの絶対服従を説く宗教です。
「アッラー」とは、アラビア語で「神」を意味します。アッラーという名前の神がいるのではありません。
またイスラーム教の聖典は、「クルアーン」に加え、旧約聖書および新約聖書の一部も含まれます。「クルアーン」だけが聖典ではありません。
あと「クルアーン」はムハンマドに伝えられた神自身の言葉であり、ムハンマドが執筆したものではないので注意してください。
五行とは
五行とは、5つの宗教的義務のことです。
具体的な宗教的義務については、下記をご覧ください。
- 信仰告白:「アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはその使徒である」と証言すること
- 礼拝:毎日5回、定刻にメッカに向かって祈りをささげること
- 断食:ラマダーン月の日中に一切の飲食を断つこと
- 喜捨:貧しい者に富の一部を分け与えること
- 巡礼:一生に一度はメッカに巡礼すること(努力目標)
ここでは、断食のやり方についておさえておきましょう。断食は日の出から日没までおこなわれること・1か月間のイベントだということを知っておいてください。
入試問題にチャレンジ
問 下線部ⓖに関して、次の文章は、イスラーム教における旅についての説明である。文章中の【A】・【B】に入れる語句の組合せとして正しいものを、下の①〜⑥のうちから一つ選べ。
イスラーム教では、巡礼月に行われるハッジと呼ばれるメッカ巡礼が重要であり、【A】とされる。さらに、メッカ以外の聖地への参詣も行われるほか、交易や学問のための旅も神の意志にかなう行為として奨励された。
このように旅に出ることが推奨されるイスラーム教では、旅人についての規定がクルアーン(コーラン)に含まれている。例えば、旅人は、五行の一つである【B】を延期することが許されている。
① A メッカを聖地として信じることが六信の一つ B 瞑想
② A メッカを聖地として信じることが六信の一つ B 断食
③ A メッカを聖地として信じることが六信の一つ B ジハード
④ A 一生に一度はハッジを行うことが五行の一つ B 瞑想
⑤ A 一生に一度はハッジを行うことが五行の一つ B 断食
⑥ A 一生に一度はハッジを行うことが五行の一つ B ジハード
A:メッカ巡礼(ハッジ)は五行の一つです。ちなみに五行とは、信仰告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼のことを指します。
B:選択肢のなかで五行に含まれるのは、断食だけです。ちなみにジハードとは、イスラーム教徒の異教徒との戦いを意味します。
「自然に従って生きる」「欲望や快楽などの情念によって動かされない」などの記述が最大のヒントです。
②:「魂の三部分間の葛藤や分裂が克服され」の記述が誤りです。プラトンが提唱した「魂の三分説」を念頭に置いた記述と見られます。
③:中庸の大切さについて説いたのは、ストア派ではなくアリストテレスです。
④:エピクロス派のアタラクシア(心の平静)に関する記述です。
まとめ
今回は、イスラーム教の特徴・六信と五行の内容を解説しました。学習内容のおさらいです。
・イスラーム教の特徴は、下記の3つ。
- キリスト教以上に神の唯一絶対性を強調
- 神の前での平等
- 単なる内面的信仰ではなく、結婚・相続など生活の全般を規律する教え
・六信とは、6つの信仰対象のことで、神・天使・聖典・預言者・来世・天命を指す。
・五行とは、5つの宗教的義務のことで、信仰告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼を指す。
イスラーム教をマスターするための第一歩として、上記の3点をしっかりおさえておきましょう。記事を読んで内容を理解したら問題を解いてアウトプットすることもお忘れなく。
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
前回の記事「キリスト教の成立・発展の歴史を超わかりやすく解説【倫理第11回】」をご覧ください。
次回の記事「古代インド思想についてわかりやすく簡単に解説【倫理第13回】」をご覧ください。
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